第12話「謎と疑惑」
実はタイトルで少し言葉遊びしてるんですが、わかりました?まぁ、ほんの少しなのでわからない方が多いかもしれませんね。
後書きのレディのレベルを10上げて、称号スキルの一番上に●●を追記しました!そろそろ称号スキルの順番も予想ができ始める頃ですね。あと数人ステータス公開されましたら、文字数とかで予想もできますね!そういう点でも楽しんでって下さい!
誤字修正しました。2020.3.15
「はろ〜。いや、ぐっどないとね。シズクちゃん。こんばんは♪」
月光で照らされ、姿を露にしたのは最初に行ったあの道具屋の店長。レディだった。
嶺華と葉月はレディに対して警戒する。嶺華はシズクがほぼ白だと断じてはいるが、まだ闇ギルド系統に所属している疑念は晴れない。葉月は特に嶺華以上にシズクのことを信用していないので仲間と合流した可能性が否めず、警戒している。
ただ、二人とも腹芸は得意な方なので、表情には出さない。出していない筈なのだが、レディはあっさり見破る。
「やだ〜そんなに警戒しなくても大丈夫よ。ちょっと、美月ちゃんと仲良くなって、一緒に魔物退治してただけだから。」
そんなことを言われても、わざと近寄ってきたかもしれないのは間違いない。現にシズクと知り合いのようだ。二人からすれば、表情を隠していたはずなのに見抜かれてしまう洞察力と同じく腹芸の得意そうな見た目から怪しさしかない。
欲に塗れた人間など腐るほど見たことがある。中にはそれを隠している者もいた。そういう人間との会話の積み重ねで見た瞬間に直感でどういった人間かが二人にはわかるのだ。けれど、レディを見ても何も感じない。まるで、心などないかのような徹底ぶり。笑顔は浮かべているが、まるで張り付いてるだけのような顔。こういった人間を知り合いで見たことがあるからこそ、余計に警戒せざる得ない。
「こんなとこでシズクちゃんに会えるなんて、ラッキーね。あら?その指輪。3つは恐らくヴァル達から渡されたとして、残り5つは1日で集めたの?やるじゃない!」
「ありがとうございます。」
「もう。そんな他人行儀にならなくても、普通に話していいのよ?」
「いえ…。」
「仕方ないわね〜。それじゃあ、お友達から始めない?」
「はい。」
「じゃあ、フレンド交換しましょっか!」
メニューを開いて、レディが操作すると、こちらにフレンド申請が来た。名前の横の称号の部分を見ると【魔女】とある。魔力50の【魔術師】派生で女性限定のものだ。『オンリーワン・ワールド』は女性にもやってもらう為に女性限定の称号が幾つか存在した。その中の1つだ。女性限定と言えば、葉月の【くノ一】もその内の1つである。というか、【くノ一】という名前で男性が取得できたらそれはそれで気持ち悪い。
その称号を見て、後方支援なのはわかったが、なら、何故ソロでこんなとこにいるのだろうか?確かにある程度のレベルまで上げていれば、正直ソロでもこの森くらいなら突破できる。だが、名前の横の称号の欄は基本的に最もランクの高いものとなる。複数同じランクがあれば、その中から選ぶこともできるので、そう考えると【魔術師】と同じランクの他の称号を持ってる可能性もある。
フレンド申請を了承する。
それと同時に自分の犯したミスに気付いてしまった。今は何の称号も持ってないのでフレンド一覧に【宝箱確率上昇】が載ってしまう。嶺華や葉月はまだ誤魔化せるが、流石にレディに見られるのは不味い。そう思ったのだが、僕の称号を見たのか見ていないのか、「ありがとう」とだけ言ってきた。
「それで、こんなところでどうしたんですか?」
「んー?数時間前まではヴァル達と一緒に来てたんだけど、私はお金稼ぎの為にソロでやってたのよ。」
「でも、ヴァルさん達ってまだボスを倒してないってことはレベル低いですよね?」
「あーね。確かに今はパーティ組んでるけど、元は違うパーティに居たのよ。だから、私のレベルは今のヴァルの4倍くらいじゃないかしら?」
4倍?ということは、ヴァル達のレベルを多めに見て70だとすると、280となる。というより、最低でも200はあると思われる。それならば、嶺華達のパーティよりも少し低いくらいだろうか?少なくとも前線に居たのは間違いない。
ここで余計に疑問が増える。なら何故、こんなところで道具屋の店長などしてるのだろうか?他の仲間達はどうしたのだろうか?謎は深まるばかりである。特にヴァル達とパーティを組まなかったのも少し不思議だ。もしかすると、人数的な問題かもしれないし、この世界に来たタイミングが違うかもしれない。全ては憶測に過ぎず、謎を解決するには情報が足りない。
「そうでしたか。」
「ふふふ、まさかこんなところにシズクちゃんがいるなんて。今日は運が良いわぁ。」
「はぁ…。」
「こんな時間に何してるの?」
正直に話しても構わないのだが、念の為確認を取りたいので嶺華の方をチラ見する。すると、嶺華と目が合う。嶺華は僕の言いたいことを察したのか、返事をする。
「申し訳ないけど、それは言えないわ。私達のやることが終わったあとなら、聞いても構わないわ。」
「あらそう。残念ね。あなた達、シズクちゃんはか弱いんだから、しっかり守ってあげてね。それじゃあ、私は明日もお店あるし帰るわ。シズクちゃん。またね。」
そう言って、あっさりと帰って行ったので、唖然とする。嶺華も予想外だったのか不思議そうにしてるが、葉月一人だけは警戒を緩めない。きっちり見えなくなったところで、葉月が嶺華に声を掛ける。
「嶺華。暫し、行ってくるでござる。美月、嶺華を頼んだでござる。」
そう言って、物凄いスピードで駆け抜けて行く。数分経ったところで葉月が帰ってきた。嶺華の耳に手を宛て、小声になる。
「うむ。見たところ、そのまま帰ったでござるな。最も先程のヴァル殿のレベルの4倍と聞いた辺り気付かれなかったふりをされたかもしれないでござる。気は抜かない方が良いでござるな。」
「ちなみに、シズクは白で良いのかしら?」
「グレーではござらんか?少なくとも先程の女性との関わりはほぼないと思えるでござる。関わりがあるにしては不自然な点が多いでござる。ただこちらを困惑させるための演技である可能性も考慮せねはならぬでござろう。」
「えぇ、そうね。あれは底が知れぬ何かを持ってるわ。あの女性に関しては闇ギルドと関係があると思った方が何かと納得できる部分もある。寧ろ、ない方が不自然まであるわね。それに対して、シズクは一部を除けば問題なさそうね。」
「では、シズク殿は監視から外して、先程の女性への警戒を強めるでござる。嶺華はシズク殿の方を注意するでござるよ。」
「えぇ、わかったわ。」
急に二人の内緒話が多くなった気がするが、部外者の僕に聞かせたくないこともあるだろうから、気にしないことにした。
そのあとは深夜2時に上級ポーション。深夜4時に活力の指輪 筋力+5。朝6時に上級ポーションと出た。
「ん〜。なんとも言えない結果だったわね。」
「けれど、無限の宝箱にしてはかなり運が良い方でござるな。普通上級ポーションなど、なかなか出ないでござる。」
「そうね〜。粗悪ポーション全然出てこないというのは中々面白い検証結果だったわ。それじゃあ、報酬の方だけど。」
ここでフレンド一覧を見られるわけにはいかないのですかさず声を掛ける。
「ちょっと待って下さい!」
「何かしら?」
メニュー欄を開いてスキルポイントを使うフリをする。勿論、タップしても反応はしないが、スキルを振るときの指の動かし方をする。
「今、称号スキルにスキルポイントを振りました。あともう一度試してみませんか?」
「ふむ、確かにその検証も必要でござったな。うっかりしてたでござる。」
「そうね。でも、それはまた帰ってゆっくりしてからにするわ。報酬はとりあえず半分だけ渡しておくから、目を覚ましたら私達の部屋まで来なさい。」
そう言って、僕の称号を見ると、少し指が止まる。けれど、すぐに気を取り直したようで、報酬が送られてくる。勿論、受託して、これで110050Gという所持金になった。大して、狩りをしてないし、これだけのお金を集めようとすれば、お金がドロップするダンジョンで何度も枯らすしかないだろう。そう考えると、少しは攻略が楽になったと言える。
「それじゃあ、私達はもう少しここにいるから、先に帰りなさい。」
「はい。お疲れ様です。」
「お疲れ様。」
「お疲れ様〜!」
「お疲れ様でござるよ。」
シズクが見えなくなったところで嶺華と葉月は話し合う。
「シズクの称号は【宝箱確率上昇3】になってたわ。偽装を持っていないなら、これで間違いないわね。」
「それよりも拙者は先程、スキルを振る前のシズク殿の様子が気になったでござるよ。」
「確かに少し不自然だった気がするわ。もしかして、あの白い紙に書かれてた何かを見たんじゃないかしら。それか最初から称号を持っていたか…。」
「どちらにせよ。合流したあと、宝箱を開けたときの中身によって、決まるでござるな。」
「えぇ、そうね。もし、同じようなランクのものが出てきたら、黒と考えることにするわ。」
「ね〜ぇ〜、もう帰ろうよ〜。ね〜む〜い〜!」
「ふふ、わかったわ。それじゃあ、私達も帰りましょ。」
「全く、美月は我侭でござるなぁ。徹夜など拙者らは日常茶飯事でござるよ。我慢を覚えるでござる。」
「あ〜!そんなこと言うんだったら〜、ここで眠るからね〜!」
「仕方ないでござるなぁ。早く帰って寝るとするでござるよ。」
そんな三人を影からひっそりと監視する女性がそこにいた。彼女は帰る三人を見て、先に【妖精花の縄張り】から出ていき、住居兼道具屋へと帰るのであった。
一方その頃。
「う〜、眠い。ゲームで徹夜はよくやってたけど、体動かしまくっての徹夜は辛いよぉ。」
なんとか頭を働かせながら、シズクは宿屋を探す。ヴァル達と同じ宿屋でも構わないのだが、人気があることからも恐らくはいっぱいだろう。だから、違う宿屋を探している。
そこで一人の男性に声を掛けられる。
「よぉ。そこの坊主。フラフラじゃねえか。どうしたよ?」
僕は眠いからこそ、気付かなかった。女の子によく間違われる僕が初見で男だと見破られる筈がないことに。
「宿屋探してるんですけど、宿屋がなかなか見つからなくて…。」
「あ〜、なるほどなぁ。確かにこの街の人口多いもんな。人気どころはどっこも埋まってるわな。よし!なら、俺のオススメの宿屋紹介してやるよ。」
何の危機感も持たずに二つ返事でお願いする。
「んじゃ、ちょっと着いて来いよ。」
どんどん人気のないところへと行く。そんな途中で話しかけられる。
「おっ、そうだ。宿屋に行く途中の道でな。ほら、あそこ。『シャドウムーンラビット』って道具屋があんだ。あそこはな。知る人ぞ知る道具屋でな。店長におすすめの道具はありますか?と聞くと、表に出してないもん売ってくれるから、今度試してみな。」
「へぇ、そうなんですかぁ。」
『シャドウムーンラビット』から数件隣の古そうな建物の前で立ち止まる。
「ほら、ここだ。入るぜ〜。」
ガチャ
そこにはよぼよぼの爺さんが居た。だが、体は引き締まってるし、杖をついてるわけでもない。白髪ではあるが、ふさふさだ。内装を見ると、外装が何だったのかと思うくらい綺麗で洒落てる。
「おや?懐かしい顔だね。久し振りじゃないか。」
「よぉ、おやっさん。」
「それで、そちらは?」
「あぁ、この坊主がよ。フラフラ歩いてたからどうしたのかと聞いてみりゃあ、宿屋探してるんだとよ。見るからに昨日来たばかりなのかはわかったし、おやっさんのとこ紹介しようと思ってな。」
「おぉ、そうかい。そうかい。ゼイ坊の紹介なら構わんよ。」
「あと、わかるとは思うが割引してやってくれ。金はこっちに請求してくれても良いからよ。」
「いやいや、紹介された以上、裏料金にするよ。」
「あの〜。裏料金ってのは?」
お爺さんは二カッと微笑む。
「紹介なしだと少し高めの料金を取ってるんだよ。ここの会員になった客からの紹介だと裏料金と言って、かなり安めの料金になるんだ。じゃから、来たばかりだとしても心配なされるな。それに数日なら滞納しても構わないよ。」
「お爺さんありがとうございます。それにゼイ…さん?もありがとうございます。」
お辞儀をして、感謝する。
「じゃあ、俺はもう帰るな。おやっさん。また今度来るよ。」
「ゼイ坊。体には気を付けるんだよ!」
扉が閉まると共にお爺さんが近付いてくる。
「それでは、お客様。料金は後払いで構いませんから、お部屋の方を案内させて頂きます。」
そこからは眠気が頂点に達し、部屋までどうやって行ったかもわからないが、なんとなくベッドの上で寝た気がする。
キャラのステータス No.1
レディ
渾名【ラビット】称号【魔女】
所属ギルド 闇ギルド系
『シャドウムーンラビット』の店長
Lv.245
生命力 30
精神力 50
持久力 20
筋力 100
技力 100
魔力 50
信仰力 1
幸運 1
スキルポイント 3
【●●】
【●●●】
【●●●】
【●●●】
【●●】
【隠密】
【●●】
【●●●】
【鎧突き】短剣
【鎧切り】短剣
【武器返し】短剣
【彫師】入れ墨とかタトゥー
【紋章術士】彫師の紋章ver
【●●●●】
【●●●●】
【鑑定】
【●●】
【★●●●】
【魔術士】
【魔術師】
【魔女】
【●●●】
【●●●】
よくよく見てみると意味深というかなんというか(笑)
不自然なところ幾つ見つかりました?