第27話 秘剣
四人の目線と矛先が完全に俺の方に向けられた。
そして凛とか言う女の子が一歩で間合いを詰め、
俺の腹に蹴りが入った。
「うぉ、グッ!?」
俺の体が硬い岩肌に押し付けられ軽くひびが入る。
重っも!
人間離れしすぎだろ、十中八九こいつらが鬼族だろう。
鬼族は肉体的に強いとは聞いていたが、
この威力はまずいな。
相手は4人、
そのうち戦闘ができそうなのは2人か3人、
何よりさっきの振動と音で、俺たちに気づいて、
向こうの広場からこちらに口を向けて、
焔をたぎらせているサラマンダーがまずい。
「あの、あいつどうにかできる?」
「あいつ? !?」
無理そうだな。
蹴られた人を助けるのも癪だけど、
まぁ気分悪くなりそうだからな。
周囲の4人と俺を効果対象にした
転送魔法により、サラマンダーの後ろにワープした。
行ったことないところへの移動も
ある程度できるらしい。
あとで条件を調べてみよう。
さて、ブレスが俺たちがいた場所へと放たれる。
危っぶな!
サラマンダーと鬼の子達がポカーンとしている。
さぁ、ここで問題が一つ、
俺、なんで、入口側じゃなくてこっちに転送させたんだ?
サラマンダーさんこっち向いちゃったじゃん!
逃げれないんだけど?
あっ、そういえばこいつ倒しにきたんだった。
あとまだ俺の方を睨めつけているどう言うことだ?
敵の敵は味方理論!まぁ通用しないよな。
「あのー、とりあえずあいつ倒さない?」
「そうだ、凛、今はサラマンダーが先だ!」
お!絶とか言う奴は話がわかりそうだな。
「そうそう!それであいつどうやって倒す?」
「調子に乗るな、別に協力するわけじゃない。」
「つまり各自、自由ってことだな!了解!」
サラマンダーの咆哮が轟き、戦いの合図となった
絶は、サラマンダーの足元に近づき、
片脚でうつ伏せのサラマンダーの背中を
回転しながら曲線を描き着地する。
「鬼斬 螺旋!」
絶の言葉を合図に、サラマンダーの背中が刻まれ
赤紫色の血が吹き出す。
カッコよ!あぁ言うの憧れるよな。やってみよ!
出来るか分からんが、
剣の先端から魔力を伸ばして固まるイメージで、
「秘剣! 三枚下ろし!」
俺の放った斬撃により、
サラマンダーは、三枚に下された。