たまごの王子はたまたまタマコンニャクウオを見つけるお話し
私は玉子の王子だ。何、わかりづらいだって?
そう思って、たまごの王子に変えたのだよ。
ここは金星人のマヤが金魚人のスタッフと開発した、ほのぼの系VRゲームの世界だ。
――――ボチャリ。
開始早々、水飛沫をあげてダイブした。
どういう世界かわかるだろうか?
……殆ど水だ。湖だ。大海の中に湖の島があるんだ。
ゲームだから浸透圧などは関係ない様子だ。しかし、たまごは沈むのだが。
どうやら私の王国は沈んでいるらしい。
……ふむ、金魚人の頭がどうなっているかを問うよりも、金魚人の憧れる世界は、この世界なんだと思うとしよう。
私だって、たまご愛に溢れた世界を作るとしたのなら暖かい柔らかいたまごに優しい世界を構築する。
そう、転んでも落っことしてもたまごが割れない世界だ。
ある意味、金魚人の作るこのたまごの王子の王国は理想かもしれんがね。
水のおかげで沈むのが難点だが、衝撃は緩和される。
私は鮮度抜群のたまごの王子だが、たまごのじいやの中には海水で浮いてしまう事もあるようだ。
さて、遊びに来たは良いが何もないぞ、このゲーム。
このVR世界慣れた金魚人達が金魚に乗って、水中遊泳を楽しんでいる。
私も乗って見たのだよ。たまごの王子用の、美しい白い金魚の背に。
優雅に水中を泳がせようとしたのはいいのだが、たまごと金魚の背中は相性が良くなかったようだ。
深みに沈んでいくたまごの王子である私は、どうやら光の届かぬ深海へやって来た――――
――――そこにいたのは私の世界に是非とも呼びたい逸材だった。
柔らかでぷるぷるした丸い身体。オタマジャクシかと思ったが、あれは蛙の子だ。
この理想的なボディを持つお魚は、タマコンニャクウオというらしい。
水流に流されないように岩壁にピタッと吸い付いて離れない。
私を助けてくれたようで、優しくツンツンしながら上層へと運んでくれた。
浸透圧も水圧もないVR世界で良かった。たまごはやはり沈むのだが。
金魚人の水の世界を堪能した私は、この世界の出口が空中にあることを思い出した。
たまごの王子に理想的な乗魚が見つかったのだが、帰るために必要なのは、トビウオのようだな。
……よしっトビウオよ、まずは沈むたまごの王子の国まで私を迎えに来るのだ。
何故かたまごは水に沈み、一定値以上の塩分濃度がないと浮かばないリアル設定。
殻だけにたまごに辛くないかね。
――――君たちの大好きな金魚ビールに我が同胞が活躍したのを忘れてないかね。
お読みいただきありがとうございました。この物語は、なろうラジオ大賞5の投稿作品となります。
初のVR作品になりました。水にだけで出来ている世界をイメージしたのですが、たまごの王子の王国やお城まで、流石に表現出来ませんでした。
たまごシリーズは常にたまごの〇〇って何だよ、って言ってもらうための作品です。まあ、たまごはたまごなのです。
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