会議
そこには大きな長机があり左右にそれぞれ2脚ずつある程度装飾された椅子が並び空席を一つを除いて右に男が一人、左に女が二人座っている。そして長机の一番奥に代表者が座る用の豪華な椅子が1脚のみ存在している。
「お~きたか~×××」
入り口から見て右奥の椅子に座っている同い年とは思えないほどガタイがいい男が俺に向かって声をかける。
「ああ…久しぶりだなカツ」
俺は彼のここでの名前を答えながら自分の席へと足を進める。
「やっと来たのか…待ちくたびれたんですけど?」
カツの正面に座っていた女は大きなあくびをしながらも俺に不満をぶつける。
「悪いなセナ…急な呼び出しだったし…」
そう言いつつ歩く俺の後ろをついてくるスズリを見ると分かりやすく目をそらされた。
「ところでレンは?」
俺が勝つの左隣の空席スズリに聞くと「欠席だそうです」と返される。俺も欠席すればよかったと思いつつも俺は一番豪華な装飾がされている椅子に座ると、今まで一言もしゃべらなかった女…少女とも言える人物が椅子を立ちこちらへとトコトコ歩いてくる。
「どうした?」
俺はその少女にそう問う。すると少女はゆっくりとイスに座った俺の膝に乗ってきた。
「私の席はここだから」
そう言いつつ俺の胸を背もたれ代わりにして足をパタパタさせている。それを確認したのか後ろをついてきていたスズリはその空いた空席に座る。
「一人不在だが始めるか…会議を」
俺のその言葉を合図にスズリは座ったばかりの席を立ち用意されていた資料を配る。
それから約30分間 その会議は虫の音が響く深夜に行われた。
「以上だ…異論はないな?」
その言葉に異議を申し立てるモノは誰一人としていない。
「では以上でこの会議を終了する」
「ふわあぁぁ」
俺の言葉のあと真っ先に気の抜けた声を上げたのはセナだ。始まる前から眠そうだった彼女は今はもう瞼を開けるのがやっとらしい。
「どうする?先風呂入ってくるか?」
この建物で会議をしたときは基本終了時刻が深夜である。ここからそれぞれの帰宅時間を考えると午前4時あたりになるのは明白なためここにはちょっとした設備が整えられている。その一つが風呂なのだ。
「今行くと寝るからいいや…カツと一緒にあとで入るわ」
今頃ちょっとした夜食をつまんでいるだろうカツを指定したのはおそらく自分が寝てしまったときに起こしてもらう人が必要だからだろう。
「了解」
普通混浴というものはある程度嫌悪されると聞くがこの場においては何の抵抗もなく行われている。それだけこの場にいる人物全員の距離が近いということなのだろうか…あるいわ…
「×××~一緒にお風呂入ろう~」
そんなことを考えていると少女は俺にそう声をかけてきた。
「わかった」
俺はそう答えその小さな背中のあとをついていくのであった。