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第64話 正義のヒーローゲンゾーマン+有紗とゲーム屋

※正義のヒーローゲンゾーマン、困っている人を助けろ!



ゲンゾーマン「ワシはあの時決めたのじゃ、正義の味方となってみんなを救い幸せにするという理想を誰に何と言われようと追いかけて見せると」

彼の名前は自称ゲンゾーマン、言うまでも無くその正体は宮永源三である。

ゲンゾーマン「見るがよい!ワシが皆まとめて助けてやろうではないか!」

子供「ママ、変な人がいるよ~」

母親「話しかけたら駄目よ!」





ゲンゾーマン「むむむ!?老婆が重い荷物を運んでおるのじゃ」

ゲンゾーマンは風呂敷に入った荷物を辛そうに運ぶ老婆を見つけていた、小柄で恒例の老婆にはさぞ運ぶのは辛そうな様子だった。

ゲンゾーマン「老婆よ!今助けるのじゃ!ヒーローパワー発動!」

ヒーローパワーとは、ゲンゾーマンが困った人を助ける為に発動するなんか特別な力なのだ!


数分後……


ゲンゾーマン「さぁ老婆よ!ワシに任せるのじゃ!」

老婆「え、任せると言われても……」

ゲンゾーマン「何も遠慮する必要はない!大船に乗ったつもりで乗るがよいのじゃ!」

老婆「いや、大船ではなくタクシーですし」

ゲンゾーマンは老婆を助ける手段としてタクシーを呼んでいた、これなら老婆を荷物諸共効率よく運べるだろうと言う普通すぎる判断であった。

ゲンゾーマン「遠慮は要ら―ん!」

こうして半ば強引にゲンゾーマンは老婆をタクシーに乗せるのであった、そして目的地に到着後は。

運転手「1277円になります」

ゲンゾーマン「老婆よ、正義の活動を全うしたタクシー運転手に対価を支払うのじゃ」

老婆「はい……」





ゲンゾーマン「他に困っている奴はおらんかの~?」

老婆を助けたゲンゾーマンであったがそれだけ彼の活動は終わらない。

ゲンゾーマン「むむっ!あ、あれは!?」

そしてゲンゾーマンは次なるターゲットを発見する。

子供「買って買って~!」

母親「そんな風に駄々捏ねてもダメ!この前買ったばっかりでしょ?」

玩具を欲しがる子供とそれを宥めようとする母親、子供は大声で泣いて地団太を踏んで母親は心底困り果てている様子だった。

ゲンゾーマン「困っておるようじゃな、ワシに任せるがよい!」

ゲンゾーマンは困った人間を助ける事に何の躊躇も無い。

そして……

子供「買って買って~」

ゲンゾーマン「買って買ってぇ―――――――――!!」

母親「な、何なんですか貴方まで!?」

ゲンゾーマンは母親におもちゃを買って貰えなくて困っている子供を助ける為に共に母親と一緒に撫で駄々を捏ねまくるのであった。

子供「買って買って~!」

ゲンゾーマン「買ってくれないとお漏らしするよぉ―――――――!!」

子供「買ってくれないとお漏らしするよぉ――――――――――――!!」

母親「いい加減にして下さい!さっきから一体何なのよぉ――――――――――!!」

玩具屋の目の前でヒステリックに騒ぐ母親と駄々を捏ねる子供と奇妙な老人と言う奇妙な三人は注目の的であった。



※女子高生とゲーム屋



有紗「今日はついに話題の超新作の『ニート脱出スパイラル!』発売日当日にお店で買いに行くのって、自分で手に入れたって実感があるんだよね~」

宮永来牙のクラスメイトの少女、里村有紗は待ちわびていた新作ゲームの発売日となり、早速ゲームショップに向かっていた。

有紗「この日の為に学校に行ったふりして、開店時間ぎりぎりまでネカフェで過ごしたからお母さんの妨害をやり過ごせたし、もう誰にも邪魔される心配なんてない!」

平日が発売日のゲームなので、有紗は母親には普通に学校に行ったふりをして、こうして時間を潰して、今まさに目的のゲームを買いに行こうとしていたのだったが……

有紗「あ、あれ、ゲーム屋さんは!?」

少し前までゲーム屋であったその店は無くなっており、代わりに別の店が建っていたのだった!

店主「どうも、キムチ屋です」

有紗「キムチ屋ぁ――――――――――――!?」

そう、どういうわけかゲーム屋はキムチ屋になっていたのだった!

有紗「ちょっと!なんで、つい最近までゲーム屋だったのにキムチ屋になってんだよぉ!」

あまりにも唐突なゲーム屋からキムチ屋への転身に有紗は納得がいかずに食って掛かるように問い詰めていた。すると店主は深刻そうな表情に変化する。

店主「実は……ゲーム屋の方は赤字続きだったんです……」

有紗「う~ん、それは最近はスマホゲームとかが流行ってたり、そもそもダウンロード販売とかでわざわざお店に買いに行く人も少なくなったからだろうね」

そう、スマホゲームのブームやダウンロード販売の普及は皮肉にも長年ゲームを販売し続けてきたゲーム屋にとって向かい風となっているのである。

店主「思い切って、私が主人公の自作ゲームを大量販売したのに全然売れなくって!」

有紗「…………」

有紗は思った、コイツゲーム屋をやる気無くしただけだなと。

店主「だから私はもうキムチ屋をやるしかなかったんですよぉ――――――――!!」

有紗「他に選択しなかったの?なんでキムチ屋をやろうと思ったわけ?」

店主「それは、キムチって土産物屋さんとかで結構高値で売ってたりして、ウチの店でも、それっぽい触れ込みで売りに出せば高値で売れるかな~と思いまして……」

有紗は思った、このキムチ屋も近いうちに終わるだろうと。

店主「い、今なら、キムチを3000円分以上買ってくださったお客様全員にスペシャルな特典をさしあげますし!」

有紗「スペシャルな特典?」

店主「私が自作したオリジナルゲームを差し上げます!」

有紗「それ、テメェがゲーム屋で売れなかった、在庫処分だろうが!」

店主「これが、私の自信作のオリジナル自作ゲームです。3DSで遊べます」

有紗「興味ないんだけど……」

有紗にお構いなしに店主はゲーム機本体にカセットを差し込んだ状態で有紗に進めてくる。

有紗「なにこれ……?義明よしあきの大冒険?」

店主「はい、私の名前です」

有紗「自分が主役のゲームじゃん!」

店主「そうです!私を操作するアクションゲームなのです!」

有紗「グラフィックがなんか、ファミコン並みだよね?」

店主「操作方法はAボタンでジャンプ」

有紗「Aジャンプってアクションゲームならありがちだよね」

店主「Bボタンでダッシュ」

有紗「それもアクションゲームだとよくあるよね」

店主「Yボタンでくしゃみをします」

有紗「クシャミ!?」

意味の分からないアクションがある事に、有紗はこのゲームに不安を感じつつも取りあえず少し進めてみる。

有紗「あ、ドリンクが落ちてる」

それを有紗はアイテムだと思って触れてみた。

店主「ドリンクを取ると爆発してゲームオーバーです!」

有紗「なんで!?」

ゲーム画面は一瞬にして爆発音と同時に爆風で見えなくなったのだった!

店主「気を付けてください、フラワーやスターをとっても爆発しますから」

有紗「爆死ばっかりかよ!アイテムの意味あるか―――――――!!」

更にゲームは続く。

店主「あっ!」

有紗「なに?なんかBGM流れながら出てきたけど、これって中ボス的な感じ?」

店主「いえ、僕の彼女です」

有紗「アンタの彼女とかゲームに出すなよ!」

店主「彼女に触れると1アップします」

有紗「まぁ、お助けキャラ的な感じ……」

店主「そしてHPも全回復します!」

有紗「自分の彼女を優遇し過ぎなんじゃない?」

店主「きっと今頃、別れた彼女もこのゲームで自分の活躍を喜んでくれてます!」

有紗「元カノだったの!?て言うか、これ自作ゲームなのに彼女やってるなんて自信あるわけ!?」

店主「さぁ、いよいよ最初のボスですよ!最初のボス的のミスター高尾たかおです」

有紗「弱そうなおじさんにしか見えないんだけど……」

店主「モデルになったのは僕の小学校時代の先生です」

有紗「アンタ自分の知り合い何人ゲームに出してんだよ!」

店主「そしてこのミスター高尾は……」

その瞬間、いかにも弱そうなミスター高尾が両手を前に突き出すと、画面を覆い尽す衝撃波で主人公は瞬殺されるのだった。

店主「ゲームオーバーですね」

有紗「最初のボスなのになんでこんな強いの!」

店主「高尾先生が自分を強いキャラにしてくれたら1000円くれると言ったので……」

有紗「金で強さ変わるのかよ!」

店主「と言うわけで、このゲームをキムチ3000円以上お買い上げのお客様にもれなくプレゼントです!皆さん、キムチを買って僕と一緒にゲームの冒険に出ましょう!」


一か月後キムチ屋は消滅し、店主は夜逃げしたとかしなかったとか……

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