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幸運に全振りした男の娘による異世界転生  作者: A-est
第1章「幸運に全振りした男の娘による異世界転生」
17/53

第16話「ミハイロvs美月」

後書きの主人公のステータス欄を一部修正と追記。


ミハイロの口調と誤字修正と追記しました。2020.3.16

「何やってるんですか?」


流石に暗殺者専用装備を着けてる以上は何故こんなところにいたのか問い詰めたい。まさかとは思うが、暗殺依頼でもされたのだろうか?そもそも【暗殺者】スキルを持ってることすら知らなかったのだ。


「久し振りに狩りに行こうと思ったら…。」


「嘘だな。」


ミハイロの声で遮られる。


「俺に嘘は効かん。隠すのは上手いようだが、俺も暴くのはプロだ。」


レディが拗ねてる。


「なんなら、死なん程度に尋問してやろうか?」


「シズクちゃんを見に来ただけよ。バレたくないから昔使ってたやつで隠れつつ眺めてたってわけ。そこで急に目の前にこの男が現れたから驚いて、交戦したのよ。」


なるほど、何故僕を見に来たのかはわからないが、少なくともミハイロが反応しないということは嘘ではないのだろう。


「ふ、嘘は言ってないが、本当のことも言ってないな。」


「別にシズクちゃんに危害加えようとかは思ってないから安心して。」


「安心は出来んが、お前の中では危害を加えるつもりはないのだな。」


何とも変な言い回しな気もするが、僕は特に気にせずスルーしておく。というか、何気に僕限定なのね。嶺華達は無視されてる。


「それで道具屋のお仕事はどうしたんですか?」


「あら?ヴァルから話聞いてないの?午後からの探索は私も加わるのよ。だから、お店は気分にもよるけど、早いとお昼には閉めるのよ。」


「それでそんな格好に…。」


「え?これはシズクちゃんを見る専用の装備よ。」


なんとも言えない返事が返ってきたので、チラッとミハイロの顔を窺うと、目線が合うと共に微笑を浮かべられた。嘘は言ってないらしい。ここまでの好意は受け取ったことがないというか、ストーカーは初めてのことなので戸惑いしかない。


「そう言えば、ミハイロ?突然消えましたけど、あれなんですか?」


「ふ、それは秘密だ。もしかしたら、そこの賢者共なら何か知っているかもしれんな。【全知の賢者】なんて言われるくらいだからな。」


ミハイロは隙あらば誰かを挑発してる気がするのだが、これは意図的なのかどうなのか判別に困る。ミハイロが嶺華に目を向けるものの嶺華は目を逸らす。どうやら、知らなさそうだ。


「それで、そちらの女性はどうするでござるか?」


「ふ、離しておいても問題はなさそうだな。今日から1ヶ月はシズクと居る。故にこの黒女が何かしようとも無駄だからな。」


「ちょっ…黒女って!どう見ても見た目で名前決めたでしょ!」


「なんだ黒女?雑魚のくせによく吠えるな。名前を覚えて欲しかったら俺を楽しませる努力をしろ。お前はそこの馬鹿女共より底辺だ。賢者ならばそこの女が一番強いだろう。くノ一ならそこの女が一番強かろう。だが、黒女。お前より強いやつは幾らでもいる。そんな雑魚にまともな名前など不要だろう?」


そんなミハイロをものともせずレディは思ったことを口にする。


「それ独善的な暴論よ?気付いてるのかしら?」


「ふ、この世界において強き者が正しい。俺は強い。お前達は弱い。それが決定的な違いだ。強ければ暴論だとしても正しいのだ。」


まぁ、言わんとしてることはわかる。

この世界には法律など存在しない。個々が己の思うがままに生きている。この世界において必要なのは力。力が足りなければ生きることすらできない。力がない者は他の仕事を見つけて、自分より強い者達に媚を売ることでしか生きられない。ある意味、単純に弱肉強食の世界なのだ。


特にミハイロは人殺しでもあるので、下手に反論できないというのもあり、暴論が罷り通ってる。


「シズク。お前は名前を覚えるべきと思うか?」


答えづらい質問を僕に問いかけないで欲しい。


だが、この中で今の所一番信用足りうるのはミハイロだ。はっきり言って嘘をつくような人間には見えない。どこまでも自分を突き通す姿勢を見せているところからも、表裏のない人物ではないだろうか?


一方、時折内緒話をしてる嶺華と葉月は微妙だし、レディは今回のことで信用度が落ちた。というか、出会い頭援交を持ち掛ける人間がまともなはずもない。


この世界に来てまだ2日しか経ってないのだから、性格を考慮するのは当然のこと。その上で一番信用できると思ったミハイロの望む自分らしさを出して答えることとする。


他の三人は知ったことではない。


「覚えなくとも良いと思います。それがミハイロらしさなのであれば。」


「ふ、もし俺と同じ立場ならシズクは覚えるのか?」


「その場合だと僕は覚えないでしょう。」


「何故だ?」


「接点がない相手に対して、覚える必要性がありません。」


「なんともつまらん普通の答え方だな。どうやら、シズクも覚える気はないようだ。なら、俺が黒女の名前を覚える必要性は皆無であるということだ。」


「ふふふ、別にいいわよ。シズクちゃんに名前呼んでもらえたらそれでいいもの。」


「ふ、俺には理解できんな。偽りの名で呼ばれて喜ぶなど、狂人ではないのか?」


「私にとってはこの世界での名前よ。」


「ふん。随分とつまらん前世だったのだろうな。」


「そうかも…しれないわね…。」


レディが哀しそうな目をした気がするが、そのまま背中を向けて歩き出す。


「そろそろもう行くわ。この格好でヴァル達と迷宮行きたくないのよね〜。」


振り向いてバイバイと手を振る。


「シズクちゃん。また今度お店に来てね!待ってるわ〜。」


結局、なんの為に来たのかいまいちわからなかった。少なくとも僕を見に来たのも目的の1つだったのは間違いない。昨日の今日で監視されるようなことをした覚えがないのだけれど、これからは気を付けたほうが良いのかもしれない。


「シズク。そこの賢者共との用事が終わったら何かあるか?」


そもそもこの検証がいつ終わるのか不明なのだが、一応は荷物持ちってことだったから、それがある。


「さっきレディが言ってたヴァルという人のパーティで荷物持ちの予定があります。」


「荷物持ちだと?」


「えぇ、荷物を持つというのは建前で、僕のレベル上げと報酬金が中心で、優しい方達です。」


「そうか。なら、俺も着いていこう。なんなら、ボスの周回でもやるか?」


「いえ、あのアイテムをこんな序盤のボスに使うなんて、勿体無いですよ。」


ゲーム時代にもあったアイテムなのだが、【時空神の雫】というのがあった。説明欄にはボスの部屋の前で使うと、ボスが復活するというものだ。補足説明に時空神の涙かもしれない的なことが書かれてたが、外道で有名な時空神(クウちゃん)が涙を流すわけがないだろうという結論で終わった。


超級【時空神の雫】クリアしたボスの扉などの前で使うとボスと再び戦えるようになる。その際、迷宮内の特殊な敵も再出現する。


「フ、気にするな。また集めればいいだけの話だ。」


確かに序盤では滅多に手に入らなくとも、終盤である程度のレベルさえあれば、高ランクの迷宮の無限の宝箱を開けてるだけでも割と手に入ることはある。特に出てきやすい迷宮もあった。この世界でも共通なのかはわからないが、恐らくはそういう集め方をするのだろう。


「でも、やっぱりやめておきます。最初は剣の技術を上げることを優先させます。」


「ほう、剣か。片手剣か?」


「はい。片手剣が一番無難ですし、一番よく知ってます。」


「そうか。俺とは違う戦い方を身につけねばならんな。」


ミハイロは明らかに速度重視だ。片手剣でも美月のように速度重視の者もいる。だが、その全体の軽さというのはどうしても関係してくる。片手剣より刀の方が素早くなるのは間違いない。


つまり、違う戦い方とは素早さで勝てない以上、その差を埋める戦い方が必要であるということだ。単純に力任せに戦うと負けてしまうだろうし、その辺は改めて考える必要がありそうだ。


「さて、宝箱の復活時間までレベル上げするか?」


少し悩ましいが、かれこれ日は完全に落ちた。次に開いたら食事をしに行くのかもしれない。それを考えるならやめておいたほうが吉だ。


「いえ、少しアイテムの整理します。」


そう言いながらアイテム欄を表示させ、【回復の泉】により生成されたポーションの確認を行う。上級3、中級2、初級8、粗悪4と粗悪ポーションよりは初級ポーションの方が出やすいらしい。けれど、話を聞いた限りの確率のことを考えるならば、全体的に上昇してるのは間違いない。


上級ポーションは勿論、ストレージの方に収納しておく。上級ポーションも6個になり、比較的消費しやすい。回復量も神秘の指輪を装備していれば超級ポーションと同じくらい回復ができる。だが、神秘の指輪を装備することにより、他の指輪が装備できないのは少し難点だ。


いっそのこと、修練の指輪1つくらい外した方が良いかもしれないが、ミハイロが手伝ってくれるというのだから、修練の指輪は付けておいたほうが後々役に立ちそうだ。ある程度のレベルになると称号スキルの幅がかなり広くなるので、スキルポイントの使い道に悩まされることとなる。ならば、雑魚敵しか出てこないうちに稼いでしまおうという案だ。


「ふ、回復の泉か。」


ミハイロが呟く。それに気付いた僕は顔を上げる。


「すまん。ポーションの入れ替えをしていたところを見て、回復の泉をアイテムバッグに入れてるのかと思ってな。」


「そうですね。幸運のお陰で上級ポーションまでならたまに出ます。」


「幸運か…。俺には理解できんステ振りだが、戦闘以外でかなり優遇となるのなら、パーティに一人は欲しいものだ。俺とタッグを組めば、お互いが望む最強へと行けるかもしれん。」


「それは…。」


「ただの独り言だ。気にするな。」


「はぁ…。」


それからは時間が過ぎるのを待ち続けた。

ミハイロは待つのが苦手ならしく、森の中に入って行ったのをボッーと見ていた。暫くすると、美月と共に袋を引き摺って現れたと思いきや、袋の中には状態異常で麻痺に掛かっているハニービーが沢山入っていて、美月とどちらが多く捕まえられるかを競っていたらしい。


ちなみに、ミハイロが勝利した。

ミハイロは当然とばかりの憮然とした態度で、美月がもう一回勝負を吹っ掛けたのだが、とりあえず捕まえたハニービー全てに僕が一撃を入れてから倒すという作業が始まった。レベルは2上がった。地獄のような作業だったのだが、もうハニービーでは上がりづらいとこまで来ているらしい。


それが終わって数分も経たぬ内に無限の宝箱のお時間がやって来た。


今日、2回目の中身は【鏡の指輪+5】だった。


「あ〜これはなんとも言えないわね。」


超級【鏡の指輪+5】敵の攻撃を30%の確率で反射する。


「いやいや、嶺華?何を言ってるでござるか?シズク殿が使ったら、恐ろしいことになりそうでござる。」


つまり、ここでも幸運が発動するのではないかという話だ。


「え?流石に……ないとは言い切れないか…。シズク!これも後で検証させてもらえないかしら?」


「はぁ…まぁ、はい」


「攻撃だから多分石でも問題ないと思うから、石で試してみるわ。精神的に疲れることも考慮して15万くらいかしら?もし、かなり面白い結果になったら合計30万渡すわ!!」


これは是非とも僕の幸運が上手く作用してくれることを祈るしかない。


「それじゃあ、一旦夕飯に行きましょうか。どうするのかしら?一緒に食べるか別々で食べてここに合流するのか。」


「それなら、俺の馴染みの店にでも案内しよう。」

主人公のステータスなど


シズク(雫 流華)

性別 MTF

渾名【無し】称号【宝箱確率上昇3】

所属ギルド なし

Lv.13

生命力 1

精神力 1

持久力 10

筋力  4

技力  1

魔力  1

信仰力 1

幸運  100

闇値  2

所持金 110.050G

スキルポイント 26

【宝箱確率上昇】10

【宝箱箱罠回避】10

【宝箱確率上昇2】10

【宝箱確率上昇3】10

左手

修練の指輪×5

右手

生命の指輪 生命力+10

生命の指輪  生命力+10 借り物

生命の指輪+1 体力5%上昇 借り物

生命の指輪+2 体力8%上昇 借り物

活力の指輪 筋力+5


装備

神秘の指輪+7

鏡の指輪+5

アイテム

初級アイテムバッグ

超級アイテムバッグ

粗悪ポーション×11

初級ポーション×15

中級ポーション×5

上級ポーション×6

超級ポーション×1

木製ナイフ×35


ステータスは貧弱すぎて雑魚敵すら危ういですが、所持品はチートですね。自重をどこに置いてきたんでしょうか?ちなみに、筋力がなさすぎて何の武器も装備できません。唯一装備できるのは【メジェド】だけですね。

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