発見
では、ここからは北米大陸について見て
いきたいと思う。
まずはその歴史からであるが、少し寄り道を、
遠回りをしてみよう。
まず、この宇宙の誕生は約138億年前だと
言われている。そして、我々が位置する
天の川銀河は、形成されてから約120億年。
天の川銀河には恒星が約2000億個も
存在し、宇宙にはそのような銀河が1000
億個以上も存在する。
太陽や地球が誕生したのが、約46億年前。
宇宙や天の川銀河の年齢からすると、だいぶ
若く見える。
鉄より重い原子、というのは超新星爆発が
起こらなければ自然には存在しないとされる。
どうやら太陽系は、ある星の超新星爆発の
あとに誕生したようだ。
海が誕生したのはそこから6億年後の40億
年前。そこから2億年が経過して、38億年
前、生命が誕生する。遺伝子を持った単細胞
生物。
32億年前には、光合成を行う生物が誕生
する。それにより、地上にあふれていた
二酸化炭素の濃度が減少し、酸素が増える。
当時の細胞たちには、酸素の存在はむしろ
脅威だった。20億年前、その脅威を克服
できる存在、ミトコンドリアが誕生する。
有毒な酸素をむしろ取り入れてエネルギーへ
変換できるようになった。
多細胞生物が誕生したのが10億年前。
そこから約4億年、カンブリア紀と呼ばれる
生物種の爆発的な増加が起きる。
一説には、「眼」という感覚器官を生物が
得たことが、1万種を超える種の増加に
影響したと言われている。
9億年前には、有性生殖のメカニズムも
生まれた。それまでは、単に同じ遺伝子を
コピーするだけだった。有性生殖により、
より大きな遺伝的揺らぎが生じてくる。
5億年前、増加した酸素によりオゾン層が
形成され、生命が地上に進出する準備が
完了する。
そして4億5千年前、植物が地上に進出
する。それに遅れて4億年前、昆虫が、
そして、魚類が進出する。昆虫は地上へ、
魚類は川へ。
3億6千年前、やっと両生類が誕生。
水辺付近ではあるが、地上進出。
2億年前に、いよいよ哺乳類が登場。
宇宙の歴史から順に見ていくと、哺乳類誕生
はどうしてもついこないだのように見えて
しまう。
哺乳類が誕生した2億年前、大陸もひとつ
だった。超大陸パンゲア。
超大陸の存在をわかりやすく示すものとして
よく挙げられるのが、アフリカ大陸の西端
に南アメリカ大陸の東端をもってくると
形が合う、という話。
恐竜が滅んだのが6千5百万年前。
そこから哺乳類全盛の時代を迎えるが、
二足歩行の猿人、アウストラロピテクスが
約400万年前に誕生する。
その後、約200万年前のホモハビリス、
そしてホモエレクトスを経て、約20万年前
にホモサピエンスが誕生する。
20万年というとかなりの月日のはずだが、
宇宙の歴史から追っていくとつい先日の
ことのように錯覚する。
ここで人類が生まれる具体的な過程を推測
してみよう。推測が必要な理由は、具体的な
文献が見つからないからだ。
まず、原人であるホモエレクトスの中に、
染色体数の違う者が生まれてくる。
この者が成長して、ホモエレクトスと交配
する。そして子どもが生まれ、育つ。この
子どもが、ホモエレクトスではないほうの
親の染色体数を引きつぐ。
つまり、同時に男女の人類が誕生する必要は
なく、どちらかが生まれれば良い、そして、
子どもは常に、あるいはある条件で、新しい
側の遺伝情報を持つ、との推測だ。
旧種と新種間で染色体数は異なるが、それ
でも子どもを残すことが可能であること。
そして、その子どもが新種側になること。
その遺伝特性がより環境に適応していること。
これにより、新種、ホモサピエンスがその後
に数を増やしていくことになる。
新種が誕生する時間的スパンは数百万年程度
と推測できるので、今後数百万年中にまた
新しい人類が生まれ、ホモサピエンスと交配
しながらその数を増やす、と同様の推測が
できる。
まずアフリカ大陸で誕生した現生人類の
ホモサピエンスであるが、数が増えるにつれ
活動地域も広がっていく。
アフリカ大陸から、中東地域を経て、欧州へ
向かう者、そして、アジア方面へ向かう者。
アジアから、さらにベーリング海峡を通って
北米大陸へ向かう者が出てくるのだが、
ここで氷河期について説明がいる。
現代は、実は氷河期である。しかし、氷河期
でも比較的温暖な、間氷期と呼ばれる期間だ。
本格的に冷える氷期と呼ばれる期間までは
約5万年ほどあると言われている。
そして、これまでで一番最近の氷期が終わっ
たのは、約1万年前である。
氷期となると、地形に大きな変化をもたらす。
海水面が低下するのだ。それまで海であった
ところが、陸となる。
ユーラシア大陸北東部から北米大陸北西部へ
の移住があった際、そこにあるベーリング
海峡は、移住があったと思われる1万5千年
前は陸地、つまり海峡でなく地峡だった。
そこを人類が渡ってきたようだ。
ようやく北米大陸に人類が到達したわけで
あるが、つい最近、といっても500年ほど
前であるが、あるちょっとした出来事が
あった。
15世紀の終わりごろ、当時の欧州で最高の
経済力と軍事力を誇るスペイン軍が帆船で
大西洋を経由して北米大陸にやってきたのだ。
人類が北米大陸に到達して、1万年以上が
経過していたのだが、スペインから来た
それらの人々は、それを「発見」と称した。
いや、おそらく未だに称している。
その後この大陸で起きた出来事については、
このあとの物語の中で多少は語られる
かもしれない。
しかし、1万年以上前にそこに到達した
人々は、いったん、「発見」される前のおそ
らく10分の1にまで減少した。
そして、北米大陸でも特に過酷で居住に
適していない土地に移住させられた。
元々どれだけの人口が居たのか、それは、
今はもうわからない。500万人とも
2000万人とも推定されている。
もし「発見」が無かったら、あるいは
人口の減少が無かったら、強制的移住が
無かったら何が起こっていたか。
平和的にテクノロジーを取りいれ、大陸全土
で人口の増加が起こり、現代のアジア諸国
で見られるような経済発展があったのでは
ないか。
そうすると、その「発見」は、そういった
民族の持つ可能性を潰してしまった。
例えば、ヤマト国でそれが起こった場合、
人々は何を思うだろうか。
その人口が1千万人にまで減少し、例えば
蝦夷の過酷な地に移住させられる。元居た
土地に他の民族が入ってくる。
もちろん、土地代は払ってもらえない。
そしてその入って来た民族が栄え、世界に
正義を唱える。自由と民主主義を唱える。
それを見て、一体何を思うだろうか、
一体何を感じるだろうか。
また、今度は逆にその国が廃れようとした
時、周りの国の人々はどう接するだろうか。
また、その国がテクノロジーで劣った時、
過去のその国がしたのと同じことを行って
も良いのだろうか。
同じ仕打ちをしたとき、その人々は何を
感じるのだろうか。おそらくその報復に
対して、怒りを感じるのだろう。
なぜなら、ヒトは、自分の行ったことを
すぐに忘れるからだ。
では、そろそろ雑談を終えて物語に入って
いくことにしよう。ワシントン連邦と名付け
られた国の中央部、オクラホマ州でその
物語は始まる。




