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幸運に全振りした男の娘による異世界転生  作者: A-est
第1章「幸運に全振りした男の娘による異世界転生」
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プロローグ

アイテムボックス知らないみたいな描写があったので削除。

アイテムボックスからアイテムバッグに変更。


伏線の為に一部修正掛けました。あってもなくても問題はありませんでしたが、あった方が読者にわかりやすいかもと思い修正しました。2020.3.14


女装好き→MTFに変更しました。

MTFとはLGBTのT。トランスジェンダーのことです。

MTFは体は男で心は女のことを指します。

ちなみに、作者もMTFだぞ★(どうでもいい情報)

2020.5.5

「あれ……?ここは?」


(確か、僕のやってるMMORPG『オンリーワン・ワールド』のアップデートが終わって、更新してた筈なんだけどなぁ。)


そこは真っ白の部屋であった。壁も床も天井も白で埋め尽くされていて、何もない。そして、自分が様々なファンタジー系のゲームや漫画を知ってるからこそ、1つの答えに辿り着く。


「もしかして、あの世とか?いやいや、死んだ記憶ないし…。だとしたら、転移したとか?………普通に考えて夢だよね。あはははは。」


「夢ではないかなぁ〜。」


そう聞こえると共に目の前に現れたのは『オンリーワン・ワールド』に出てくる公式NPCの時空神。またの名を愛称クウちゃんであった。


白い短髪に中性的な顔立ち。背は低く小学生くらいで幼い印象を受ける。服装はパッと見ゴスロリなのだが、体半分から左は黒、右は白という謎の色分け。ちなみに、着ている服は明らかにドレスなのだが、プレイヤー間では男の娘では?と噂されている。ちょこんと乗ったシルクハットがまた魅力を引き立たせている。


その手に持つ杖?は明らかに異常な形をしており、刀ような刀身を持ち、持つところの先端にはルービックキューブのような形状がいつもクルクルと回ってる。どっからどう見ても刀なのだが、公式曰く杖ならしい。まぁ、杖と言われればそう見えなくもないデザインだが、なんとも無機質で機械的なデザインなのである意味時空神の持つ武器に相応しいのかもしれない。


「クウちゃん!!なんでここに!?」


突然何もないところから現れたことにも驚いたが、それ以上に身近に感じられるキャラクターが現れたことにも驚きを隠せない。僕自身がMTFというのもあって、中性的なキャラには目がないのだ。


「あはは。勿論、君を迎えに来たんだよ。」


元のキャラクターと寸分違わない喋り方で話してくるものだから、一種の感動を覚えるが、時空神の言った言葉が疑問を浮上させる。


「どういうこと?」


「君をオンリーワンワールドの世界へ導くためにさ。」


(導く?つまり、僕自身がその世界に行くってことなのかな?)


「うんうん、その通り!君も大好きな異世界転生さ。そもそも、あのゲームは僕が元々存在した世界を真似して作ったものだから、君も楽しめると思うよ。」


まさか、頭の中で考えていたことを読まれるとは想定していなかったが、まぁ、あってもおかしくはない。今まで読んできた書籍にも似たようなものは幾つかあったからだ。


「おおおお!!それは凄く楽しそう!!…………あれ?転生?え?僕、死んじゃった?」


「いや?別に死んでないよ?まぁ、正確に言えば転生させるために魂を抜き取ったから、殺したと言っても過言ではないけどね!」


「ちょっと待って!それは流石に嫌なんだけど…。向こうに友達とか家族残してるんだからさ。」


抜き取ったとか物騒なことを言ってるが、時空神は割と言ってるので慣れたつもりではあったが、その対象が自分となると話は変わってくる。


「君に拒否権なんてないよ?体の方はもう死んでるから、転生するしか道はないかなぁ。残念でした。」


なんともいやらしい。というか、最早外道なのでは?とか思いつつも転生という言葉に魅力を感じざる得ない。いつかは自分も転生したいと思ったことも一度や二度ではない。空想の世界はどこまで行っても自分の理想郷だったのだ。別段、退屈な日々を過ごしていたわけではないのだが、人生をやり直したいとは思ったことある。


「はぁ……。それで、転生したあとの世界とゲームやってたときの違いとかあるの?」


溜息も付きたくなるものだ。幾ら憧れの世界に行けるとはいえ、実質時空神が殺したようなもんだ。というか、殺されたと断言しても良い。ただ、ここで何の情報も得られず転生となると個人的にはかなり危ういと思う。転生というからには幼児からスタートとは思うが、それでも転生者ならではの権能とかあるなら、それを知っておくべきだ。でなければ、最悪の場合詰むだろう。


「んー。ゲームのときとは少し違うけどステータスオープンと念じれば自分のステータスが見えるよ。そこで、レベルが上がったときにステータスを振り分けて貰えば能力値は上がるかな。」


ステータスというのはいわば能力値欄と思ってもらえば良い。ゲームのときはステータスオープンと唱えるボタンがあったのだが、それが省略されてるらしい。ただ、一点だけ気になる要素があった。


「ステータス欄って他の人にも見えるの?」


そう、ステータスとはその人の強さを確認できてしまう。中には犯罪者も居るだろうから、こっちの情報を知られてしまうのは非常に危険だ。ステータスを隠蔽できるのは様々な点で役に立つ。ゲームでは当然見られることはなかったのだが、その仕様が変わっていたなら、かなり慎重にせねばなるまい。


「あはは!そんなわけないじゃん!当然、誰にも見られることはないよ!」


それを聞いて安堵した。不要な心配だったというわけだ。


「それ以外は基本的に普通の世界と一緒だよ!ゲームのときみたいに重量無制限なんてことはない。その代わり、アイテムバッグという魔導具がランク別で存在するくらいかなぁ。」


アイテムバッグか。どんなに物を入れても重量はその魔導具本体のみという優れものだ。これは書籍によっても変わるのだが、生物が入らないとか中に入ったものは時間停止とか色々な種類がある。


「さてさて、時間も推してるから、最初のステータスポイント振り分けに行っちゃお〜!」


ステータスポイント振り分けというのは本来レベルアップ時にステータスポイントが1上昇して、それを好きなところに振ることを表す。なので、ゲームを開始した時点では精々職業を選び、それに応じたステータスを得るというものだ。職業自体はステータスを選ぶときの名称であって、ゲーム開始後には表示されない。装備品の装備条件はステータスのみが関わってくるわけだ。


雫 流華のステータス

     残り基礎ステータスポイント99


生命力 1  (これがなくなると死亡)

精神力 1  (精神干渉魔法の耐性の上昇など)

持久力 1  (行動できる長さ)

筋力  1  (攻撃力の上昇や持ち物の量の増加など)

技力  1  (スキルの効果上昇など)

魔力  1  (魔力量の上昇や魔法攻撃力の上昇など)

信仰力 1  (宗教に入信することによる奇跡関連)

幸運  1  (あらゆる事象に対して作用する)


(僕がやってたゲームとステータスは相違ないね。とすると、何系で行くかだよねぇ。前世では筋肉馬鹿で行ってたし、今回は魔法系で行くべきかなぁ。奇跡は回復系が多いからあって損はないけど、今は必要ないしなぁ。別にポーション飲めばいいじゃんって話だし。いやいや、真面目に攻略しようとしてるけど、前世の僕の最大の特徴といえば幸運でしょ!!これを振らないことには意味がない!よし!幸運極振りだぁぁ!!)


幸運  1→100


「あはは、なかなか面白いステ振りしたね〜。いやはや、今まで見てきた中で君が一番面白いよ!」


「どうもありがとう。でも、流石に冗談だよ。これやってみたかったんだぁ。」


「あー、残念なお知らせがあります。」


「急に敬語どうした」


「一度ステ振りしたポイントは返ってきません!!」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!???」


とてつもない後悔が襲ってくる。というか、その言葉が衝撃的すぎて脳の処理が追いつかない。


「それじゃあ、この流れで転生!」


足元が光りだす。ゲームのときでもあった転生のエフェクトだ。こんなとこまで同じだと感慨深いものがある。だが、そんなことよりも今すぐ物申さなければならないことがある。


「ちょっと待って!!このステだと自殺しにいくような………。」


「バイバ〜イ。お疲れ〜。」


最後まで言わせて貰えることなく、僕は転生した。

僕は一生忘れないだろう。僕の大切な第二の人生を棒に振るようなことをノリでしてしまったこと。そして、自殺と言った瞬間、人が悪いような満面の笑みでクウちゃんが送り出したこと。

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