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幸運に全振りした男の娘による異世界転生  作者: A-est
第1章「幸運に全振りした男の娘による異世界転生」
18/53

第17話「見世物」

ミハイロの着いて〜の部分を付いてに直しました。


誤字修正しました。2020.3.16

「さぁ、付いて来い。シズク。美月。」


「はぁ〜い!!楽しみだな〜!」


どうやら美月は先程の戦いでミハイロに認めて貰えたのか、何なのかは知らないが、名前で呼んでいる。あまりにも普通に声を掛けたので嶺華と葉月も驚いてる。そんな二人をそもそも存在しないかのように扱いスタスタと歩いてくので、少し歩みを止めると。


「シズク。どうした?」


「いえ、嶺華さんと葉月さんはどうするんだろうと思って…。」


ゴミでも見るかのような冷たい目を一瞬だけ嶺華達の方へと向けて、思い出したかのように「あぁ…。」と呟く。


「付いてきたいのなら、勝手に来れば良かろう。来ようが来まいが俺の知ったところではない。行くぞ。」


美月が笑顔でミハイロに話しかける。ミハイロも満更ではないらしく、ぶっきらぼうではあるが返事をする。そんな二人がお似合いに見えて、僕は一歩後ろに下がり追いかける。その3歩くらい後ろには嶺華と葉月が着いて来ている。


そんな僕に気付いたミハイロが歩きつつも軽く振り向いてくる。


「どうした?俺の横に来るがいい。」


なんとも言えない気持ちが心に渦巻く。

この気持ちはなんだろうか?


「ふ、何を不安に思ってるかは知らんが、さっさと来い。」


そう言って、僕の手を握ってくる。

しかも、恋人繋ぎだ。どういう意図でこの繋ぎ方をしたのだろうと勘繰るが、僕の心が女であることなどミハイロは知らない筈だ。ならば、単純に手を離させない為なのだろう。


「シズク。まだ俺達は友になって日が浅い。だからこそ、言いたいことがあるならば、何でも言うがいい。大抵のことは許す。ふん。別に逆上して傷付けたりはせん。俺は前世で息子と娘が居たからな。子供の扱いには慣れてる。」


友なんて言っておいて、子供扱いされたことが凄く悲しかった。


「シズクはまだ子供なのだから仕方ない。」


「子供扱いは…やめて下さい。」


強く言い返すこともできず、僅かに聞き取れるくらいの少量となってしまったが、ミハイロの耳にはきちんと届いていた。


「フ。それでいい。子供扱いしたのはシズクに最初の一歩を踏み出させる為だ。俺はお前のことを友として見ている以上、年齢など些細な問題だ。」


「でも、リードを引くってことは子供扱いしてるんじゃないですか。」


「ふん。俺から見たシズクはそこまで主張をしないように思える。故に最初の一回は言えるように誘導した。誘導はしたが、そこで言うか言わんかはシズク次第だ。そこまでは面倒見切れんからな。友として友の苦手な分野を支えようとしたに過ぎん。だから、シズク。シズクも俺の苦手なとこがあれば、支えてくれ。」


そうは言っても、ミハイロに苦手な分野などあるのだろうか?口から出まかせ言ってるだけのようにも聞こえるが、今はその言葉に従っておくことにする。


僕にとって、友達とはどういう存在なのかわからないのだから…。




「ふむ、ここだ。」


案内されたのは人っ気の少ない通りの看板もない店らしきところ。美月といいゼイさん?とかいうおじさんといいミハイロといい、なんでこんな隠れてるお店がわかるのだろうか?間違うことを前提に開けて、確かめてるのだろうか?


扉を開けるとかなり広いスペースに上品な椅子と丸テーブルが5つあった。それとは別にカウンターもあり、そこではお酒を飲んでる人も何かを食べてる人もいるが、雰囲気としては少し高めの酒場だろうか。


中にはスーツもどきを着ている客もいるが、大体は荒くれや冒険者っぽい格好の者達で構成されてる。珍しいのは大声で話す者が居ないというところだ。最低限の声量に抑えて、談笑をしている。


カウンターとは真反対の方向には舞台があるようだ。今はカーテンによって遮られていて、中が見えない。


メガネを掛けたポニーテールの女性が近付いてきた。ウェイトレスの格好をしていて、少し胸が窮屈そうだ。嶺華達と良い勝負をしている。ちなみに、嶺華はJカップ。葉月はHカップ。このウェイトレスはGカップだ。


美月?聞きたい?本当に?仕方ないなぁ。Bカップだよ〜。クウちゃん情報でした〜。


「いらっしゃいませ。本日の催しは無手による格闘技でございます。」


「席に案内してくれ。そのあと、こいつらにここのルールの説明を頼む。」


「かしこまりました。では、どうぞこちらに。」


嶺華や葉月も座ること前提で丸机を囲って座る。他のウェイトレスが二人ほどやってきて、椅子引きをしてくれた。この中で椅子引きに慣れてなかった僕は自分で座った。そんな僕を見て、ミハイロは優しげな笑みをしてきたのがなんとも心苦しい。先程の子供扱いもあり、そういうふうに見られてるんじゃないかと疑ってしまう。


「では、このお店のルールを説明致します。基本的に普通の飲食店と同じように料理を楽しみつつ談笑でもして下さい。違う点は基本的に招待制です。会員様による招待がなければ入店は許可できません。次に見世物です。あちらの舞台で毎回何かしらの見世物を行います。その見世物の大半は模擬戦となっておりまして、この店に所属しているメンバー同士で戦います。その際にどちらが勝つかお客様が賭けることができます。賭けるものは賭けた者の支払う料金です。勝てば倍率に合わせて安くなりますし、負ければ高くなります。その上で料金の支払いに関してどうなさいますか?」


「賭けるのは個人のみとしよう。料金に関しては…」


ミハイロが僕に指を差す。


「こいつのぶんは俺が払う。残りの女共は知らん。」


「私は〜自分で払うよ〜。」


「そうね。私達は個人で払いますわ。」


「かしこまりました。賭けるタイミングとなりましたら、改めてお聞きしにまいります。メニュー表はこちらとなります。」


全員にメニュー表が配られる。


僕はそのメニュー表を見て、何故ミハイロが僕のぶんまで払うと言ったのかその意味を知ることとなる。一番安いもので3000Gしてる…。ちらりと嶺華達を見るが特に気にした様子はなく、ページを捲ってる。


僕はとても気が引けたので値段が安いものを探す。そんな僕に気付いたのかミハイロが声を掛けてくる。


「シズク。遠慮はするなよ。金など幾らでもある。それこそ使えんくらいにな。そのうちシズクにも奢ってもらうのだから、堂々と好きなものを頼め。俺もその時が来たら一番高いやつを選ばせてもらうからな。」


何処までが本当の言葉なのかは怪しいが、ミハイロなりに気遣ってくれてることはわかった。だからこそ、僕の気持ちも軽くなって、先程のような探し方はしない。しないのだが、だからといって、高いものが頼めるはずもなく、無難な値段の中から選ぶことにした。


海竜丼 5000G


うん。なんか海鮮丼が出てきそうな気がするけど、これが無難で美味しそうだ?魚は結構好きなんだけど、竜って魚に分類しても良いのだろうか?


それぞれ決まったようなので頼むこととする。ちなみに、他の者達が何を頼んだのか値段と共にどうぞ。


美月→オークキングの霜降りステーキ 20000G×4=80000G

葉月→パンケーキタワー 7500G

嶺華→妖精ランチ 15000G

ミハイロ→和風定食 30000G


とまぁ、美月が一番ぶっ飛んでる。

ちなみに、ミハイロの和風定食は名前からして普通だし、見た目も普通なのだが、単品の値段としては一番高いので、何が入ってるのかは聞かない方が良さそうだ。


中ボスであるオークキングのレアドロップを1つ使ったステーキで2万ならミハイロの定食の素材はそれと同じくらいのとこか低めの中ボス以上のとこから取ってきてるのかもしれない。


ちなみに、海竜丼を海鮮丼と予想してみたが、見た目はうな重でした。食べてみると骨とか全くなくて、口の中で蕩けるような感覚なのにずっしりと来る旨味がタレとの相乗効果でご飯との相性が最高であった。


食べてる途中で音楽が鳴り始める。

舞台の方を見てみると、幕が左右に引いていき、そこには二人の男性が現れる。先ずは大男の方がマイクを手に自己紹介をする。見た目からしてプロレスラーがよく似合う。顔はマスクが被ってあり、その上で舞踏会とかで使いそうな仮面が付けられている。全体的に筋肉を見せるような露出の多い服ではある。装備品としての価値はなさそうだ。


「俺の名はぁ!!マスクド仮面だぁ!!普段から武器はあんまり使わねぇ!!筋肉こそが最強!!筋肉美に見惚れるがいい!!」


「はい。ありがとうございます。では、対戦相手の方、自己紹介お願いします。」


「はいはーい。注目〜!儂の名はアイドル仮面じゃよ〜!普段は短剣をよく使うかのぉ。今回は無手じゃから、丁度いい手加減になって、良いのではないかの?」


お互いにバチバチと鋭い目線を送り合う。


「では、今から賭けたい方はウェイターの方までお願いします!!マスクド仮面の倍率は1.8倍!アイドル仮面の倍率は1.3倍とさせていただきます!」


明らかに無手が得意な方が倍率が高く、無手を使わない方が倍率が低い。単純な戦闘力の差を現してるのだろうか?


嶺華と葉月はアイドル仮面に賭けた。美月とミハイロはマスクド仮面に賭けた。どちらにしようか悩んでるとミハイロこら声を掛けられる。


「シズク。そんなに悩む必要などない。応援したい方を賭けるがいい。」


そんなことを言われると不利に見えなくもないマスクド仮面の方に賭けたくなったので、そうすることにする。賭けたあとになって、今更ながらミハイロが補足説明をする。


「ちなみに、あの二人は師弟関係でな。アイドル仮面は10人以上の弟子を抱える前線の人間だ。そこの賢者共は正体を見破って賭けたのだろう。」


そんなことを言われると、急に変えたくなるのだが、ミハイロは微笑を浮かべたままだ。その笑みの意味をこれから始まる見世物への期待や楽しみだと思うことにした。


そして、時間がやってくる。


「では!これより〜マスクド仮面とアイドル仮面のお二方による格闘を始めます!!二人とも準備はいいですか〜?」


「おうよ!」


「よかよか。」


「では、構え!」


マスクド仮面は構えるが、アイドル仮面は腰に手を回していて構える気は無さそうだ。


「始め!!」


ウェイターは即座に舞台の奥へに下がり、その前で二人は戦い始める。マスクド仮面が大振りのストレートを放つ。それを軽く避けつつ左足で回し蹴りをする。頭を狙って放った蹴りはもう片方の腕によって止められる。


お互いの攻撃をお互いに受け止め合う。決して止まることはなく、息継ぎすらもせずに一進一退を繰り返す。ある程度、戦闘技術を持つ者なら二人がまだ本気ではなく、あくまで見世物として演出をしていることに気付くだろう。


実際にシズクと美月以外は全員気付いていた。

そこからどうやってギアを上げていき、勝敗を決するのか目を離せない。


終盤に差し掛かったところで突然マスクド仮面のストレートの速度が5倍に膨れ上がる。あまりにも速過ぎて一般人なら目も追うことができないだろう。そんな拳を正確に避けつつ、その勢いをそのまま投げるときの力とし、受け流す。このままだとマスクド仮面の背中を叩きつけて、最悪の場合骨折どころじゃ済まないと思うのだが、まるで打ち合わせをしていたかのように叩きつけられる瞬間、足を先に地面に着かせて、そのまま筋肉の力の限りを使って無理やりアイドル仮面を投げ飛ばす。


投げ飛ばされたアイドル仮面は天井にぶつけて、そのまま数mはある距離から舞台の床に跳ねるように全身を打ち付ける。


あまりにも心配になり、ミハイロに聞いてしまう。


「あれ、大丈夫なんですか?」


「フ、あのじいさん。わざとらしく床に落ちた瞬間、体に力を込めて跳ねるような演出をしていたな。それにな。大男に投げられたときもじいさんの方もタイミングに合わせて自ら飛んでいったからな。」


「なるほど。」


ちなみに、嶺華の方を見ると。


「出来レースとはね…。ふふっ…。」


「まぁまぁ、見世物としては楽しかったでござろう?賭けるなど所詮はお遊びの範疇でござるよ。それに美月が負けたときの金額の方が洒落にならないでござるから、拙者らが負けた方が良かったでござるよ。」


ちなみに、今回の料金の結果はこうだ。


シズク→5000G×0.2=1000G


美月→80000G×0.2=16000G


葉月→7500G×1.3=9750G


嶺華→15000G×1.3=19500G


ミハイロ→30000G×0.2=6000G

キャラインタビュー


記者「はい、皆さんこんにちは〜!今回は私が噂のミハイロさんにインタビューを致しますいえーい!!」


ミハイロ「ふ。馬鹿みたいに騒ぐ女だな。」


記者「それではズバリお聞きします!好みの女性のタイプは?」


ミハイロ「ふん。強い子を産んでくれるなら誰でも構わん。」


記者「それはつまり、お子さんと将来戦いたいってことですか?」


ミハイロ「そこまでは言ってない。弱者より強者の方がより幸せを掴みやすいだろうと思っての親心だ。」


記者「なるほど〜!では、好きな女性の顔とかスタイルとかはないってことですかね!」


ミハイロ「そもそも俺は無性愛者なところがあるからな。だが、敢えて言うとすれば、俺より背が低ければ良い。」


記者「ほほう。つまり、性行為は興味がないと?もしくは、嫌いというわけですか?」


ミハイロ「あぁ。幼少期より興味がなかったな。」


記者「それでより戦いが好きというわけですかぁ。」


ミハイロ「戦闘で心を満たしてるのかもしれんな。」


記者「ちなみに、最近はシズクちゃんがお気に入りとか聞きましたが?」


ミハイロ「シズクか。この世界に来て初めて作った友だからな。そのうち、機が熟したとき、殺り合ってみたいものだ。」


記者「つまり、どちらかが死ぬまでは止まらないというわけですか。」


ミハイロ「さぁな。降参をされたら流石に止めるかもしれんな。」


記者「かもですか。なんとも恐ろしいですね。」


ミハイロ「ふん。」


記者「では、インタビュー答えていただきありがとうございます〜!ではでは〜!またいつの日か会いましょう〜!!」

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