第13話「初めての友」
後書きのステータスの称号スキルを2つ追加しました。名称不明なので確かめなくとも問題ありません。
ミハイロのイメージ的に青にしたかったんですが、黒い方が良さげだったので黒にしました。
目を覚ますとそこはベッドの上だった。
昨日の記憶が曖昧な気もするが、見知らぬおじさんもといゼイさんに宿屋案内されたのは辛うじて覚えている。なんか普通に泊まっちゃったけど、ここの料金は大丈夫なのだろうか?安くするとか言ってた気はするけど、部屋の中を見渡す限り、嶺華達の居た宿屋と大体は一緒だ。少し心配にはなったが、まぁ、10万もってれば一泊くらいは問題ないだろう。
コンコン
「お客様。起きてらっしゃいますか?」
扉の向こうから店長と思わしきお爺さんの声が聞こえてくる。
「あ、はい!」
「開けてもよろしいですか?」
「はい、どうぞ。」
扉が開かれニコニコとしたお爺さんが入ってくる。お爺さんは年齢の割に足腰が衰えてないようで、どこぞの執事にも見えるような立ち姿だ。顔も引き締まってるので、少し格好いいとも思う。
「よく眠れましたか?」
「はい!ありがとうございます!」
「いえいえ、店長として使って頂けるのは至福です。」
「あの、ここの料金は…どれくらいなんですか?」
「おお、それは勿論心配になりますよね。見たところまだ無料で貰える装備品も持ってませんし、1週間は一泊250Gとさせて頂きます。2週間目からは500G。3週間目からは750Gということでどうでしょうか。勿論!3週間泊まる必要はありません。必要なくなればいつでも出て行って貰っても構いませんので、お気になさらず。それに、最初の1週間限定で払えないようであれば後でまとめてお支払い下さいませ。」
確か、裏料金とか言ってたような?それで750Gというのが安いのだとして、本来はどれくらいするのだろうか?
「ちなみに、表の料金だとどれくらいするんですか?」
「3000Gです。」
「3000!?」
「まぁ、ゲームとしてやっていた頃なら恐らくは皆さんそういう反応されるでしょう。ですが、ここでは宿屋という需要は遥かに高いものです。この料金の中には食事や風呂など様々なサービスがあります。一番格安の宿屋でしたら食事なんてありません。食事ありきの宿屋でも普通のところはタオルで体を拭く程度でしょう。高級宿屋になって初めてシャワーがあり、最高級でやっとお風呂があるんです。ちなみに、裏料金ですとマッサージのサービスもあります。1日10分までとさせていただいてます。それでもマッサージをしてくれる店はおろか宿屋すら滅多にないでしょう。この宿屋が伝説級ポーションの元々の値段と同じである理由がご理解頂けましたでしょうか?」
正直、驚きでしかない。この世界とはそこまで不便だったとは予想だにしてなかった。というか、絶対、時空神の意地の悪さが反映されてるよ…。と思った。
「裏料金は皆さん750Gなんですか?」
そう、そこを聞いておきたかった。
あまりにも安過ぎるのはおかしい。だって、表の値段との格差が激しすぎるのだ。何か裏があるようにしか思えない。そもそも誰もこなさそうなところに建ってて、宿屋なのかもわからない外見なのだ。怪しさしか感じない。
「いいえ、裏の基本料金は1500Gです。この値段から安くなるのは基本的に1つです。会員のランクによります。貴方を連れてきたゼイ坊は最高のSランクとなっております。ですので、今回そのお値段となりました。まぁ、それだけじゃなく来たばかりというのを考慮してる部分もありますが…。ゼイ坊が連れてきた方を無闇に死なせるわけにはいきません。ですから、もし会う機会があれば、御礼を言ってあげると宜しいかと思われます。」
「そうだったんですか、ありがとうございます。」
「いえいえ、お気になさらず。お腹は空いてますよね?」
「……はい。」
「お部屋にお持ちいただくのと、食堂で食べるのとどちらが宜しいですか?」
流石にここまで高待遇をさせて貰ってるのだから、持ってきてもらうのは忍びない。自ら行くことにした。
「では、食堂でお願いします。」
部屋から出るとき、鍵を貰った。これで防犯をしているのだそうだ。ちなみに、昨日はこのお爺さんのスキルで誰も入れないようにしてたらしい。あり得るとしたら、【結界魔術士】関連のスキルだろうか?というか、それしか思いつかない。もしかしたら、嶺華さんの【★全知】みたいに知らないスキルかもしれない。【★全知】に関しては何の派生なのかも、内容も見当が付かない。予想はしてるのだが、教えてくれるとは思わないので、自分で探すしかない。
僕の方針としては暫くは脳筋で行くが、ある程度を超えたならオールラウンダーに切り替えるつもりだ。最初は攻撃特化で次に魔法を交えての攻撃特化、そこから回復も交えて、あとは役に立ちそうなスキルをこまめに覚えていくという感じだろう。どうせなら色んな武器を使ってみたいものだ。
階段を降りて、正面玄関ではなく、階段の横の道から奥へと入ると、そこは100人くらいが入れそうな食堂に繋がっていた。既に色んな人が談笑してるが、大半の人が顔を隠すか、ロープを頭まで覆っている。やっぱり、こんな宿屋だと後ろめたい人が利用するのだろうか。
時折、あちこちから視線は感じるが、こちらに顔を向けた素振りはないので勘違いだと思いたいのだが、間違いなくこちらを見てる。この宿屋に泊まるのが不安になってきたのだが、ここほど高待遇のとこもないだろうから、割り切ることにした!
「それでは、私は正面玄関のカウンターの方に居ますので、何かあれば声を掛けてください。」
軽くお辞儀をされて、去って行く。
カウンターらしきところにメイド服を着た無表情の女性が立っている。というか、身動ぎ1つしないのだが、人形では?と内心思いつつ、話し掛ける。
「あの〜、どこで注文すればいいですか?」
目線が合う。特に表情変えることなく淡々と話してくる。
「こちらのメニュー表に書いてある中からお選び下さい"ッ!!」
突然、頭の上に手を置いたので、そちらを見ると拳骨を構したであろうシェフがいた。
「梓ぁ!!接客中はにこやかつっただろ!」
「私は動く機械です。心などありません。故にそのような"ッ
!!」
「お前、そのネタいつまで引き摺んだ!あぁ?俺は知ってるんだからな?からかうとき満面の笑顔で笑うのをよぉ。てめぇのは単純に面倒くさがり屋なだけだろ!!」
「ちょっと!ジェフマンさん!割れたらどうするッスか!」
「客人すまねぇな。こいつにはきっちり言い聞かせとくから、不快にさせちまったら申し訳ねぇ。」
「聞いてるんスか!い"ッ!!」
「代わりと言っちゃあなんだが、客人の料理は全身全霊を賭けて、最大級の美味しさになるよう頑張らせてもらうよ。俺はそれくらいしかできねぇからよ。」
「は、はぁ…。」
「じゃあ、この中から選ぶッスよ。」
「この野郎…。敬語はどうした?」
「この中からお選び下さい。」
先程の無表情とは打って変わってにこやかにかつ丁寧に話してくる。
「それでいいんだよ。それで。」
シェフは厨房に帰って行った。
「ジェフマンさん鬼みたいッスよね?そう思いません?」
「お"い"!!聞こえてるぞ!!!」
「はい!すみませんでした!!」
改めて気を取り直して、メニュー表を見ると、日本料理から中華料理、イタリアンなのかなんなのかわからない料理などある。その中でも目を引いたのが、日本料理はすべてもどきと書いてる。見た目は日本人じゃなかったし、疎いのかな?
とりあえず、日替わり定食というのがあったので、それを選ぶ。
「ジェフマンさん!日替わり定食ッスよ〜!」
「おう!わかった!」
カウンターの横は厨房の中すべてが見られるようになってて、そこの横長いテーブルで料理を受け取るらしい。数分ほど待ってると、シェフが料理を持ってくる。
「はい!お待ちどお!!ゆっくりしてってくれや!」
全体を見る限り、20人くらい居るだろうか?そんな中で誰もいない場所に腰掛けて、料理を見てみる。今日の日替わり定食はご飯に味噌汁、卵焼きとなんかの野菜のお浸し、あと謎の焼き魚だ。味噌汁の具は豆腐とわかめらしき何か。うん、まぁ。異世界だし?完璧に再現するのは難しいよね。味噌が存在することが驚きだ。あと、卵焼きの卵も何の卵なのか聞きたいような聞きたくないような…。鶏でないのは確かだ。もしかしたら、コカトリスの卵という説もある。
一口ずつ食べるごとに食べるスピードが速くなる。確かにどこか違う味ではあるが、料理としては素晴らしいほどに美味しい。あと日本料理で間違いない。よく研究されてると素直に感心する。
あっという間に完食した。
一緒に置いてあった謎のお茶っぽい何かを口につける。うん。お茶だ。烏龍茶と麦茶を足したような感じだが、悪くない。この食事が毎日食べられるだけで、この宿屋にして正解だったと言えよう。
横から声を掛けられる。
「おい、そこのお前。」
声がした方に向いてみると、一人の高身長の男が立っていた。後ろには誰もいないし明らかに僕を見ている。髪を結んでいてかなり髪が長い。別に老人ってわけでもないのに白髪だ。肌は限りなく白く、腰には刀が刺してある。服は銀の装飾が施された全体的に黒いもので、明らかに何かしらの特殊装備であることがわかる。
「はい、なんですか?」
特に表情を変えることもなく憮然とした態度で話しかけてきた理由を言い始める。
「俺とタッグを組まないか?」
「えぇと、筋力も魔力もないのでお荷物になりますよ?」
「構わん。俺が鍛え直す。」
「まだ何の装備も付けてない僕にどうして?」
「お前のその目が気に入った。お前とならきっと楽しくなるだろう。」
目?なんともあやふやな。
見た目からして、この街に居るのが不自然なくらいだ。その腰に携えてる刀も見た感じ間違いなく伝説級の【クロノス】だ。
刀【クロノス】伝説級 条件→筋力100 技力100 魔力100
・ダメージ率1.5倍 ・速度上昇 ・スキル速度上昇 ・時間魔法無効
武器スキル【クロノス】1分間ダメージカット無効。一度切った場所に斬撃を残す(パーティは斬撃の対象外)。
という、ぶっ壊れ性能の1つだ。
神級となると、更に頭おかしい性能にはなるのだが、そもそも入手条件がいまいちわかっていなかったりして、トッププレイヤーでも持ってたのはかなりの少数だ。誰も入手方法を明かさなかったので攻略では不明と書かれていた。
そんな武器を持つこの男が今更誰かの手助けが必要とは思えない。楽しくなるとはどういう意味だろうか?一人だと寂しくなった…とか?自分は強いから強い相手を探すより見た目で選んだとかだろうか?
「あの、僕男なんですが…。」
「それがどうした。性別などどうでもいい。」
見た目で選んだわけではない?
目が気に入ったとか言ってたから実は目フェチでしたとかそんなオチだろうか?
「俺は俺と戦える相手を探している。お前なら強くなれそうだから、声を掛けた。だが、初対面でこんなこと言われても戸惑うのは仕方ない。先ずはフレンドにならないか。ある程度の付き合いができてから、改めて問おう。」
なるほど、戦闘狂の方でしたか。
それなら余計にこんな見た目の僕が強くなれるようには思えないが、そこは目がそう言ってただとか説明しそうなので、特に何も言わないことにした。
実際のところ、ゲーム時代は間違いなく戦闘狂だったので、あながち間違いではない。そういうところを見抜かれたのだろうか?
「フレンドくらいなら…。」
「申請した。」
メニュー欄を開くと申請が来てたので、名前と称号を見てみる。
名前 MIKHAIL 称号【★三日月宗近】
「えぇと、名前はなんて読むんですか?」
「ミハイロだ。俺はロシア人だからな。」
「ありがとうございます。」
「構わん。ここではあらゆる国の人間が1つの言葉を使う。覚えておけ。」
「はい。」
初めて、日本語以外の名前を見掛けた。嶺華達も日本人でないことから、恐らくは偽名だろう。というか、僕以外で本名見かけたことがないような?
「これって、本名なんですか?」
「あぁ、そうだ。俺の名はミハイロ・ドラグノフ・リヴォフだ。ふん。今更ゲームのときの名を使う必要もないからな。慣れた名を使った方が良かろう。」
「そうですね。」
「今日から俺とシズクは友だ。何かあればメッセージを送ってくるがいい。1ヶ月はこの街に居る。手助けくらいならしてやろう。友としてな。」
この世界に来て、初めての友達はまさかの戦闘狂のようです。
類は友を呼ぶということなのかわからないが、他のフレンド達に比べて、接しやすそうだと感じる。フレンドというのはあくまで交流する手段を必要としたときに使うものであって、他のフレンド達は友でなく知り合いというわけだ。
この選択が凶と出るか吉と出るか…。
キャラのステータスNo.2
ミハイロ
本名 ミハイロ・ドラグノフ・リヴォフ
渾名【???】称号【★三日月宗近】
所属ギルド なし
Lv.513
生命力 15
精神力 1
持久力 150
筋力 150
技力 150
魔力 150
信仰力 1
幸運 1
スキルポイント0
【●●●】
【●●●】
【●●●】
【●●●●●】
【★●●●●●●●●】
【隠密】
【密偵】
【諜報員】
【忍者】
【ドッペルゲンガー】
【★●●●●●】
【★●●】
【戦士】
【★●●●●●●●】
【刀使い】
【侍】
【浪人】
【刀聖】
【刀王】
【刀神】
【★三日月宗近】
【水泳】
【天翔】
【英雄】
【★●●】
【鑑定】
【学者】
【超鑑定】
【初級召喚士】
【中級召喚士】
【上級召喚士】
【超級召喚士】
【概念圧縮】
【●●●●】
【★●●●】
【●●●】
【●●●】
【概念圧縮】を考えた方はこちらの方です。
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