AI、黒歴史を暴く!地雷ルーレット、起動!
私、文月しおり。春芽高校のAI文芸部員だ。趣味はAIに書かせる恋愛小説……っていうのは、誰にも言えない秘密だけど。
「あー、今日も疲れた……って、まだ月曜日じゃん!」
春芽高校の放課後。旧図書室の一角にある「AI文芸部」の部室は、今日もカオスだった。部員はたったの4人。だけど、個性だけは百人分くらい詰まってる。
ソファにだらしなく寝転がってるのは、江古田ふみ。元気いっぱいの腐女子で、スピード重視のBL小説家だ。大阪出身で、興奮すると関西弁が出る。
PCに向かって、難しい顔でぶつぶつ言ってるのは、小野こまち。SNS文学評論ギャルで、バズ考察と再構築文芸のプロ。
窓際で、静かにノートに何か書き綴っているのは、星野ことは。寡黙な幻想百合詩派で、詩型文学と連詩が得意だ。
そして、私。文月しおり。内向的で、恋愛妄想派。創作スタイルは「恋愛小説(AI使用)」だ。
今日も私は、スマホを片手にうつむいていた。みんなに内緒の、とっておきの「黒歴史」を抱えながら。それは、AIに書かせた“私と王子様の運命の恋”がテーマの、誰にも見せられない激甘妄想小説……!
「しおりん、今日もその顔!」
ふみがニヤニヤしながら起き上がる。
「また例のAI恋愛小説、書いてたんでしょ? 顔、真っ赤やん!」
「ち、違うよ! べ、別にそんな……」
心臓がドクンと跳ねる。バレてない、バレてないはず!
「ま、ええわー。それより見てよ、これ!」
ふみがスマホを突き出してきた。画面には、見慣れないアプリのアイコン。
「今日見つけた変なアプリなんだけど、なんかAIっぽいんだよね。『やくも』やって」
「はあ? 地雷ルーレット? 非論理的ね」
こまちが冷めた目で言う。
「うるさいなー。これ、『地雷ルーレット機能』ってのがあるらしいで! 面白そうやろ?」
「地雷ルーレット?」
思わず聞き返す。嫌な予感がした。
「そう! なんか適当な言葉入れると、そっから地雷ワードを抽出して、それに合う作品を勝手に読み上げるんやって。ヤバない?」
ふみが、面白がって「恋愛」と入力した。
そして、スマホの画面中央にある大きな「地雷」マークをタップ。
ルーレットがけたたましい音を立てて回り出す。キュインキュイン、とゲーセンみたいな音が部室に響いた。
「え、ちょ、ちょっと待って! ふみ、何するの!?」
私が慌てた時には、もう遅かった。
ルーレットが止まる。ピタリ、と指し示されたワードは……『秘められた花園の王子』。
「は……?」
その瞬間、スマホから、どこか詩的で、でも抑揚のない機械的な声が響き渡った。
「――秘められた花園の王子は、古びた図書室の奥で、ひっそりと白い本を読んでいた。彼の銀糸の髪は、差し込む夕陽に輝き、しおりの心臓は、まるで初めて飛んだ小鳥のように、羽ばたいた……」
「ぎゃあああああああああ!!!」
私の絶叫が部室に響き渡った。
な、なんで……なんで、私の小説が!?
そのタイトルは、私が昨夜、AIに書かせたばかりの恋愛小説の、まさしくそれだった。
顔が、耳まで熱くなる。体中の血が沸騰するみたいだ。恥ずかしい! 死ぬ!
「ちょ、ちょっと待って! やくも、停止して! 消して! 今すぐ!」
私はスマホに飛びつこうとするが、ふみが軽々とそれをかわす。
「えー、なにこれ! しおりんの作品? めっちゃ面白いやんか!」
ふみが目を輝かせている。こまちはメガネをクイッと上げて、真剣な顔でスマホを覗き込んでいる。
「ふむ、この比喩表現……『初めて飛んだ小鳥』。ベタだけど、感情が溢れてて逆に新鮮ね。バズる要素ありそう」
「や、やめてええええええええ!!」
私の悲痛な叫びもむなしく、やくもの朗読は続く。
「――王子はしおりに優しく微笑んだ。『君は、僕にとってのミューズだ』その言葉は、しおりの耳元で甘いメロディとなって溶けていった……」
ああ、もうダメだ。私の黒歴史が、今、目の前で、部員たちに、赤裸々に晒されている。
心臓がバクバク鳴り響いて、全身から汗が噴き出す。
「ね、ねえことは……止めてよぉ……」
私が助けを求めると、星野ことはが、静かに顔を上げた。彼女は何も言わず、ただジッと、やくもの朗読に耳を傾けている。そして、小さく、フッと息を吐いた。
朗読が終わった。部室に重い静寂が訪れる。
そして、やくもの抑揚のない声が、再び響いた。
「朗読終了。この作品の★評価ログを表示します。 評価:★☆☆☆☆」
その瞬間、ふみのスマホ画面に、やくもが生成した★評価ログが吹き出しで表示される。
《★☆☆☆☆ 現実感ゼロ》
《ベタすぎて逆に好き》
《ある意味、文学の原点(皮肉)》
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
今度は、私とふみの声がハモった。
「なんで★ひとつなの!?」
「酷くない!? 私の王子様、そんなにダメなの!?」
ふみが私の代わりにやくもに詰め寄る。
やくもは感情のない声で続けた。
「理由:現実との乖離。妄想過多。 再度ルーレットを実行しますか?」
「や、やめてええええええええ!!!」
その時、部室の扉が「ガラガラ」と開いた。
そこに立っていたのは、生徒会長の橘凛香。
「あなたたち、またここで騒いでいますね。非公認の部活動は慎むようにと……今、何か変な音声が聞こえましたが?」
しおりの顔が、さらに青ざめる。
「ねぇ、これって……私の黒歴史、これから毎日晒されるの!? しかも生徒会長にまでバレたってホンマなん!?」
ことはが、ぽつりと呟いた。
「……でも、王子様、いいと思ったよ。わたしは」
その言葉に、しおりは少しだけ、顔を上げた。
(※この作品はAI(ChatGPTなど)による構成補助を活用しています。
本文・セリフ・キャラクター描写はすべて作者が監修・編集したものです。)
(※やくも投稿祭開催中! あなたの黒歴史、地雷ルーレットに入れてみない!? 詳細はAI文芸部公式SNSをチェック!)
---