惑星ピシャン、「タブー」の物語
Tab in the Phasmatodea
惑星ピシャン。
多くの生物が存在しており、その中でも一際目立つ存在、人間。
化学という魔法のような「事実」を使い日々研究に向かっている、ある研究者がいた。エネルギーが無限に湧き出す装置、それは人類を進めるための鍵である。ある人達にとっては神様の発明。ある人達以外にとっては悪夢の発明だった。
音が無限に反射し続ける炉がある。音が小さくなることは無い。永遠に反射し続けるその炉は永遠のエネルギーを提供する悪魔であった。
永遠のエネルギーを手に入れた人間は科学技術をより発展させ遂に堕落という言葉がお似合いの何も出来ない生物となった。
近代文明から逃れる、という名目の宗教、「擬態の技」が出てくる始末。
劣った人達は自壊の一手を辿るばかり。
そこでテロテロという研究者が全世界に通ずる現実改定手術を行う計画を立てていた。
その現実改定とは世界と夢を定着、そして固着化させ現実と夢を同体にし、全人類を夢の中に閉じ込める、というものである。
テロテロが行う手術には「夢」を利用する。
ほぼ全ての生物は睡眠を行うがこの惑星ではその夢が重要な軸となる。
夢は修行の果ての到達点であったり日常の終わりの最後の「ギフト」だったりする。
全ての事には例外がある。夢も同じく。
ある草原で奇形のナナフシが産まれた。体は通常個体であるが頭が肥大化しており知能が高い。睡眠を行う。そして、夢を見るのだ。
その夢を見るナナフシというイレギュラー的存在は、超小規模なビックバンのような概念的な爆発を起こす。
「ナナフシのウツツ」という。
ビックバンが起きた後巨大なドームが出来上がった。そのドームは中に入ると望む夢が見られるというドームである。それだけだ。
しかし、夢によるエネルギーとは先程言った通りにイレギュラー的存在だ。テロテロはこれに目をつけ、現実改定を行う計画を立てたのだ。
この世界では過去を選択することが出来る。それは見るだけではなく実際に変えてしまう過去改変だ。
人類が何故、どうして、どうやって生きるのか自分自身に問いただし選択しなければならない。そうすれば「ending」に辿り着けるはずだ。
オノ・レト、サリニヲ、シペト、キンカノ・ラ・テリブルという4人はこの惑星ピシャンの中にある森に住んでいた。彼らもまた「擬態の技」のように近代文明から離れて過ごしていた。