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幸運に全振りした男の娘による異世界転生  作者: A-est
第1章「幸運に全振りした男の娘による異世界転生」
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第1話「男の娘は幸運」

文法の誤りを最低限直したのと、漢字変換ミスを直しました。

あと、迷宮のレベル上げの部分を修正と追記しました。

シズクが私と使ってたので僕に直しました。

ヴァルがポーションを入れるところがなければ〜という部分を消しました。メニュー欄にアイテム入りましたね。


口調の修正入れました。2020.3.14

武器の表示の微調整しました。2020.3.18

文章の微修正しました。2020.5.5

僕の名前は雫流華(しずく るか)。体は男で心は女。所謂、トランスジェンダーというやつだ。両親公認で子供の頃から女性ホルモンを摂取してるのもあり、体つきや顔つきは女の子と言っても相違ない。服も中性的なものを好む。部屋着は基本的にスカートだ。しかし、心が女であることは家族以外には言ってないため、言葉遣いは男っぽくを心がけている。それにもしも気持ち悪いなどの罵声を浴びせられたら怖い。というのもあり、一人称は僕で通してる。


そんな僕がまともに人付き合いができるはずもなく、気付けばPCゲーム三昧の日々。そこで出会ったのが『オンリーワン・ワールド』。そこでは自分だけのキャラ、自分だけのステータスを売りにしており、レベルのカンスト999までの998回のステータスポイントで自分だけのステータスが作れる。装備も豊富にあり、これが最強と言うのは基本的にはない。


それでも、装備の組み合わせで最強と呼ばれるものはある。それを確立したのがトッププレイヤーと呼ばれる者達だ。ブログであったり、動画であったりして紹介してるので、それも1つの到達点。勿論、廃人の僕もトッププレイヤーの1人だ。当時はレベル999の時点で幸運上限の100を振ってるのは僕くらいだった。


何故かというと、どんなに攻撃しても減らない生命力特化。常に走り続けられてRTA向きの持久力特化。敵を一撃で葬りさる攻撃力、魔力特化。など、魅力的なステータスは他にたくさんあったからだ。別に僕以外にも幸運に振った者は居たが、恩恵の少なさにハズレステータスと言われることもしばしば。実際、効率の面で言うとそれ以外を振って、周回数を増やした方がドロップ率も良かった。逆張りで振る者も居たが、レベルカンストまで目指せた者は居ない。それでも、敢えて幸運に振った理由は…………。


全身を包む光が収まると共に転生した先は最初の街である【グランクレイヴ】。どうやら、ゲームと同じ開始地点から始まるらしい。グランクレイヴの中で最も大きな教会の時空神の像の前からこの冒険は始まる。


ちなみに、時空神はこの世界において両性を持つ神とされてて、同じ顔で男性と女性の像が並んで立っているのが基本だ。まぁ、プレイヤーは誰しもクウちゃんというゲームのマスコットキャラを見たことがあるので、あの像誰だよ。と全く違う姿に対して思うところはあるが、この世界の人々もまさか時空神が低身長で外道とは思わないだろう。


そもそも時空の神なのであって、慈悲深いとか願いを叶えてくれるとかそういう神ではないのだ。あくまで、時間と空間を操り、世界を維持し続けるだけの神様というのが公式の情報だ。


【時空神。世界の時と空間を調停する神。時間を巻き戻すことも遡ることもでき、空間を移動させることも空間の法則を変化させることもできるが、その代わりにそれ以外に干渉することはない。世界の理として創造して以来、それを崩すことはなく、暇潰しに異世界からの訪問者達に関わりを持ち、案内する役割を自ら持ったとされるが、真偽の程は不明。】


まぁ、だからこそ、転生者をこの世界に呼びつけるなどができるとも考えられる。何故なら、転生したはずなのに自分の体は前世の現実世界の姿そのままだからだ。時空神の権能を使って、空間転移させたのでは?とはされてるが、転生と言ってる以上、何かしらの理由はあるのだろう。教会の時空神の像の真ん中には親切に鏡が置かれていて、初めて来た連中は余すことなく自分の全身を見られる。


(転生じゃなくて、転移で良かったんじゃ…。いや、きっと転生じゃないとだめな理由があったに違いない。うん、そう思っておこう。どちらにしろ、こっちの世界に来るのは確定だったんだし…。)


鏡を見る限り、最後に記憶のある時点の服と同じようだ。短パンにTシャツ。黒いカーディガンという組み合わせ。ただ、この装備だと迷宮など入れるわけがない。ステータスオープンと念じ、ステータスを表示させる。左はステータス。右は装備一覧となっている。左上にレベルと名前と称号と宗教の欄があり、右下はお金が1000Gと表示されてる。ちなみに、左下にはアイコンがあり、スキルとアイテムとオプションがある。ここまでは一緒だ。


ということは…。


「そこのお方、申し訳ないですが、外に出てもらってもいいですか?」


修道服を着た女の人に声を掛けられる。微笑を浮かべ、優しそうにしてる彼女は誰しもが最初に目にするNPCなのだが、この世界では生きててもおかしくない。


「はい、すみません。」


何故、外なのかわからないが、とりあえず謝罪しておく。別に街の中で色々と確認しても問題ないし、どうせ街には行かないといけないのだから、何も問題はない。


「ごめんなさいね。時空神の導きは1日に平均10人は来るの。貴女は1人目だから、いつ来てもおかしくないの。だから、早めに出て行ってもらえると助かるわ。昔、導かれた人が教会内に居て、新たに来た人と喧嘩したという話が幾つもあるのよ。だから、導かれたら外に出すようしてるの。ごめんなさいね?」


「あぁ、そういうことでしたか。なら、構いませんよ。すぐに行きます。」


さて、扉を開けて、この世界に来て初めての【グランクレイヴ】の景色を楽しもうじゃないか!


開けた先にある風景を街並みを見て、感動する。総プレイ数1000時間を超えたあのゲームの中に入れるだなんて感慨深い。ほろりと涙が出てきた。いやはや、すぐ泣く癖は抜かないとね。さてと、先ずは……。


「そこのお嬢ちゃん。」


思考を遮られたのは二度目だ。

本当にステータスの幸運は最大値なのか?

声を掛けてきたのは三人組の男衆。前に立ってるのは細マッチョで顔つきも細めだ。目つきはギラギラしてて控えめに言って怖い。二人目は金髪に褐色肌の筋肉マッチョ。見るからに筋肉バカだ。筋力特化してるのがよくわかる。三人目は小柄でショタって感じの子だ。魔術師のロープ着てることからも魔術師であることが伺える。


「なんですか?」


警戒心露わにしてそう答える。

すると、三人共苦笑をして、その理由を答える。


「あー、お嬢ちゃん。今来たばかりの転生者だろう?最初は小遣い少なくて辛いから、荷物運びとして手伝ってくれる代わりに報酬をやるから一緒に来ないか?当然、お嬢ちゃんみたいに可愛らしい娘にこんな三人が話しかけたら怖いのは百も承知だ。だが、心配することはねぇ!俺達は全員ゲイだ!」


うわぁ、清々しく堂々と言い放ったよ。その姿勢には感服するわ。けれど、間違ってはいけない。僕が女の子であるのは隠さなければならないことだし、そもそも体は男だ。もしかして、狙われるのでは?と思いつつ、一歩後ろに戻りながら呟いた。


「僕……男なんですけど…。」


「へ?あーーー、所謂女装子ってやつか。お嬢さんっていうのは不味かったか。」


「いえ、これが普段の素顔ですし、別に女装もしてません。」


「おいおい、そんなに警戒するなよ。お前が男ってのは驚いたが、ゲイは男らしい男が好きなのであって、ギリギリ許容範囲内はショタまでだ!てか、俺は正直ショタも好かん!」


「ちょっ!僕の存在意義全否定ですか!!?」


ショタの魔術師が大声で叫ぶ。それに対して、もう一人の褐色肌の男がフォローする。


「大丈夫だ。俺はショタ好きだぞ。」


「ガイルさ〜ん!」


ショタ魔術師が感極まって、涙を浮かべるが、僕はいったいどんなコントを見せられているのだろうか?まぁ、今のコントを見てて、なんとなく悪い人ではなさそうな気がしてきた。


「それじゃあ、荷物運びやります。」


「おお!そうか!そうか!やってくれるか!なぁに、心配は要らんよ。アイテムバッグを使うから筋力はそんなにいらん。バッグ自体は子供でも持てるしな。それを3つほど持ちながら、素材や宝を入れていってくれればいい。」


アイテムバッグとは無生物のものを入れるバッグである。入れたものの質量は0となり、バッグを最大まで入れても、重さはバッグそのものの重さと同一である。『オンリーワン・ワールド』では、初級、中級、上級、超級、伝説級の五種類に分かれており、初級なら10kg。中級なら50kg。上級なら300kg。超級なら2000kg。伝説級は10000kgまで入った。恐らく、その点は一緒だろう。敵の中には竜もいて、竜を倒しても素材が入り切らないというのもあり、余裕があるなら最優先としてアイテムバッグは必要とした。


ちなみに、ステータスの下にあるアイテムアイコンから入れるアイテム一覧は二重の意味がある。1つは32個まではアイテムを入れることができ、即座に使用できる。ゲームの時は拡張で16個を2回まで増やすことができたのだが、枠を空けるのに莫大な金貨が必要であったため、トッププレイヤーでもないと、なかなか拡張ができなかった。2つ目は自分の所有してるバッグの中身を確認する表だ。わざわざ、バッグの中身を見なくとも手軽にわかる上、残りの重量まで確認できる。これで、あとどれくらいで切り上げたら良いのかがよくわかる。


「それじゃあ、改めて俺はヴァルってもんだ!」


「俺はガイルだ。」


「僕はヘイルです!」


各々が自己紹介をする。名乗った名前が明らかに偽名であることがよくわかる。しかし、別に偽名を使う必要性も感じないし、ここは名字だけ名乗っておこう。


「僕はシズクです。よろしくお願いします。」


「おう!シズクよろしくな!さて、来たばっかってことはなんにも持ってないんだろう?この街の武具店の中に1つだけ最初のフル装備を無料でくれるところがある。まぁ、貰える装備品は粗悪品だけどよ。服よりはマシってことだ。」


確かに装備品は最低限揃えなければならない。ただ、ここで一つ問題点が浮上する。すべての装備品には要求ステータスというのがあり、戦士の鎧は筋力が必要だし、魔術師の衣は魔力が必要だ。それが足りなければ戦士の鎧なら重くて動きづらいし、魔術師の衣なら何の効果も発揮しない。つまり、幸運以外のステータスがすべて1の僕には何の装備もできないということだ!


「あの〜すみません。僕のステータス的にどの装備も装備不可だと思いますが…。」


「はぁ?お前、どんなステ振りにしたんだよ…。」


ここで言うべきか言わざるべきかを悩んだが、要求ステータス以外となると、嘘をついたら余計に状況を悪化させるものばかりなので、言うことにした。


「実は幸運に全振りしちゃいました。」


「ぶっ!!まじか……。もしかして、オンリーワン・ワールドやったことないのか?」


まぁ、それは当然そう思っても仕方ない。

やってないどころかトッププレイヤーでしたと言えば、余計に馬鹿にされるオチだと思うので黙っておこう。


「いえ、そこそこやってました。」


ヴァルの疑問は余計に深まる。そこそこやっていたのなら、なんでこんなステータスにしたのか。幾ら考えてもわからない。ヘイルも首を傾げてる。


「だったら、なんでそんなブッ飛んだステータスに?」


「ノリで全振りしたら、ステ振りは一度切りと言われまして。」


「あー、なるほどなぁ。それは仕方ないか。」


納得はしてくれたようだが、こんな足手まとい連れて行こうなんて思わないだろう。というか、僕自身こんなステータスで迷宮になんて行きたくもないんだが…。


「よし、それなら今から行こうと思ってた迷宮より一段階レベル低いとこ行くか。あとな。ほれ。」


そう言って、3つの指輪を差し出した。


初級【生命の指輪】 生命力+10

初級【生命の指輪+1】 体力5%上昇

中級【生命の指輪+2】 体力8%上昇


「それつけとけ。貸しといてやる。そのうち返せよな。まぁ、別に要らないんだが。」


そう言って苦笑した。

僕はそんな彼を見てこの人に暫くはついていこうと決心した。寄生する形にはなるが、やむを得まい。とにかく、レベル上げをしないことには野垂れ死ぬ。最初の目標だが、武器を装備できる攻撃力にするのと持久力を上げることを念頭に置こう。この辺の敵くらいなら全て頭の中にある。勿論、ボスもだ。体力なんて攻撃を喰らわなければなくてもいい。当然、死にたくないという気持ちもあるが、これしか生き延びる方法はない。最初の一歩がいきなり死線というのは悲しきことだが、仕方ない。


「ありがとうございます!!」


これに関しては感謝しかない。絶望しかなかったのに、一縷の望みが降って湧いた気分だ。体力にステ振りする余裕は今はないのだから、体力を底上げする指輪は欲しかったところなのだ。どんなに避けられても周回をしていくうちにどうしても疲労はたまる。そのときに一撃もらえるかもらえないかはかなりの差だと思う。


「あ〜、念の為アイテム屋行ってみるか?ポーションが安売りしてたら、念の為持っておいて損はないと思うぞ。」


「あの〜これから行くところって何処ですか?」


「あぁ、【妖精花の縄張り】ってとこだ。あいにく、まだボスは倒しちゃいねぇ。ゲームのときと同じように誰かのパーティが戦ってる途中に入っても、違う空間に飛ばされ全く同じボスと戦える。だから、いつでも行けるんだが、俺のパーティはとにかく安全第一を掲げててな。どの迷宮のボスも倒しちゃいねぇ。」


「あ〜、それで本来は【双騎士の監視塔】に行くつもりだったんですね。確かに【グランクレイヴ】から行ける迷宮は全部で4種ですもんね。それ以降の迷宮や街に行くのならどれか1つはクリアしないといけませんからね。」


この街で行ける迷宮は全部で4つ。

一番弱い順で言うと【処刑人の監獄】【粘液の遺跡】【妖精花の縄張り】【双騎士の監視塔】だ。主に道中の敵のレベルがこの順番なだけあって、ボスは別物だ。それぞれのボスには必殺のスキルや技術、戦略があって、どのボスも一概には弱いとは言えない。


真に強いプレイヤーならレベル1でもステ振りさえしっかりしていればノーダメージでも勝てる。しかし、普通のプレイヤーがレベル1で挑んだら間違いなく瞬殺されるであろう。どんなにレベルを上げても安全マージンというのは中々取れないのがこのゲームの醍醐味。とはいえ、その迷宮の適正レベルより100レベルくらい上げていれば、ボスを2撃で倒すなんてこともあり得てしまう。只、そこまでレベル上げをするのも至難の業。時間がかかりすぎるのが問題だ。


「そういうことだ。知ってるとは思うが、【妖精花の縄張り】は毒が出てくるから気をつけろよ。常に周囲を警戒しながら進んで、毒を使うやつが現れたら俺達の後ろに下がれ。」


「はい、わかりました。」


「それじゃあ、早速馴染みの道具屋に行くか。」


「はい。」


そう返事をして彼らに着いて行った。

プロローグと第1話で矛盾してるところあることない?と思う人のために追記。それで問題ありません。2020.3.14


パラレルミニストーリー

カランコロンカランコロン


ガイル「いらっしゃい」


ヘイル「ご注文はお決まりですか?」


ヴァル「ブランデー1つ…。」


ヘイル「お客さ〜ん。ここ、珈琲屋ですよ?」


ヴァル「いやははは、冗談だ。それはともかく、珈琲以外はなにかないのか?」


ヘイル「えーと、水なら。」


ヴァル「んじゃ、水1つで。」


ヘイル「水一杯で居座る気ですか?筋肉バカ。」


ヴァル「いやいや、そんなことない。なにか食べるものないかな?」


ヘイル「えーと、ありませんね。」


ヴァル「ふっ……それじゃあ、帰るとしよう。」


カランコロンカランコロ


何処かの世界であるかもしれない物語。ちなみに、ヴァルは普通にブラックの珈琲飲みます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 幸運をどう面白く魅せるか期待しながら読み進めてみるのですよー あと、小説情報の名前欄を空欄にすると小説の作者の名前が作者マイページのリンクになるので特別な理由がなければそうすることをおスス…
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