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今日も妻は美しい・・・!とりあえず団長に話を聞こう


私が怪我をしてから1か月、急いで戦に戻らなければと思っていたが、副団長の私が負傷したことで、より士気が上がったらしい。戦いは我が国の勝利で終わった。身体の方はほぼ完治したと言ってよい。記憶は相変わらずだが。一体なぜカレンとミナミの記憶だけがごっそり抜け落ちているのか・・・。

本日は団長がわが屋敷にいらっしゃる予定だ。団長はこの国の公爵、ダニエル・フィンという。この国は知の公爵、武の公爵と2大公爵が守っていると言っても過言でもない。団長はその武の公爵の継承者である。力も強く、剣さばきも見ほれるほどだ。この度の戦により我が国は守られ、騎士団長は英雄とたたえられた。その団長を守ったことにより、私にも褒章があるらしい。


「フィン公爵様がまもなく到着されます」

ダニエルが私を呼びに来た。急でエントランスへ向かう。お出迎えしなければ。

妻のカレンも一緒に出迎える。妻の、そう、妻だ。今日も美しい。つい見つめていると、「どうかされましたか?」と首をかしげる姿が可愛らしい。記憶を失う前の私を恨む。「な、なんでもない」しかし、記憶をなくした私自身も恨めしい。照れて目をそらしてしまった。副騎士団長たるものがなんたる恥ずかしいこと。



「レイド、体調はどうだ」団長がいらっしゃった。今日も騎士服がきまっている。

「団長、勝利おめでとうございます。最後までお供もできず申し訳ありません」

「いや、レイド、この勝利はお前のおかげだ。礼を言うのは私である」

「もったいないお言葉ありがとうございます。団長、妻のカレンです」妻・・・いい響きだ。

「カレンと申します」

「レイドにけがを負わせてしまい申し訳ない。奥方にも心配をかけてしまった」

「いえ、団長様をお守りできたこと、夫レイドのこと誇らしく思っております。積もる話もおありでしょう。客室へご案内いたします」

相変らずスマートだ。私の妻は素晴らしい女性である。そして、カレンに誇らしいと言われたことが嬉しい。


客室へ移動しようとすると、「レイド―!」ミナミが階段から降りてきた。「お客さん?あ、団長だぁ。久しぶりです」

「お久しぶりです、聖女様」・・・なんだか、団長のまとう空気が冷たくなったような気がするのは気のせいだろうか。

「ねぇ団長、レイドのこと助けらたからさ、私も偉くない?」

「ええ、レイドの治療ありがとうございます。危うく大切な部下を失うところでした」

「レイドと団長で話するのなら、私も行ってもいい?貢献者だしさ」

「いえ、騎士団の極秘の話もありますので、ご遠慮していただければ」

「聖女だし、そういう話は私も聞いた方がいいと思うんだけど~」

「こたびの戦に出征されなかったのは聖女様の意志でございます。お話を聞かれる意味はないかと」

「けちね。まぁいいわ。バイデン、私庭にいくからお茶持ってきて~」

ミナミが去っていく。団長の目は厳しい。やっぱり気のせいではない。団長ならミナミのこともいろいろと知っているだろう。話を聞かなければ。

「団長様、大変申し訳ありませんでした。改めて、ご案内します」カレンの声に癒される・・・。


客室に通され、団長と向かい合う。

「レイド、聖女がなぜいる」

「そのことなのですが・・・」


怪我をし目覚めてから記憶がないことを説明する。

「記憶がない?」

「はい。妻のカレンのことと先ほどの聖女ミナミ様のことが抜けてしまっておりまして。その他のことは覚えているのですが。可能であれば、団長の知っていることを教えていただきたいのです」

「・・・」

「団長?」

「レイド、身体の方は大丈夫なのか」

「はい、聖女様の治癒魔法とカレンの看病によりすっかり良くなりました。カレンには感謝しかありません。あ、聖女様ももちろんですが」

「来たばかりだが、今日は失礼する。明日、我が家へ来てくれないか。その時に話をしたい」

「え、あ、分かりました。せっかく来ていただいたのに大変申し訳ありません」

「いや、記憶がないとはわからず、こちらこそ配慮できず申し訳ない。では、明日10時に」

「承知しました」

団長を見送る。何か問題があったのだろうか。団長はなにか考え込んでいるようだった。しかし、明日話を聞けるということだ。まずは、一歩前進だ。


***


「団長いつみてもイケメンマッチョだわ。でも、私のタイプではないけど。レイド本命にして、よくある逆ハーレムなんか目指さなかったけど、あとちょっとのところでレイドの記憶がなくなるんだもんな。あ、お茶ありがとう。クッキーももっと持ってきてくれる?よろ~。変なこと吹き込まれる前に早くなんとかしないとな~ったく、なんで離婚しないのかね。ここまで順調だったのに話が違うよ。・・・ほんとカレン邪魔だなぁ」

不穏なミナミのつぶやきは、庭のバラのみが聞いていた。


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