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完璧美少女、月島さん~実は性格最悪!?~  作者: オウカ
桜子編~総集編と裏側・そして新生活へ……~
38/39

中編~あの時の裏側~

今回もメタ要素を含みます。

 4.二学期と綾菜さんとの会話



 二学期が始まった。


 ここは作者が"月島さんブーム"と名付けたほどPV数が上がっており、内容もスピード感が感じられた。


 実際には"作者のゴリ押し"みたいなものだったが、私はみんなとの日常を楽しめていたので気にはしていない。



 そして12月に入り、私が最も尊敬する女性である海野(かいの) 綾菜(あやな)さんから連絡があった。


 カフェで近況報告などをして盛り上がっていたが、恋バナになって彼の事を思い出してしまうと、その想いが止められなかった。


 なんとかして、綾菜さんに彼の事を好きではないと誤魔化そうとしたが、嘘は通じそうになかったので、正直に話す事にしたのであった。



 ──────────────


 ───────


「……正直に言えば好きです、大好きなんです。でも、私から好きって言いたくないんです。つまらないプライドなんですけど、彼から言ってほしいんです」


 私が本心を語ると、綾菜さんは優しく微笑んでいる。


「やっぱりね。桜子ちゃんって昔から嘘つくの下手ね。それで私の聞いている限り、彼って自分から好きって言葉にしてくれないと思うわ」


 先程まで微笑んでいた彼女が、真剣な眼差しをこちらに向けてきた。



「どうしてですか?」


「多分、桜子ちゃんには彼の気持ちは理解できないと思う。なぜなら桜子ちゃんは"全てを持っている"から」


「"持っている"……?具体的にはどういう事ですか?」



 私には分からなかった。持っているという意味も、そして彼の気持ちも。


「秘密。この答えを言っても桜子ちゃんは納得してくれなさそうだし。それに……」


 話している最中、彼女は少し俯く。


「ど、どうしたんですか綾菜さん。教えてくださいよ!」


 語気を強めて詰め寄る私に、綾菜さんは顔をそっと上げて理由を語った。



「だって"二学期"編の反応、私のところだけ感想とかスタンプないんだもん。私人気ないんだろうし、そんな格下の人の話、大人気の桜子ちゃんは聞きたくないでしょ?」



 驚いた、拗ねている!

 そんな理由で……しかもそれは作者の書き方の問題で、あの時は台詞多めで書けば描写を描かなくていい!と言う甘ったれた考えがあったからであり、綾菜さんが人気がない訳ではないのだ。



「綾菜さん!私、良雄……好きな彼と同じくらい綾菜さんの事好きですし、尊敬もしています!だから機嫌直してください!」


 必死に頼み込むと、綾菜さんは「本当に~?」とイタズラな笑みを浮かべているので、必死に頷いて肯定した。


「ふふっ、冗談よ。でも言っても理解できないってのは本当よ。あなたをからかうの面白いわね!」


 高笑いするような彼女を見ていると、この人の方が一枚も二枚も上なのだなと思わされたのであった。





 5.好きな人の妹と卒業式



 三年生になった私は、女装先輩の代わりに入ってきた一年の鼈 火音(かのん)と反りが合わなかった。


 生意気で一々こちらに突っかかってくるので、度々彼女と衝突しては、何度バックドロップを決めたくなったことか。



 それでも色々と行動を共にしていく内に、生意気ながらもどこか子供っぽい彼女の事を嫌いにはなれず、どこか"妹"のように思えて仕方なかった。


 向こうも最初は反抗ばかりしていたが、月日が流れていく内にその態度も軟化した。



 そして卒業式。


 私が水谷と鷲尾……だったか、そんな奴らと最後の別れの挨拶をしている最中、校舎裏に来い!と火音に呼び出されたのだった。



 ──────────────


 ───────


 卒業生たちが、在校生や先生と別れの挨拶を交わしているので、全くと言っていいほど人気がない校舎裏。


 火音はしばらく無言で歩いていたが、ある程度行ったところで立ち止まり、こちらを向いた。



「月島……ううん、桜子会長。これからお兄ちゃんに告白しに行くんでしょ?」


 語気を強めて話す彼女。しかし言葉とはうらはらに、その表情はどこか悲しげであった。


「お前……なんでその事知ってるんだ?」


「会長がお兄ちゃんの事好きなの前から分かってたし、告白するなら卒業式かなって。あとは"女の勘"って奴ね」


 火音は軽く笑みを浮かべながら語っている。



「私ね、お兄ちゃんの事昔から好きだったの。優しくて頼りになるお兄ちゃんが……でもある時、お兄ちゃんは好きな人が出来たみたいで、ラブレターを書いているの見ちゃったの」


「それが私に渡す予定だった奴か……実際には渡されないで風に飛ばされて見てなかったが、実物は水谷が見つけて今持ってるよ」


「その場では見てないんだ。もし、見てたらどうしたの?」



 その場で見ていたら……まず間違いなく、自宅にある手動のシュレッダーで処分していただろうが、そんな事言ったら火音がキレそうなのでやめた。


「見てたら断ってたよ。でも今、同じように彼から渡されたら即オッケーするだろうよ」


 半笑いで問いに答えると、火音は深くため息をつく。


「ずるいよ。会長みたいな美人と一緒にいたら、男は誰だって好きになっちゃうよ……私には、会長みたいな魅力、ないもん……」



 鼻を啜りながら、涙が流れないよう必死に話している彼女へ近づき、そっと抱きしめ頭を撫でる。


「お前にはいいところがたくさんあるさ。例えばその無邪気なところとか、前向きなところ、それに顔だって可愛いじゃないか。もっと自分に自信を持てよ」


「会長……ごめんなさい。今まで生意気な事言って……ぐすっ……」


「謝る事ないさ。お前のその"生意気"なところ、嫌いじゃなかったよ」



 しばらく火音は泣き止む事はなく、その間ずっと傍にいてあげた。


 そして、涙も気持ちも落ち着いた彼女は、埋めていた顔を上げ私をジッと見ている。


「会長、もしお兄ちゃんと両想いになって、彼氏と彼女の関係になったら、会長の事……その……"お姉ちゃん"って呼んでいい?」



 お姉ちゃん……私は一人っ子だから、何度か妹が欲しいと考えていた時期があったが、それが今叶うとは思ってもみなかった。


「いいよ火音。もし私がフラれても、お前は私の大切な"妹"だよ」


「会長がフラれるはずないよ。お兄ちゃんも会長の事、絶対に好きだから。だから告白、頑張ってね。"お姉ちゃん"!」



 純真無垢な彼女の笑みを見ていると、本当の妹に思えて可愛くて仕方なかった。



 そして火音とは別れの挨拶はしなかった。


 なぜなら"妹"として、すぐ再会できると信じていたからだ。





 6.その後



 卒業後は同じ大学へ通った。


 大学生活は楽しかったが、内容は割愛させてもらう。


 色々ありすぎて、語りきれる量ではないから……と言うのは建前で、本音は作者が大学生活とは何かを、真に体験していないから書けないのである。



 相変わらずお互い実家暮らしで、大学を卒業し、社会人になって仕事に慣れてきたら、一緒に暮らそうと約束していたのだ。


 私は大学を卒業後は大手メーカーの事務へ、彼は飲料メーカーの工場で、PCを使用して工場を稼働させる。というよく分からない仕事をしている。



 そんな私達も就職して早二年。


 お互い仕事にも慣れてきたので、ついに"同棲"する事を決めたのであった

(後編へ)

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