天使のような悪魔
「くぁ…」
眠い。
いつも眠いが今日は格段に眠い。
もうすぐ高校生だ!頑張るぞー!
ならない。だるい。目標とか
『とりあえず勉強ができればいい』
って書いたわ。
「なんかつまんなそーだな?なんか話せよ、悩みあんだろ〜?」
やけに絡んでくるこいつは、
津辻 恷
同じクラスだ。
「別に」
こいつに絡むとろくな事がない。こいつが新聞部なのが決め手だ。
「はーい、席ついてー。今日は転入生来るよー。」
適当な先生の声を合図に、みんなが席へ戻る。
「なんかどんなやつか妄想してみてもいいぞー。」
さらにコソコソと話し声が聞こえてきた。
[どんな子かなぁ?]
[男の子かな、女の子かな]
[可愛いやつだといいなw]
[えー案外ブスかもよー?期待しない方がいいよーww]
あるあるだ。
「はいしゅーりょー。ほら入れ」
「あっ、はい」
もし男だったら、男にしては高めの声だった。
そして、俺以外のクラスメイトが息を飲んだ。
そこにいたのは、黒髪の可愛い男だった。
「えっと…アトラ・リーティです、よろしくお願いします?」
「どっから来たとかなんかないのか?」
「どこ、とは?」
「前の学校とかよ」
「前…ですか?前はその辺さまよってて、学校とか、はじめて、です…」
「…」
その場の空気が凍りつく。おいこいつ今なんて言った?
「あ、あー…まあうん、嘘はいいんだぞ?」
「嘘は今まで言ったことないですね…生まれて12年と半分くらい全然話しませんでしたから…全然というか、一言たりとも喋った記憶がないですね…」
「……お、じゃあ…質問タイムー…」
「な、なんかすみません…」
クラス中が驚きと怪しさに包まれる中、恷だけは活き活きとしていた。あ、アトラ逃げろ。
「はい!はいはい!」
「えっあっはい!?」
「好きな人いますか!?」
クラスの女子が主に騒ぎ出した。
[気になるかも…]
[案外かっこいいし…]
など。
「えっえっえっ…すすす好きな人っててて…う、ぇ…好きかとか…あいしてる、とか…なにもわかんないので…ご、ごめんなさいわかんないです……」
クラスは騒然として、すぐに騒ぎ出す。
「ホモですか!?」
「え?ほもってなんですか!?」
「同性愛」
「あっないです。」
「百合好きですか?」
「百合の花ですか?綺麗ですよね…でもそこまででは…」
「いや女の子同士の恋愛ですww」
「えっ!?あ、悪くは無いのでは?」
そのほか
「ボカロ好き?」
「聞いたことないです…あとで聞いてみます!」
「好きなタイプは?」
「好きになった人がタイプです」
「コスプレとか興味ありますか?」
「コスプレですか…あまりないですね…」
「ぁざとぃぉんなのこはきらぃですかぁ〜?」
「んー、恋愛対象としては見ないと思います…」
「頬の黒いのなんですか?」
「あっ…厨二病と思われるのでスルーでお願いします…」
「厨二病なの!?」
「厨二病ぽいセリフって闇の炎に抱かれて消えろっていうアレですよね!?」
「Hなの興味あるのー?」
「えっ…!?な、ない、です!少なくとも今はないです!」
「ほんとー?」
「ないですっ!せいぜい結婚できればいーなーってだけですもう恥ずかしい…/////」
お前が恥ずかしいわ。
「はい。」
なんとなく聞きたいこと。
「は、はい…はぁっ…」
息切れ中。
「人間ですか?」
その場の空気がまた凍る。
[は?]
[何言ってるの黒くん…]
[さすがに引くよ…]
だが、アトラの様子を見てみんなが固まった。
「…………えーっとー…お狐様…でしょうか………」
「そうですけど。」
堂々と言える。
「…まぁ…あの…えっと……人間…ではない…ですね……狐と悪魔、というとこです…………」
は?
いやおいその反応は予想外だ。
悪魔?
は?
「は?」