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幸運に全振りした男の娘による異世界転生  作者: A-est
第1章「幸運に全振りした男の娘による異世界転生」
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第7話「空気読めない葉月」

あー、今回は後書きにちょっと色々とぶっ込んじゃったので、見ない方が良いかもです。

まぁ、今後も後書きには色々とぶっ込んで行く予定なので、よろしくお願いします!


葉月がシズクに対して二日目と言ってたのを初日に直しました。


わかりにくかったのでゲイとBLの説明に補足をつけました。あと色々と修正しました。2020.3.14

「それで?シズクは何しに行ってたんだ?」


全員がテーブルに座って、正面のヴァルに当然の疑問を聞かれる。別に隠すことでも無いので正直に言おうとすると、


「ちょっと待って!ここは人が多いわ。はっきり言って無闇に言うような内容じゃないわ。」


と、止められてしまった。

言われてみれば確かに重要な情報ではあるだろう。この辺の治安はそこまで悪くないとはいえ、歌姫がこの街に来ている以上、様々な人間が他の街から来ている。それを念頭において考えるなら、人攫いもあってもおかしくはない。


何だかんだ狙われるようなステータスをしているということだ。


「賢者様はいつまでここにいるんですか?」


ヴァルの敬語が気持ち悪いが、そっとしておいた方が良いのだろうか?


「敬語なんていらないわ。堂々としてなさい!」


そんな辛辣なことを言う嶺華に対して、葉月が口を挟む。


「まぁまぁ、拙者らは有名人でござるからな。敬語使われても仕方ないでござるよ。使うなと言う方が難しいでござらんか?」


「まあ、敬語を使わなくて良いってんなら、そうさせてもらう。当然、ヘイルも敬語抜きだよな?」


いきなりヘイルに振ることにより、ヘイルが食べてる手を止めて、え?って顔をしている。


「へ?僕はいつも通り敬語使いますよ?」


「あぁ?なんだよヘイル。折角、賢者様が…」


「賢者様も余計ね。私には嶺華という名前があるのだから、呼び捨てにしなさい。」


「うむ、では、嶺華と呼ばせてもらう。そちらの二人は?」


ガイルがヴァルのように下手を打たないように先に聞いておく。


「拙者は葉月で良いでござる。」


「私は〜、美月ちゃん!でも美月っち!でも好きに呼んでね〜!」


「うむ。葉月と美月だな。わかった。」


先程の失態を隠すようにヴァルがシズクに絡む。


「んでよ。シズク。嶺華達とは仲良くなったのか?」


「…………。」


仲良くなったといえばいいのか、そこまでじゃないと言えば良いのかわからなくて、チラッとヴァルの横に座っている嶺華と葉月の方を見る。


「うむうむ。拙者らは既に友達でござる。そうでござるな?シズク殿。」


そんな振られ方をされたら肯定しかないのだが、ここで印象を悪くするのも馬鹿らしいので頷いておく。それに助けを求めたのはこちらからなのだから、どういう結果になっても仕方ない。寧ろ、フォローしてくれたことを喜ばねばなるまい。


「それで〜、そこの男衆3人組は〜、なんて名前なの〜?」


今更だが、ヴァル達が自己紹介をしていなかったことに気付く。ヴァル達もそれに気付いたのか、ヴァルは苦笑いをしているし、ヘイルも軽く笑っている。ガイルは頷いていた。


「悪かったな。俺はこのパーティのリーダーをしているヴァルだ。暫くは会う機会もあるだろうから、そんときはよろしくな!」


「僕はヘイルです。見ての通り魔法使いやってます。仲良くしてくれるとありがたいです。」


ショタだからこその特権である首を傾げながらの笑顔だ。これだけで落ちる女性も少なくはないはずだが、ヘイルは印象を良くするためわざとやっている。


「俺はガイルだ。よろしく頼む。」


ガイルは相変わらず口下手なのか口数は少ない。

シズクと違って全く喋らないわけではないのだが、長く話しているところは見たことがない。


「あれ?もしかして、ガイルとヘイルって兄弟なのかしら?でも、明らかに偽名よねぇ?」


「いやいや、僕達は兄弟ではないですよ。仕事の先輩後輩だったんです。」


「ふうん?」


嶺華が明らかに疑っているが、顔を見る限り親戚でないのはまるわかりだ。その上で名前が似ていることの理由について聞きたいみたいだが、その情報に価値はあまりないと思い。追求はしない。だが、そんな中で答えに辿り着いて空気も読まずに、というか、わざと読まずに発言する者が現れる。


「所謂、BLというやつではござらんか?確か、嶺華殿が愛読して…。」


「ちょっと待ちなさい!!葉月ぃ!!あんた!私の隠していた本勝手に読んだわね!」


「はてさて、何のことやら。別に隠し方が下手すぎて、ベッドの下に隠していただとか、机の引き出しの裏にあったとか、心当たりがないでござるなぁ。」


「ちょっと!ベッドの布団の下ならまだわかるわ!でも、なんで引き出しの裏に細工して隠してるのまで知ってるのかしらぁ??」


「いやはや、拙者の密かな楽しみは嶺華が飲み物を取りに行ってる間に散策することでござったからなぁ。わざわざ使用人に取りに行かせずに自分で取りに行くところに疑問はござったが、見つかるたびに感謝を心の中でしてたでござるよ。」


「あんたねぇ〜!!」


「おやおや?良いのでござるか?周りが嶺華に注目してるでござるよ?」


周囲を見渡すと確かに注目していた。

それどころか、ヒソヒソと内緒話があちこちで発生していたところからも、自分がやってしまったことに気づき、羞恥に身悶える。


「葉月?後で覚えてなさいよ?」


「久し振りに嶺華の本性暴けて満足でござるな。お腹いっぱいでござる。」


葉月は嶺華の殺気など素通りして、無視を決め込む。

そんな二人のやり取りにヴァル達は内心ホッとする。面倒な話題にならなくてよかった。


そんな中で一度も会話に参加してこなかった美月はリスのようにムシャムシャと肉を頬張りながら食べていた。美月も葉月と同じように良いとこのお嬢様ではあるのだが、美月はそんなことはどうでもいいと言わんばかりに野生的な食べ方をしている。


かれこれこれで2枚目のステーキに突入しており、意外と大食いなのがわかる。というか、前線を征く者達ならば彼女が大食いなど周知の事実だ。中には冒険者で店を営んでる者達が個々で美月に挑戦状を送り付けたこともある。勿論、出された全てのものを食べきり、代金が無料となったことにより潰れた店も幾つかあるんだとかないとか。


美月のいつもの元気っぷりは食事にあったのだ!




「ふぅ〜、お腹いっぱい〜!もう食べられな〜い!」


ヴァル達と別れて、改めて【妖精花の縄張り】へと向かっている。あのあとはヴァル達が上手く嶺華を宥める役割になったのだが、そのお陰で親交も深まり、嶺華とヴァルはフレンド交換を行っていた。


とはいえ、二人が交わることなどこの先あるのかはわからない。一見、ヴァル達はゲイで嶺華はBL好きという点で馬が合いそうに見えるが、ゲイとBLは意味合いではなく二次創作のジャンル的には別物だ。ゲイ向けの雑誌というのがあるように、BLとは女性向けに作られたものであって、ゲイ向けではない。だからこそ、似ているようで相容れないのだ。


そもそも、嶺華がヴァル達男衆に向かってBLの話をするという罰ゲームにも似た羞恥プレイができるわけがない。ヴァル達も自分達の性的嗜好(セクシャル)を知られたくないというのもあり、メールをするのかさえも怪しいところではある。


だが、割とそういうのはよくあることだ。

僕もトッププレイヤーだった頃にフレンド一覧を見ると、「あれ?こいつ誰だっけ?」なんて人は結構な数居た。最終プレイ時間が1週間超えたフレンドは削除していたので、そこまで気になることもなかったが、この世界でも同じことは起きるだろう。


リア友だって、100人超えた辺りからわからなくなってくるだろう?まぁ、僕はボッチだったんでその感覚はわからないが、要は英単語100個超えると段々覚えにくくなるのと同じようなものだろう。僕もそのせいで英語の成績は平均点だったのだ。悪くはないが良くもないという微妙な成績だったのは覚えてる。


「そう言えば、美月は会話に加わらず黙々と食べてたわね。」


「うん!そうだよ〜!目の前にご飯があると〜、手が止まらなくなるの!」


「美月は家と学校では優雅に食べてたでござるが、外ではジャンクフードをお小遣いのある限り食べてたでござるからなぁ。反動というやつでござるな。」


「あら、そうだったの。美月とは学校での付き合い程度だったから、知らなかったわ。」


どうやら、美月のことも割と興味ないらしい。

頭の中、情報と同級生くらいしかはいってないんじゃないのだろうか?三人でご飯を共にすることも二度や三度じゃないはずだ。それなのに知らなかったとは驚きでしかない。


「ところで〜、何の話してたの〜?」


「本当に聞いてござらんかったか…。」


「何でもないわ。雑談よ。雑談。」


「ふ〜ん。そっかぁ〜。」


「そうよ。」


「ところで、シズク殿はまだ初日でござったな?冒険者になるつもりはあるでござるか?」


正直に言って、葉月は僕の中で苦手な部類だ。

聞きにくいこともズバズバ聞いてきそうな雰囲気はあるし、先程の暴露話もそうだし、恐らくはヴァル達の秘密に関しても気づいてそうだ。それらを含めて、苦手だ。

話しかけて欲しくないのだが、葉月は特に気にすることなく話しかけてくる。迷惑だと顔に表したとしても、平然と聞いてくるだろう。だから、嫌いでもある。


「はい。あります。」


「それでヴァルと一緒にいたでござるか。そのステータスではソロは暫くは難しいでござろうからなぁ。」


「そうですね。」


「幸運の称号スキルを知らんでござるが、幾ら修練の指輪でスキルポイントが手に入っても難しいでござらんか?」


「そうですね。」


「拙者と話すのはつまらんでござるか?」


「そうですね。」


「ふむ、まだ心は開いてくれないでござるか。残念でござるよ。」


どうやら、諦めてくれたようだ。

というか、もう二度と話しかけて欲しくないとまである。しかし、検証もとい嶺華の実験が終わるまではこのまんまの可能性はある。だからこそ、憂鬱なのだが、これもお金のためだ。割り切るしかないだろう。




「さて、残り時間まで待機するわよ!」


宝箱の前で嶺華が地面に座る。葉月は周囲を見渡せる位置で立っている。宝箱の右側が壁で左側が森なので、森の方に居るのだ。美月はボイストレーニングしながら、声の調子を確かめてる。

となると、必然的に話しかけてくるのは嶺華となる。


「シズク?幸運の称号って何があるの?」


何故、そんなことも知らないのかと思いはしたが、幸運に振る人間は元から少なかった。この世界においてはそれが如実に現れる。何故なら、幸運に称号が手に入るまで振るよりかは生き残れる生命力に振る方が価値がある。だからこそ、情報としては価値がないとされてるのだろう。


「ドロップ率と金銭ドロップ率と宝箱ドロップ率の上昇が基本ですね。」


「なるほどね。宝箱ドロップ率上昇があれば、無限の宝箱にも価値が出てくるわね。どれくらい確率が上がるのかしら?」


「幸運に依存してます。幸運が100にならないとそこまで使えるものでもありません。」


「とすると、シズクみたいなステータスの人は育てることさえできれば有能ってことね。」


このまま僕をパーティに入れてくれるのならある意味幸運かもしれない。だが、その場合死ぬ確率もかなり上がるので遠慮したい気持ちもある。最低限のステータスの確保はしておきたい。


「まぁ、良いわ。これは今の情報料よ。」


何かをしたのはわかったので、メニュー欄を開いてみると、フレンドのアイコンのところに通知が来ていた。


『嶺華から1万Gが届いております。受託しますか?』

→ はい/いいえ


勿論、はいを押す。これで所持金は10050Gだ。

宿屋代くらいは稼げただろう。この調子で有益な情報が渡せば吉なのだが、トッププレイヤーだった頃の情報が価値があるのかが判断できない。そもそも彼女らがどれくらい進んでるのかもわからないのだ。


これでは何も明かすことはできまい。


そのあとも色々と話に付き合わされたが、これ以降は報酬金が手に入ることはなかった…。



「さて、そろそろ時間ね。次はどうなるかしら…ふふっ。」

シャドウムーンラビットの店内


「は〜い。いらっしゃ〜い!って、冷やかしね。」


「冷やかしとは酷いじゃないか。俺とお前との仲だろう?」


「誰が仲よ。あんたと仲良くなったつもりは毛頭ないわ。それで…何の用よ。」


「つれないなぁ。俺は【ラビット】がまたスナックのママやってくれるのを待ってるんだがな。」


「はぁ…お生憎様、私はスナックのママはもうやめたの。今はしがない道具屋の店長よ。」


「そんなこというなよ。俺がこっちの世界に来てから余計に一緒に飲んでくれるやつが居なくなったの知ってるだろ?」


「自業自得でしょ?私の知ったことではないわ。それで…仕事?」


「いや?近くを通ったから寄ってみただけ。」


「本当に冷やかしじゃない…。折角来たんだから何か買っていきなさいよ。」


「あー、うん。まぁ、ね?」


「誤魔化すの下手ねぇ。」


「まぁまぁ、一応、【ラビット】ちゃんもうちの闇ギルドの幹部の一人なんだしさ。お金に困ってるわけじゃないだろ?」


「まぁね。ただの遊びみたいなもんよ。」


「それなら、俺のためにスナック作らないか?あー、なんだっけ、ヴァルだっけか?ったく、紛らわしい…。偽名なんて使うなよな。」


「そういうあんたも基本的に偽名でしょ?人のこと言えるとでも?」


「まぁまぁ。ヴァルともまた飲みに行きてぇもんだ。最近は慈善活動してるって聞いたぞ?」


「そうよ。あんたと違って、陰で人を殺しまくってる間、ヴァルは人助けしてんのよ。言っとくけど、ヴァルに手をだしたら許さないからね?」


「大丈夫だって。俺らの本拠地は隠れた場所にあるし、そもそも活動範囲にこの街は入ってねぇ。お互いに無干渉ってわけだ。」


「それで?この街に何の用よ。」


「ちょっとな。最近、うちのもんが壊れちまってよぉ。勧誘がてら来てみてるんだが、賢者共がいるから派手に動けないんだよなぁ。」


「あらあら、【サイコパス】の異名を持つあんたでも手出しできない相手ってこと?」


「まぁ、本気でやりあうなら一人は確実に殺せるんだが、特に忍者のやつが厄介でね。あいつの【ドッペルゲンガー】をどうにかしないとな。他にも影移動も厄介だしよぉ。」


「まぁ、手出ししないのなら構わないわ。私のお気に入り予定の子が今、一緒に行動してるの。」


「へぇ、そんなやつがいるのか。どんなやつだ?」


「ふふふ、男の娘って感じの子なんだけど、まだ男だから手が出せないのよ。キスもやってみたけど、やっぱりアレが付いてると思うと吐き気がねぇ。まぁ、今後手懐けていくわ。」


「うわぁ…ドン引きだわぁ。俺より質が悪いんじゃねえのか?」


「あんたと比べられても困るんだけど?あんたんとこみたいに薬使うわけでもないんだし、私はまだまともな方よ。」


「本当にまともなやつは自分のことまともって言わないらしいぞ。」


「うっさわいね!!」


「あー、俺用事思い出したから帰るわ。」


「ちょっと待ちなさい!!」

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