表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/13

柚香と花苗のお仕事

6月21日。私たちは事務所の更衣室で白のセーラーと赤のミニに着替えたが、いざ履いてみるとやっぱり短い。事務員のみ水色だが丈は同じ。私たちはハンナのクルマで栄のイベント会場に向かった。今日は夏服の試着会だが、試作品もある。レオタードタイプは黒とピンク。白の半袖の体操服と黒のブルマーの3タイプが用意された。黒のブルマーは昭和に近いが素材が違う。リアルにはない通気性があり、生地が薄いのだ。しかも体操服が長めだからブルマーが隠れやすい。下は実質ショーツの重ね着だが食いつく子がいるかな?今週は猛暑のせいでお疲れのせいか会場は閑散とした。私たちはBGMにAI作曲したイメージソングを流した。陵辱系アダルトゲームの主題歌みたいなノリのいいメロディーとエッチな歌詞のギャップが魅力。無償で出す缶コーヒーは安物だが、洋菓子はふつうにデパートで売っているものにした。いちいちお金をかけているときりがないからどこかで差別化が必要なのだ。カノン公国は後発だから事務所の予算は潤沢ではないが、純聖騎士団には特別予算がつけられた。イベントの日は300万円が上限なので私たちはアンケートの抽選で3人に100万円相当の景品が当たるようにした。もちろん女性限定であり、コスチュームの試着を条件につけた。アンティークコインと抽象画のいずれかを選べる。かと言って当選者にしつっこい勧誘はしない。9月以降に参戦者が増えればそれで充分だからだ。あまりの猛暑で客足は鈍いが、徐々にカップルが増えてきた。20代から30代だが私たちはカップル狙いじゃない。カップルはイベント限定だが、時には思わぬ参戦者を呼び込むことがあるからおろそかにはできない。彼らは喫茶店感覚でイベント会場を利用したが、彼女さんの試着率は高い。今日はレオタードが大人気で特に黒の需要が高い。試着率が上がると盛り上がるし、私たちは彼女たちの写真や動画を撮ったりした。希望があれば後に写真を郵送するか後日事務所で手渡し。撮影した動画は本人の許可がなければ公開しない。中にはサービス精神旺盛な子もいるし、そんな子がいると場が華やかになる。かと言ってモデル並みにスタイル抜群でもなければいい流れが生まれてくる。私たちはスタッフだから盛り上げ役に徹した。期待した美人母娘は現れないが、三十路の姉妹や友人同士は狙い目。高田紅羽と有紀は34歳と32歳の美人姉妹。彼氏がいなくて独身だが、切実に出逢いを求めていた。紅羽たちは同世代だし隷下女学院出身なので意気投合した。「実は私も隷下女学院出身なの」「そうなの?奇遇ね」お互い帰宅部だから接点がなかったが、紅羽は黒。有紀はピンクのレオタード姿がよく似合うが、街コンでは連敗中。だが同窓生にも気の合う子がおらず、同窓会にも顔を出さない。かと言って真夏に参戦するのもしんどいから9月以降なら参戦してもいいわ。「実は私たち不眠なの」「じゃあ秋にした方がいいわ」不眠は真夏にピークを迎えるからしんどいが、梅酒を寝る前に飲めば少しはマシになるという。「梅酒の原液はえぐみが強いでしょ?」「スギに売ってる梅酒の原液はそうでもないわ」まさかマトモに飲める梅酒の原液がこの世に存在するとは思わなかったわ。佐村初美と玲花は32歳と30歳の美人姉妹だが、こちらは深山女学院出身。初美たちは彼氏と別れたばかり。「いっそ異世界へ参戦しようかな?」「ムリしない方がいいわ」軽はずみな参戦はしない方がいい。美人姉妹は体操服とブルマーを試着したが、大柄なせいかブルマーが体操服に隠れない。だがすっごく映える。別れた理由は彼氏の不倫。「その相手が私たちの友だちだったの」「それはしんどいわね」「だから私たち同窓会に行かないのよ」「なんとなくわかるわ」私たちも同窓会に行かないからね。なぜか異世界へ参戦する子は同窓会に行かない子が断トツに多かったが、不倫に理解を示す輩には違和感しか覚えない。「アレには違和感しかないわ」「深いところでズレてるよね」「何でもありはダメなのよ」「性加害と不倫はダメ」何にでも理解を示すことが必ずしも知性ではないが、いまだにそう理解している輩がいるのが残念すぎる。事務所に戻ると夕食にひつまぶしを頂いた。昼食もひつまぶしだが、ふだんなかなか手が出ない。洗面所で歯磨きし、私たちは雑務に励んだ。ビルとマックを待つもなかなか現れない。その代わりに運送屋さんが来て私たちが応対した。その直後に[時の間]に行き、私たちは魔王さまの前で片ひざをついた。私がラモスさま。花苗がロペスさまへの完全なる従属を誓った。私たちは彼らの前で片ひざをついたまま近況報告を始めた。「今日は高田姉妹が来てくれました」「私は佐村姉妹としっかり対話できました」私たちは性の悩みやバロンへの想いを赤裸々に吐露。すると私たちは羞恥と生気に満ち溢れ、頬を紅潮させたまま雑務に戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ