南の島へ行きたい!
ジェネラルオークを倒した事は 世界に響き渡った
その為 オークとゴブリン 達が共存出来ている事も
いい意味で知れ渡る事となった。
今日は 長老達が お揃いで家に訪ねて来た。
「シン殿 今回のオークの件といい ゴブリン に
釣りを伝授して 食料を調達する事となった件と
いい 我々長老達も感服しております。
ところで 今日来たのは 他でも無い 帰送魔法の件
じゃが いよいよ完成しますぞ! あと少しお待ち
下されば 元の世界にお戻しが出来ます。」
「あぁ 長老 それなんだが……。」
俺は この2〜3日と言うもの あの三人との戯れに
ドップリと浸かってしまい 帰る気が失せてしまっ
ていたのだ。
「帰るのを 辞めようと思う。」
「はぁあ! 元の世界に戻らぬと申したか?」
「うむ この町や この世界が とても気に入って
しまったのだ!」
「あぁ そうですかぁ では どうしますかのぅ。
このまま この町で暮らすと言う事で宜しいのです
か? 」
「あぁ 聞きたかったのだが その場合は この家や
あの三人は どうなるのかなぁ?」
「まぁ 本来は お返し願いたいところですがぁ。
お前達は どう思っているのじゃ?」
「私達三人は もう全てご主人無しでは 生きて
行けません!どうかご主人様と一緒にこの町で
暮らせる様 お願い致します!」(3人)
「そうなのか お前達がそう望むなら 致し方ない
シン殿よ ではいつでも帰られる様整えては置きま
すが この町で暮らすのも 今までの件もございます
ので 全て町が 負担致しましょう。お好きな様に
お使い下さいませ。」
「おぉ そうか それは有り難い。では遠慮なく
ここに居させて貰おう!」
「わーーーい ご主人様! ずっと居られるねぇ!」
もう こんな事言われてるよーーー!
もう絶対帰れないわ 俺。
頼まれても 帰らんぞ!
「では 我々は町に戻りますので また何かございま
したらご連絡下さい ーー。失礼致します。」
長老達は 戻って行った。
さぁ これからは ココで4人で ウハウハなスロー
ライフを楽しんでいくよぅ。
そう心の中で 叫んだ俺は
「さぁ ではキキ ララ ミミ よランチの後は
また 風呂に入るぞーーーー!」
「ワーーーーィ! 」(三人)
そんな4人での 楽しい生活がスタートして7日後
の事 また新たな問題が立ち上がった。
南の島を根城にしていた 二種族のドラゴン同士で
争いを始め 一つの種族が勝ち 負けたドラゴン種族
は 北上しているとの情報が入ったそうだ。
そのまま北上して来ると いずれこの町にもドラゴ
ン達は食を求め襲って来ると予想されたのだ。
長老達は また俺の所に頼って来た。
「シン殿 聞いての通り ドラゴン達はおそらく3日
後にはこの町にも 到達するでしょう。そうすれば
甚大な被害は避けられません。どうかお力をお貸
し下さいませ。」
「分かった こんな時の為に 俺がいるのだ。町は
必ず守って見せる!」
俺の本音
いや〜本音を言えば あの生活から 離れられない
からなんだよねぇ〜
「ありがとうございます! よろしくお願い致しま
す!」
長老の本音
アレから タダ飯喰らいなんだから こんな時は働い
て貰わんとなぁ。
俺は 街の各所に見張りを張る様に指示し 何かあれ
ばすぐに連絡が来る体制を作って貰った。
そして3日後の 早朝
大きな ドアを叩く音!
「シン殿! シン殿! ドラゴンがそこまで来ています!」
俺は 用意していた馬に乗り 現地に向かった!
現地には3匹の ドラゴンが今にも 町の人々を喰わ
んとしていた。
「おい! ドラゴンよ! この町の人々をお前達の
食料にする訳にはいかん。立ち去るなら許すが
さもなければ 俺がお前達を 食すが良いか?」
「ほう 俺達と喧嘩しようと言っているのか?
ここにまだあと20以上のドラゴン族が向かって
いるのだぞ! お前の様なチッポケな人間如きが
笑わせるな!ははははっ」
「もう笑っているでは無いか。 チッポケで悪かっ
たなぁ でもさぁ お前達見たいなクズカスが 100匹
来ようと1000匹来ようと 全く関係ないのさ。
何故なら 先ずお前達を血祭りに上がれば 後の
20匹など 怖気ついて平伏すからだよぅ〜」
「貴様ぁ 血祭りだとぉう! おい コイツを食って
やれ!」
そこにいた ドラゴンの1匹が 素早い動きで大きな
口を開き襲いかかり ひと呑みされてしまった。
「はははははっ だから言ったのだ 人間など
チッポケなだけで 何の力も無い!」
しかし 俺を呑み込んだドラゴンの様子がおかしい
「アレ? 兄貴 なんか腹の調子がおかしいよぅ〜」
「うん なんだ どうおかしいのだ?」
ドラゴンは音を立て 後ろに倒れ 手足をバタバタ
させていた。
「おい どうした!」
ドラゴンの腹が プアッと 大きく膨らむと 更に
大きくなって バゴーーーーン! と腹が割れた!
「お前達 何喰ってきたんだよ 匂いがキツすぎるぜ
まったく!」
ドラゴンの腹から 出て来た俺を見て
「おい お前今何した!」
「あぁん 腹を割って 出て来たんだよ 見ればわか
るだろう?」
「・・・・・。」
「さぁ 今度はお前達だ 今度はこっちから行くぞ」
シュッ シュッ バゴーーーーン!
ダダダダダダッ!
二発の蹴りで 両足を折られ 前に倒れた所に
連打で頭蓋骨を砕かれて もう頭の形が無かった。
「はい 2匹目完了ーーー! じゃラストねぇ!」
その一部始終を見ていた兄貴ドラゴンは
「おいおい 待った! チョット待ってくれ!」
「何だよ 何か言い残す事でもあるのかぁ?」
ドラゴンは平伏した。頭を下げて人間で言えば
土下座にあたる。
「どうか 許してくれ! こんなに強い人間がいる
なんて俺は見た事が無かった。この町はこのまま
通り過がさせて欲しい!」
「でもさぁ あとの20匹はどうすんのさぁ。」
「あぁ実はアレは ハッタリです! もう私一人
しかおりません! どうもすみませんでした!」
「なぁーんだ そうだったの 要は3匹で南の島から
逃げて来た訳ね。」
「はい 面目無ぃ……。」
「その南の島には 何匹いるの?ドラゴンは」
「はぁ 大体 30匹程ですがぁ。」
「ふぅん そこってさぁ 住みやすいでしょう?」
「はぁ 常夏ですので 一年中気候も暖かくてとて
もいいのです。食料も豊富で 果実など食べ放題で
す。」
「よし そこに行こう! お前俺達を乗せて行け!
そうすれば そこで暮らす事も許す!」
「はぁあ! 向こうには30匹以上のドラゴンがいて
その中には あの伝説のレッドドラゴンもいるのですよ!」
「だから何だ? 全部倒すさ。ドラゴンにもメスっ
ているんだろう?」
「あっはい 勿論ですがぁ。」
「お前好みのメスを 殺さずに残してやるよ そこで
お前もハーレム王国を作ればいいさ。」
「ああぁ なんか夢の様な お話でぇーー。」
「俺が行けば 夢は現実となる。」
「えぇい もうどうせ一度死んだ身だ 分かりました
貴方様をお連れ致します!」
「よし では契約成立だ 少し待て。」
俺は先ず三人に南の島の事を話した
「あぁ よく聞いてくれ。 いつまでもこの町に
負担を掛けるのも心許ないし 長老達にも悪いと
思っていたのだが どうだろうか 南の島に移り住み
俺達の王国を作らんか!」
「えっ王国? それって島を貰うって事はですか?」
「あぁ 今は ドラゴンの島なのだが そこを俺が
半分程貰うイメージかなぁ 果樹なども食べ放題
だし なんせ一年中 気候が暖かくてのんびり出来るぞう! どうだ!」
「勿論行きたいけど ドラゴンは大丈夫なの?」
「あぁ もう全然大丈夫さぁ。 」
「じゃ 常夏の島 行きたーーーーい!」(三人)
「よし では皆んなで移ろう!」
俺はこの事を 長老達に話すと
「それは誠ですか! でもドラゴン達がまだ
多くいると聞いておりますが?」
「あぁ それは全く問題ない。 それでだが
もし 南の島に 他にも移りたい市民が いるのなら
一緒にでもいいし、後でドラゴンに送らせるので
いつでも来てくれていいぞ。歓迎する。
定期的に こちらと交流出来るようにドラゴン便
を作っておくよ。」
「はっはあ? ドラゴン便? ですかぁ。もう我々
の考えでは 追いつかないですなぁ シン殿のやる事
は。分かりました後日市民にも通達して募集しま
しょう。よろしくお願いします。」
取り敢えず 俺と三人の娘達だけで 南の島に向かおうとしたが 流石にドラゴンの背中だけでは 不安な
ので大きな籠を用意してドラゴンの背中に括り付
けて向かった。
そして島に着くと
すぐに洗礼を受ける事となった。
「シン殿 アレが南の島ですが もう奴等に見つかっ
てしまいました。とにかく一度島に降ります!」
「了解した! キキ ララ ミミ安心しろ 俺が先に行
って 挨拶してくるから ココで待て。 ドラゴンよ
もし三人に万が一の事アレば 分かっているな?」
「あぁ もう 充分理解しております。私が命をかけ
てお守り致します!」
「よし よかろう!」
俺はドラゴンの巣に向かうと すぐに1匹のドラゴ
ンが舞い降りて来た。
「先程の負け犬ドラゴンに 乗っていたのはお前達
であったか? 何用でこの神聖な島に来たのだ!」
「あぁ とでは お伝えしますね 早くここから出て
行くように さもなければ 全員殺しますとレッドド
ラゴンにお伝え下さい。」
「・・・・・・・。 お前は 言っている意味が
分かっているのか?」
「あのさぁ 面倒臭さいから とっとと レッドドラ
ゴン連れて来いやー ぶっ飛ばすからヨー」
それを聞いて ドラゴンは カチンと来た!
喉を真っ赤にして 膨らませ 一気にブレスを俺に吐
き出した!
「バカも 程々にしろ! この人間が!」
炎は収まり 煙が消えると そこに俺が立っていた。
「おおお! お前! ブレスがぁーーー!」
「あのぅ 言っておくけど アンタの戦闘能力は
大体50000くらいでしょう。
俺の戦闘能力は100万超えなのよ だから全く
アンタの攻撃など 屁のツッパリにもならんのよ
分かる?」
「な、な何? 100万超えだと……。そんなバカな
事があろう筈ない!」
「じゃ 証明してみるねぇ。」
俺は下に落ちている石ころを 手に取ると その
ドラゴンに投げつけた!
その石ころは 唸りを上げて 飛んで行きドラゴン
の腹に当たり 中に30cm程 食い込んで止まった。
「グオォォォォォーーーー。」
「今の 勿論本気じゃないよぉ。 本気ならその石こ
ろは突き抜けていた筈だからねぇ。」
「あぁ 分かった も、もう十分だぁ。今
レッドドラゴン様を呼んでやる…。」
「グオォォォォォヴィーーーーオン!」
すると 轟音と共に 赤いドラゴンが 舞い降りた。
「どうした タランドゥスよ 具合でも悪いのか?」
「いえ この人間にやられました…。この人間は
強い人間です。お気をつけ下さい。ブランドル様。」
「ほう 強い人間とな。 どれほどの物か試したく
なったわ!」
俺は その言葉を聞かず 石ころを拾って
ブランドルに思いっきり投げた!
その石ころは ブランドルの胸に当たり 木っ端
微塵に粉砕した。
「ほう 伝説のレッドドラゴンかぁ 少しは強い
んだねぇ。」
「むう 今の石つぶては 結構効いたぞぉ。
只の人間では ないのだなぁ。ではコレはどうだ!」
喉を真っ赤にしてブランドルは ブレスを俺に吐き
出した!
「はははっ 何故避けぬ まともに当たるとは
鈍感な奴よ!」
「いや 鈍感などでは無いよ 効かないから
待ってただけだよ。では行くよ!」
サッと姿が消えた!
そうあまりに速く その動きは誰にも見えない。
しかし ブランドルの体は 見る見る ボコボコにな
って行く。左右からの攻撃に音だけが残っていた
ボコッ バコッ ボコッ バコッ!
既にブランドルは 立っているのがやっとであった。息は荒く 口からは血ヘドを吐いていた。
「丸っきり見え無い相手と戦い この我が
打たれるだけとは……。もう分かった。辞めてくれ。何が望みなのだ!」
俺は 殴るのを辞めた。
「やっと分かってくれたか。 お前達は 3匹のメス
を残してここから出て行くように 今日中にだ。」
「なんと ココから出て行けと……。 分かった
しかし何故メスを残すのだ?」
「いや それは気にしなくていい。」
「分かった 我々はこの地を去ることにしよう。」
「いい判断だ。 それで他のドラゴンを殺さずに済むというもんだ。」
「うむ 強いがゆえの 慈悲か。恐ろしきかな人間よしかし暖かい所も持っておる 我もお主が気にいったぞ。喜んで他の地を探そう 」
「おう ありがとう! レッドドラゴンよ
俺の名はシンだ。よろしくな!」
そうしてこの地は 俺達四人の王国となった。
つづく