別視点 依存
「えっと…203号室…っと」
私は×××のことをあの場に送り届けてから、彼がいるであろうホテルに来ていた。教えられた部屋番号の部屋を見つけ、もらっていた鍵で開ける。
「帰ったよ~ユキ~」
私が部屋へ呼んでみるが返答は帰ってこない。
「ユキ…?」
もう一度問いかけても答えは返ってこない。
焦りながら部屋を進むとベッドが少し膨らんでるのが見える。さらにその中からかすかに寝息も聞こえ、思い出したかのように時計を見ればすでに日付は変わっている。
(考えてみたらそうだよね…)
私たちがおかしいだけで彼は普通に眠っちゃうのはしかたがない。そう納得しつつ、私はガサゴソとそのベッドにもぐりこむ。着替えやお風呂は全てむこうで済ませたので気にすることなくもぐりこめばかわいらしい彼の寝顔が吐息を発し横たわっている。
「ん…ただいま」
私は彼の唇を奪いながら言うとゆっくりと彼に抱き着く。別に起きてほしいなんて言うつもりはないけれど「おかえり」がないのはなかなかにさみしい。そのさみしさから彼との交わりを強くする。
(かわいい…)
私がふさいでいる彼の口からは漏れ出たような吐息が落ちる。その愛おしさに思わずユキに強く抱き着きはぁっと息を吐く。
(場所も場所だし…いいよね?)
自分に問いかけると許可しか返ってこないことを分かっていながらも自問自答をする。そもそも彼が呼び出してきたのがこういうホテルだったので意識するのは当たり前なのだがいざ帰ってみればすやすやと眠っている彼…その事実に少し怒りを覚える。
「もういいや」
そうつぶやき私は彼に馬乗りになる。
「絶対寝かさないから」
そう宣言し私は彼に手をかけるのだった。
「ん~」
ゆっくりと目を開けるとそこには昨日と同じ彼の寝顔がある。朝日が昇っている事とお互い服を着ていないことを除けば昨日と同じかぁ…なんて、そんなことを考えながらまじまじと彼の顔を見つめているとその瞼がゆっくりと開いた。
「………」
彼は私の方を見てやがて…
「おかえり」
「大好き」
私は昨日の寂しさを埋めるように彼を求めるのであった。