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柚香と浅美の日常

6月19日。花苗と繭子は登校した。私は浅美と部屋でリモートワークに励むも、まだフワッとしていた。何しろ参戦は2年ぶりだし、エージェント活動すらしてない。近年の魔法戦士はまずエージェント登録してから活動開始。それから参戦に至るのが通常の流れ。だが前回だって私たちは全く活動なんてしていないし、一昨日から急激に気温が上がった。「前回と似た流れね」「かもしれないわね」6月で36度はあり得ない。だが娘たちは145センチ。バストサイズは80にまで上がった。「前回は135センチで74だったからね」「かなりサイズアップしたわね」私たちはバロンと体格差はなく、あとは花苗たち次第。幸いにもアルノたちはお姫さまたちへの執着がなく、すんなり彼らとの再戦が内定した。ハンナによれば王族よりも庶民の方がやりやすく、かつ人気が出やすいからだという。私たちは魔王さまから[純聖騎士団]の称号を与えられた。4人だけに付与された特製イニシャルにはJとKがあしらわれ、私たちのコスチュームの左胸に燦然と輝いた。エージェント活動はできないが、私たちには事務員の育成という使命を与えられた。名古屋駐在歴2年でもハンナはデジタル社会に順応しきれていなかった。雑務に励めば最低時給3000円。通常ならば2500円だが、私たちは前回の参戦を評価され、増額されたのだ。異世界の殿方と1度でも矛を交えれば結果を問わず立派な魔法戦士として認められた。新団員が加入すれば最低時給2500円。しかも末席に名を連ねることなく、彼女たち相応の地位と役割が保証された。そうしないと今どき法華みたいなタテ社会じゃ誰もついてこない。純聖騎士団は私がリーダー。浅美がサブリーダーだが娘たちはあえて役職で縛らず、自由にさせた。純聖騎士団は異世界の殿方と戦いながら成長を重ねていく。私たちは魔法戦士としての気高さや誇りを失わぬよう求められたが、それ以上は求められなかった。だがすでに向こうでは大々的に報じられ、私たちは[久々の名古屋産]として庶民に期待されているようだ。「去年は参戦者ゼロだからね」「今年もまだゼロらしいよ」一昨年は4人だから私たちしか参戦していないのだ。純聖騎士団は名古屋産の魔法戦士を増やすことも期待されたが、かと言って法華方式ではダメ。人の下に人を作る時代ではないし、もはやそんなやり方は通用しない。私たちだって誰かを不幸にしたいわけじゃない。でもリアルでの再婚はムリだしまだ終わりたくない。私たちは異世界の殿方しか愛せない。2年前の記憶は甘ったるくて意外とキツいイメージは浮かばない。これは記憶がウソをつくからだ。実際にはキツかったはずでも意外と覚えていないのは何らかの操作が脳内で行われた証拠でもある。私たちにそんな認識は微塵もなく、ただ参戦動機を綺麗にしたかった。もちろん私たちは女性だから[自身の性慾に負けた]でもいいが、果たしてそれをアルノたちの前で堂々と言えるかな?「そこは自信ないわ」「できればもっと綺麗な動機が欲しいわね」「じゃあ[自慢の愛娘を見せたかった]はどう?」「悪くないわね」私たちは綺麗な動機作りに熱中したが、やっぱり彼らに正直に言いたくないわ。ましてや逢うのは2年ぶり。バロンをガッカリさせたくないという気持ちが真っ先に働くのは仕方がない。「白けちゃうよね」「それじゃあしんどくなるわ」私たちが本心をぶちまけるのは後回しにすればいいが、説得力ある動機はやっぱり花苗たちの成長した姿しかない。「花苗たちに再会すれば彼らだって納得するわ」「たぶんね」じゃあ私たちは?何のために再戦するの?「アルノと恋仲になりたいからよ」「柚香、それだけ?」「もちろん違うわ」「私はピルロと家庭を築きたいわ」「私だってアルノと再婚したいわ」「じゃあ同じね」な、なんか言わされた感が凄いわね。やっぱりおっとりした私よりもしっかり者の浅美の方がリーダーにふさわしいわ。「じゃあ浅美、リーダーやってよ」「ダメよ。私は柚香のお目付け役だからね」結局純聖騎士団の序列は変わらず。ただハンナによれば今年から夏服が紺から赤のミニに変更された。「色だけ?」「タテに線が入る制服タイプは同じ」「他に違いは?」「丈の短さが女子高生並みにされたわ」「ええ!?」マジですっごく短いんですけど。しかも三十路でも思春期の女の子も丈の長さを統一された。救いは夏が短いこと。お盆休みなしでたったの4戦。異世界では6月から8月が夏。9月から11月が秋だから9月に衣替えがあり、私たちは秋服に変わる。「秋服は?」「ミニの丈が5センチ伸びるわ」「よかったあ」露出度が下がれば私たちはやりやすくなるが、まず対戦に慣れること。42歳のバロンだって簡単にはいかない。「彼らだってバテるわよ」「そうね」もしかしたらお盆前まで流してくるかもという淡い期待が膨らむ。だといいんだけどなあ。

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