ゲート
私たちは冒険者ギルドに来ていた。雪さんはまっすぐ受付に向かう。周りの人は雪さんに気づき道を開けていく。ギルド内は少しざわざわとなっていた。
「いつも通り、A以上のゲートはあるかな?」
「はい、今はAのゲートが1つあります。場所はこちらです。」
受付の女性はそう言って地図を見せてくる。そして指で刺された場所はここからそこまで離れていない大通りのど真ん中だった。
「つい先ほど現れたゲートでゲート内の魔力量を測ったところA以上が観測されました。」
ゲートは中から感じられる魔力量によってランクが決められている。Cでもかなり危険でAともなればいつウェーブが発生してもいいように辺りの避難誘導がすぐに行われるレベルだ。
「うん。じゃあ、そこに行こうから。よし、行くよ、奏ちゃん」
「は、はい。」
そうしてすぐに私たちはギルドを後にした。
・・・
「ここがさっきのゲートの場所だね。」
そこには巨大なゲートがあった。
「あ、そういえば奏ちゃんの役職を聞いてなかったね。」
「私は魔女です。」
「おー、上位職なんだね。」
役職には下位職と上位職の2つがある。魔術師、剣士、盾使い、召喚士などが下位職、魔女、賢者、侍、ガーディアン、死霊術師などが上位職とされている。
「これでも冒険者ランクAなので。」
「そうだね。あ、僕は侍だよ。一応魔法も使えるけどね。」
「わかりました。」
「うん。じゃあ行こうか。」
そして私たちはゲートに入っていく。
・・・
ゲートをくぐり終わると中は森林の広がった世界だった。
「よかったー。気温は普通だね。」
ゲートの中は外からは分からず気温に結構な差がある。マグマの世界から雪国の世界、砂漠の世界に海の広がった世界などの可能性もある。その中で森林の世界は気温がほぼ外と変わらないため安全な部類ではある。
「じゃあ、ボスに向かって突っ走ろうか。」
「わかりました。」
私がそういった瞬間、周りの草木が揺れる。そして気配がいくつも現れる。
「出てきたね。」
そこからゴブリンが現れた。モンスターにもランクが存在し通常のゴブリンはEとされている。だがこのゴブリンは・・・
「かなりの魔力を保有してますね。」
「そうだねー」
ランクは魔力量、攻撃力、防御力、HPなどを考慮して決められている。今回のゴブリンは通常の何倍もの魔力を保有し、軽く見てもC以上は確実だろう。
「ここは私が」
「いや、ここで時間を削られるわけにはいかない。速く終わらせないと、ウェーブが起きたらめんどくさいからね。一瞬で終わらせよう。」
そして雪さんは腰に携えた刀に手をかける。そして一瞬刀が動いたように感じたら、雪さんは何事もなかったように森林を進んでいく。するとゴブリンの首が落ちた。
『全く見えなかった。』
私もA、動体視力もかなり高い。その私ですら見えないほどの速さでゴブリンを切り裂いたのだ。そして私は思うのだった。
『バケモノ』
と