第三話 出会い
日が暮れて月が登り始めた頃にようやくエルフの住んでいる村に着いた。
そこには
「スバロ村」
と看板があった。近くにある門には沢山の村人?(村エルフ?)が松明を持って集まっていた。一番前には村長らしき御老人が短い杖を立てて即席の椅子に座っていた。その姿はどことなく貫禄があるように見えた。
「ユキ!!」
村長の横に立っていた屈強な体格の男が ダッ! と駆け出した。
「怪我をしているようです、応急処置は施しましたが万が一のため本格的な治療をお願いします。」
「分かった。応急処置をしてくれてありがとう。君はどこの村の人なんだい?」
「いや、どこの人でもありません。気付いたらここにいましたからね。まぁ、異世界のあれです。」
「ほう。異世界人か、村長達と話をしたらいいよ。村長は異世界人にとても興味を持っているからね。」
へ〜。酒があれば話が進みそうだな。
「ワシが村長のオンイじゃ、今夜は面白い事になりそうじゃな。フィール、宴の準備を頼む。」
「了解です。村長」とユキの親がユキを他の人に任せて宴の準備に入った。
ユキの状態は良く、治療もいらなく、数日間の安静だけだった。
そんな中宴は始まった。俺と村長が中心で回りに村人がいるような形で宴が始まった。
「あんた酒は飲めるのかぁ」と、青年が声を掛けてきた。もう酔ってるみたいだ。
「えぇ、飲めますよ。違う世界では大人でしたからね。しかも男だし。」
おおっ と歓声があがる
「ほう。お主男じゃったのか。」
「えぇ、そうなんですよ。でもなんで女になったんですかねぇ?」
「細かい事は無しじゃ。酒を飲みなさい。」
「それでは。いただきます。」
ゴクゴクッ とイッキ飲みをすると
スゴい飲みっぷりだ!俺らも負けてらんねぇ! とさっきの青年が言う。
酒が入ってhighな俺がつい口が滑り。
「俺に勝てるのか?負けたら村の回り10走ってやるわ」
「言ったなぁ、俺は30周走ってやるぜ」
ざわ...ざわ...
「誰か、スタートの合図お願いします。」と言うと
「分かった。俺がやる。」と中学生あたりの子が出てきた。
よーい...スタート!!
勝負が始まった。勝負用のカップでやるらしい。ジョッキより2周り大きい位だな。まぁ関係ないや。
ゴクゴクゴクとイッキ飲みする。この酒はブドウをメインとした酒か?香りも味もいいな。
なんて思っていると。いつの間にかに終わっていた。
「あっ、飲み終わっちゃった。もう一杯下さい。」なんて言うと。周りはポカンと口を開けていた。横を見るとあっちはまだ飲んでいた。
固まっているから自分で注いでまた飲み始めることにした。うん。酒は最高だ。
「う、嘘だろ...」
「あいつこの村の中で一番早く飲める奴だぞ!?」
は...?え、この村で一番早いやつ!?てっきり 奴は早飲みの中でも最弱...うんぬんかんぬん...みたいな展開だと思ってたのに...。いきなり最速が現れるとは..。
「はぁ はぁ クソッ俺が負けるなんて...。ウプッ」
オエエエエエェェェェ ウワーハイタゾコイツ ミズダミズヲモッテコイ。。
おいおい。無理はすんなよ。
「フォッフォッフォ。さて、余興も済んだ事だし、そろそろ話すとするかね」
「えぇ、月が真上に来た頃ですしね。ヒック。」
「ほぉ、お主のいた世界も[月]と言うのか」
「ということは...。ヒック[地球]にいたのですか...?」
「あぁ、そうじゃ。それも[日本]にな。」
に、日本だと?ヒック やべ、しゃっくり止まんね...。
「あなたはいつここに来たんですか?」
「2014年じゃ」
「2014ですか...。」俺のじいさんが死んだ年じゃないか..。
「そういえばあっちは何年なんじゃ?」
「確か..2018年でしたね。」
「もう4年か..早いもんだな時の流れは..。」
「えぇ、そうですね。月も落ちてますからね。」
[暗闇に 浮かぶ月が 恋しくて 今日も独り 天を見上げる]と独り言を呟く...。
と村長が、いい句じゃ。淡い恋心みたいじゃな。と褒めてくれた。
「夜明けが近いからそろそろ寝ましょうかね。」
「あぁ、そうじゃな。」