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第50話 ラッキーの研究施設にようこそ

※シャドー奥島の影に生きる人生



シャドー奥島(21)彼は影に生きる男だった。

奥島「虚しいもんだぜ、俺は影が無いと生きられないんだからな」

朝から奥島は電気をつけっぱなしにした部屋でそう語る。

妹「何格好付けてんのよ、面倒で意味不明な制約を自分に課してるだけじゃない」

奥島「妹よ、いつも済まないな」

そんな奥島に呆れた表情を向けて部屋には行って来たのはシャドー奥島の妹(18)だった。奥島はシャドー妹と言う呼び名を考えているが妹自身は断固拒否している。

奥島「さぁ、飯を食おうか」

妹「たまには自分一人でキッチンにきなさいよ」

奥島は明るい部屋の中にある妹の影を踏む。それを確認した妹はため息を付きながら部屋を出ると、奥島もそれに続き妹の影を踏みながら部屋を出る。そして部屋を出た後は手に持っていた充電式のスタンドライトの電源を付けて常に自分の周りに影が出来る状態にしていた。

妹「兄貴って本当にめんどくさいわよね。小学生の時に影踏みで影踏み王ってちょっと言われたくらいで図に乗って今じゃ常に何かの影を踏みながらの生活なんて」

奥島「俺はあの時心に決めたんだよ、俺は影に生きる事に特化した男なんだろうなと」

妹「良く続けられるわよねそんな面倒な生活」

と、このような理由で奥島は自らをシャドー奥島と名乗るようになったのであった。シャドー奥島は現在大学生、大学に行く時間になるとこの時も妹に頼る事になるのだが、この日の大学の授業は2限目からなので既に妹は高校に行った後である。

母「アンタね、母さんもそろそろパートに行かなくちゃならないんだからね」

奥島「御袋、俺が大学に行けなくても良いのか?ちょっと外に出るのに付き合ってもらうだけじゃねぇか」

母親の影を踏みながら奥島は外に出る。幸にも今日は晴れ晴れしているのでスタンドライトを付ける必要はないがいざと言う時の為に常に持参はしている。

奥島「そんじゃ、行ってくるぜ」

母親「あんまり他人に不審に思われる事するんじゃないわよ!」

そこからはバス停まで常に人や建物の影を踏みながらの移動だった。建物の影だけで移動できるのならそれに越したことはないのだがそれだけでは先に進めない時はバス停に向かうであろう人物の影を踏みながらの移動だった。

奥島「その影貰ったぁ!」

男子学生「またアンタかよ……」

奥島は時間おきに毎日バスを利用している人物をある程度把握しているので、その被害に遭うものもある程度固定されている。この男子学生も常日頃から奥島に影を使われている者の一人であった。

奥島「済まないな、お前の影が今は俺にとって必要なんだ」

男子学生「影が無くても生きられるようになってくれよ」

そしてバス停に到着してバスに乗る。この男子学生とは通っている学校が違い降りる場所も違うので奥島は自分がバスを降りる時に一緒に降りる人の影を使う事になる。

奥島「婆さん、アンタの影を借りさせてもらうぜ」

老婆「あい?私の影が欲しいのですかい?」

よく分かっていない老婆の影を使いながら奥島は外に出る。後は歩いて精々10分で大学に到着する。

奥島「俺はこの当たり一帯の建物の影を完全に把握している!」

奥島は建物の影を次から次へと渡って行きそのまま大学に行くのだった。





奥島「いや~、今日も朝霧の奴がさ~、常に傍にいて鬱陶しいのよって怒鳴り散らすんだぜ~」

妹「最初の授業から学校が終わるまでずっとそばにいられたら鬱陶しいわよ」

家に帰宅した奥島は学校であった出来事を妹に話していた。妹は毎回呆れながら聞いているだけであるが。

奥島「お、そろそろバイトの時間だ。頼むぞ妹よ」

妹「本当にしょうがないわね、兄のバイト先に同伴する妹何てアタシくらいよきっと」

こうしてシャドー奥島は今日も人や物陰に潜む生活を続けるのだった。




※前回のあらすじ



源三達はラッキーの家に忍び込んで金になりそうな研究を盗み出そうとしていたのだが、なんだかんだあってラッキーの方から源三達を誘ってきたのであった。隙を見てラッキーの研究所から盗みを働こうとしていた源三達であったが……





源三「ど、どこじゃ……」

うっすらと意識から徐々にめざめる源三。そもそも、ラッキーに研究所に招かれたはずだというのになぜこんなところで眠っていたのかすら源三には分からなかった。

源三「ここはどこじゃ!?」

そして源三の意識はハッキリと覚醒する。目が覚めて源三が目の当たりにした場所は8畳ほどの小さな部屋だった。そして、目が覚めた源三がふと、横を振り返ると。

鳥飼「ぐがぁ―――――――!!ぐがぁ――――――――!!」

目の前でデカいいびきをかきながら爆睡している鳥飼であった。源三と鳥飼の顔と顔の距離は僅か数センチまで近づいていた。

源三「起きんかコラァ――――――!!」

気持ち悪さを感じた源三は怒りの余り鳥飼の腹を蹴り飛ばして無理やり起こしていた。

鳥飼「ぐぼぉっ!て、テメェ何しやがるんだ源三!って、どこだココ!?」

源三「そんなのはワシが知りたいわ!あの幼女に付いてきてみたら、どういうわけかこんなところじゃ!」

鳥飼も目覚めて唐突に源三と二人っきりで狭い部屋で状況が全くつかめなかった。

鳥飼「てか、薮井の奴はどこだ?」

源三「そ、そう言えばそうじゃな……アイツも一緒だったのになぜ奴がおらんのじゃ?」

そう、どういうわけか、ここには薮井がいなかったのであった。源三や鳥飼と一緒にラッキーに誘われた薮井だけが何故だかこの場にはいないのであった。

源三「と言うか、ワシらはなんでこんなところにおるんじゃ?本当に状況が全く分からん!」

鳥飼「って、なんだこのタブレット?お前のじゃねぇよな?」

源三「ワシは知らん、こんな物を普段から持ち歩いたりはせんのじゃ」

そこで鳥飼は一台のタブレットを発見した、それは鳥飼の物でも源三の物でもなかった、身に覚えのないタブレットを手に取る鳥飼、すると勝手にタブレットが動画を再生し始めていた。

ラッキー「あ、これを見てるってことは目が覚めたんだね~」

その動画に移っていたのは源三達を家に招いたはずのラッキーであった。

源三「よ、幼女!おぬしワシらをどこに連れてきたんじゃ!?」

鳥飼「これは、録画した動画だっつぅの、応えたりはしねぇよ」

鳥飼が言った通り動画の中のラッキーは源三のいう事には答えずに一人で話を進める。

ラッキー「ここはどこ?てな感じで混乱してると思うけどね、ここはラッキーの研究施設なんだよ~、これからお爺さん達にはお望み通りいろんなところを見てもらってOKだから、取りあえず部屋を開けるね~」

そういい終えてから動画が終了すると部屋の扉が自動で開いていた。

鳥飼「や、やっぱりこの状況はあの天才少女の仕業って事か?あのガキは何がしたいってんだ!?確かに研究内容を見たいとは言ったが、まさか俺たちを監禁しやがるとはな……」

源三「おのれ~、あの幼女から研究成果を盗むつもりだったのにワシらが監禁されてしまうとはどういう事じゃ!」

取りあえず源三と鳥飼はこの部屋から出てみる、廊下の先は長い廊下であった。一直線の廊下には、途中でいくつかの部屋がある。どこに入ればいいのかは源三や鳥飼には全く見当がつかなかった。

源三「と、とにかく、あの幼女からまた連絡が来てくれんかの~……」

鳥飼「このタブレットは、動画が終わってから全く反応がねぇ、せめてこの中に何か情報があったら助かるってのによ」

ラッキー『はい、情報を与えま~す』

二人「「どわぁ―――――――――!!」」

突如タブレットが起動したと思ったら、画面いっぱいにニコニコ顔のラッキーが映し出されて、二人を驚かせる。

ラッキー「あ、ごめん、驚かせるつもりはあったんだよね~」

源三「あったのか!」

鳥飼「俺たちと会話できてるってことは、これは生中継なんだな……」

ラッキー「その通り!お爺さん達言ってたじゃん。ラッキーの研究施設に入りたいって。だからお望み通り入れてあげちゃいました~」

源三「って事は本当にここは貴様の研究施設と言うわけか!?なぜあんな小さな木造住宅にこんなだだっ広い廊下と大量の部屋がある研究施設があるんじゃ!?」

源三の言う通り、ラッキーの家は木造の小さな一階建ての家にもかかわらず、今源三達がいる場所はその広さを完全に超えていた。

ラッキー「細かいことは良いの良いの、お望み通り、今お爺さんが達がいる場所は自由に見て構わない場所だから好きに見学して良いんだよ~」

鳥飼「待ちやがれ!俺たちはいきなり目が覚めたと思ったらいつの間にかここにいたんだよ!あれはどういう事なんだよ!」

ラッキー「軽くスプレーで眠らせて、その間にそこに運んだだけだけど?」

薬をかがせて眠らせたことをラッキーは全く悪びれる様子もなく言ってのけていた。

源三「な、なんて恐ろしい真似をする幼女じゃ……天才はすべからずイカれた一面を持つ傾向があるという事じゃな……」

ラッキー「くすす、お爺さん達も中々イカれてるんじゃな~い?」

鳥飼「んな事よりもなんで俺たちを眠らせるような真似しやがったんだよ!」

ラッキー「その場所へ運ぶ手順やルートは流石に秘密だからね、こうするのが一番平和的だったんだよ~」

スプレーを使った睡眠薬を嗅がせることをラッキーは平然と平和的と言い切ったのだった。

源三「それと、薮井はどうしたんじゃ?奴もワシらと一緒におったじゃろうが」

ラッキー「薮井さんなら薬の効果が効きすぎちゃったみたいで意識をなくしちゃったからこっちで回復するまでカプセルの中で寝かせてるよ~」

ラッキーがそういうと画面が切り替わり、透明なカプセルの中で人工呼吸器を付けられた薮井の姿が映し出されていた。それを見て源三と鳥飼は目を丸くして冷や汗をかきはじめる。

ラッキー「ね?」

鳥飼「ね、じぇね――――!どこが平和的なんだよ!一歩間違ってたら俺たちもああなったのかよ!」

ラッキー「あ、そろそろホットケーキが焼ける時間だったよ。ラッキーはこれからおやつタイムだからまったね~」

其れだけ言い残すと再びタブレットの画面は真っ暗になり、反応がなくなってしまった。

源三「おのれ~、盗みどころではなくなってしまったのじゃ!」

鳥飼「全くだ、さっさとここから出たいだけだぜ……」

とは言え、すぐには出られなさそうなので、源三と鳥飼は手前の部屋に入ってみることにした。

源三「な、なんじゃこれは?」

そこで源三と鳥飼が見たのは自動で動いている機械やロボットが濁ったような液体を扱っている光景だった。

鳥飼「この部屋は妙なにおいがしやがるな、灯油でも扱ってるのか?」

ラッキー「ぶっぶーハズレ~」

いきなりタブレットが起動したと同時にホットケーキを食べているラッキーが映し出される。

源三「だったら、この部屋ではいったい何をしておるんじゃ?」

ラッキー「人工的に石油を作ってるだけだよ~」

源三&鳥飼「「…………」」

その言葉を聞いて、源三と鳥飼は一瞬目を合わせて停止していた。

源三「せ……」

鳥飼「せ……」

二人「「石油ぅ――――――――!!」」

二人の中で諦めつつあった野心が再び蘇ったのだった!しょっぱなから金目の研究成果を目の当たりにしてしまった二人であった!

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