表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/39

第3話 ライバル登場! ~私に今からラブレターを書け!~

 鴻巣第一新聞の次のテーマは【モテランキング】


 これは異性にどれだけ人気があるか、つまりラブレターをどれだけ貰えたかで順位をつけていく。



 期間は二週間あり、中間発表が一週目を終えた段階で発表され、今日がその日なのである。


 まあ月島さんが一位なんだろうなと思い掲示板を見た僕は目を疑った……【二位 月島 桜子……ラブレター30枚】


 あと人が二位……僕はショックよりもこの先荒れて僕に罵詈雑言を浴びせてくるんだろうなと考えながら生徒会長室に行く事にした。



 ◇


 あだ名を付けられた翌日から、僕は生徒会へ半ば強引に入らされることになり、書記に任命され彼女の下で"奴隷"として働かされていた。


 そしてスマホに「来い」とメッセージがあれば生徒会長室へ来るように言われており、それがさっき来ていたのだ。



 いつものように扉を開けると、月島さんが頭を抱えながら部屋の中をぐるぐる回りながらぶつぶつと何か呟いている。


 声をかけようとした時、こちらの存在に気が付いたのか足を止めこちらを鬼の形相で睨んだと思ったら、またぐるぐると部屋の中を回る。



 相当ショックだったんだろう、彼女が中間発表とはいえ一位以外を取ることはなかった。


「月島さん落ち込まないで、まだ中間だし……」



 声をかけたらまた足を止め、そしてまたこちらを見ると、何かを思いついたのかハッとした表情をし、僕に詰め寄ってきた。


 何回か呼び出されているからわかるが、これは良くない考えや要求をされたりする流れだ……


「おいスッポン、私に今からラブレターを書け!」



 耳を疑った……まあ思い返せば最初ラブレターを渡そうとした事が出会いだった訳だが、急にそんな事言われても……


 まごまごしていると、事前に用意していた"下僕専用"と小さく張り紙がされてあるパイプ椅子に座らされて、ピンクの便箋とシャープペンを渡されて「書け」とぶっきらぼうに言われる。



 "ラブ"が全く籠っていないレターを僕が書いている間、今回一位になっている水谷(みずたに) ミキさんについて月島さんは暴言混じりに語っていた。


 ───────


 水谷さんは一年生の生徒会書記で僕も何度か話した事があるが、大人しめの性格にメガネでおさげが特徴の女の子であり、月島さんよりモテるイメージはなさそうなのだが、彼女の武器は外見にある……その武器とは"胸"である。


 月島さん調べによるとEはあると悔しそうに語っており、誰にでも優しく接するので勘違いする男が多いと分析していた。


 ───────


 書いたよ、と言おうとした時にはラブレターを奪われ、中身も読まずに「ごめんなさい」と頭を下げられた。


「よし、これで31枚目…………奴が32枚だからもう少しだ……おいスッポン、暇だしライバルの様子を見に行くぞ!」



 生徒会は会長と僕を含め五人いるのだが、今日は水谷さんだけが隣の生徒会室で作業をしていたので、そのライバルの様子を見るため僕は強引に連れて行かれる。


 生徒会室は黒板と会社などでよく見る事務用のデスクが五つあるだけなのだが、そこへ入ると水谷さんの名前が入ったプレートが置いてあるデスクに彼女が泣いて座っていた。



「水谷さんどうしたの!?」


 急いで彼女の元へ駆け寄り優しくハンカチを手渡す月島さんを見て、この人は二重人格なのかなと勘ぐってしまった。


 お礼を言いながら青いハンカチを受け取り涙を拭いた後、何があったか話してくれた。



 ◇


 新聞が発行され彼女が一位になったのを知った同級生が靴を隠したり、教室で無視や足をかけてわざと転ばされたりしたという。


 前から女子から嫌がらせはあり、担任の鳥井(とりい)先生には相談したが何もしてもらえていなかったと彼女は説明してくれた。



「私もう学校来たくないです……」


 俯き、涙をまた流しながら水谷さんが言うと、月島さんは「許せない……」と呟き、生徒会室を急ぎ足で飛び出し職員室へ向かっていたので僕も後を追いかけた。



「月島さんどうするつもり!?」


「決まってるでしょ、鳥井に文句言いに行くんだよ! 教師なのに子供達の問題を見て見ぬふりなんて職務怠慢だ!」


 彼女を止めようとしたが、僕の静止を振り切り職員室の扉をガラガラッと勢いよく開け鳥井先生の前へ行く。


 職員室内が何事かとザワザワしていると、彼女は話があるから別室へと職員室の隣にある応接室へ鳥井先生を呼び出した。



 ◇


 応接室に移動し、僕と月島さんが並んで座り、向かい側には鳥井先生が座った。


 鳥井先生は何の用か少し怯えた様子で聞いてきたので、月島さんは水谷さんがいじめられているのを何故無視するのか聞いた。



「いじめではないですよ、月島さん。水谷さんから相談があった後、その子達へ事情を聞いたのですが無視はしていないし、足を掛けたのもワザとではなくたまたま引っかかったと言っていました。周りの生徒にも聞きましたがそう言った事はなかったと言う事で、"いじめはない"と言う結論になりました」


「それじゃあ水谷さんが被害妄想で言っているだけと申したいんですね?」


「いや、被害妄想と言うより勘違いと言うか……」


「私には同じように聞こえます。彼女は生徒会室で涙を流し、いじめがあった事を言ったがなにもしてもらえなかったと証言しております。

 もし本当に調査して彼女にさっきの事を説明したなら、"なにもしてもらえなかった"ではなく"いじめじゃなかったと説明された"と言うような言葉が出てくると思うんです。

 先生の言葉は本当ですか? もし本当の事を言ってもらえないなら私が独自に今回の事を調査しようと思うのですが……先生、嘘はついてないですよね?」



 真剣な表情で先生と勝負している月島さんは凄くかっこよく見えた。


 しばらく沈黙した時間が流れたが、鳥井先生が先程の話は嘘で本当は大事にしたくないと無視した事を話してくれた。



 その発言を聞いた後、ニヤリと悪い顔で笑う月島さんを見て、これは相手を追い詰める快感を得ている表情だと悟った……


 その予想は当たり、先程の会話は全て録音されており、もしまた無視を決め込むようなら録音した内容を然るべき場所へ提出すると脅迫したのだ。


 それを聞いた鳥井先生の顔は血の気が引いていた……



 ◇


 数日後、鴻巣第一新聞の号外が貼り出された。


 内容は今回のモテランキングの中止に関することで、鳥井先生があの後いじめがあった事を調査し、実際その事実があった事を認め、水谷さんと親御さんへの謝罪、そのきっかけとなった今回のランキングを中止にする流れとなったのだ。



 この事を月島さんへ報告し、優しい所あるんだねと伝えると彼女は「不登校になれば勝ち逃げされたようで悔しいから抗議したまでで別に水谷のためでは無い」とツンデレのような発言をしていた。



 その真意は不明だが水谷さんは変わらず学校に来てくれているのだが、今回の一件で"会長ラブ"になったようで生徒会室の自分のデスクにはいつ撮ったのかわからない月島さんの写真がずらりと並んでおり、彼女を見かけると「今日も美しい……」と褒めちぎる様子が見られるようになった。



 月島さんも満更ではなく、水谷さんを"下僕二号"と裏で呼ぶようになっていた……

更新の感覚が空いてしまい申し訳ありませんでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
月島さんの性格が狡猾すぎる! でもすごい……計算が高すぎる上にこんなピンチ助けられたら下僕になるに決まってる! 舎弟にされたスッポンくん、ニ号になった水谷さんの行く末が気になりすぎる! とくに水谷さん…
これは……確かにギャグ寄りラブコメ!! 月島さんのキャラクターが強烈すぎて、どんどん続きを読みたくなってしまうやつですね!! 舎弟にされたスッポンくんの行く末がとっても気になります。笑 引き続き追わせ…
月島さん、黒い、黒すぎる。 アマガミの某絢辻さんより黒いし、濃いキャラだ。 でも水谷さんの為に動く、という意外な面も良かったです。 これは先が色々と楽しみな作品です♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ