第42話 宮永源三の漢の料理教室+まだ続く迷路
~宮永源三の漢の料理教室~
絵梨「な、何なの!?て言うか前にもこれあったような気がするけど!」
源三「このワシが、漢らしい豪快な料理を紹介するのじゃ」
絵梨「嫌な予感しかしないんだけど」
来牙「アンタそもそも料理なんて全くしないだろ。米を研ぐことだって出来ないしな」
源三「ではまずは最初の料理を紹介するのじゃ!」
絵梨「最初ってどういう事!何種類もあるって事!?」
オーダー1 屋根の丸焼き
源三「では早速料理を始めるのじゃ」
絵梨「始めてほしくないよ!」
来牙「家が燃える光景しか思い浮かばないな」
源三「ド阿保!家に火を放つわけないじゃろうが!あらかじめ家の屋根を取り除いておいたのじゃからな」
絵梨「なんて事してくれたの!て言うかどこの家の屋根!?」
源三「細かい事は良いの良いの」
来牙「俺はもう知らないからな」
源三「どっかの家の屋根を油で思いっきり焼きまくるのじゃ」
絵梨「タダの火災現場になっちゃってる」
源三「調味料にバターと味付け醤油と更に油を入れて上手く作るのじゃぞ」
来牙「見てられんな」
源三「さて、屋根の丸焼きが出来る前にもう一品作るのじゃ」
オーダー2 窓ガラスの丸焼き
絵梨「丸焼きしか調理方法を知らないの?」
来牙「それ以前に建物の一部以外の食材を知らないのか?」
源三「細かい事は良いの良いの、あらかじめ取り除いておいた窓ガラスを油まみれにして火を放って、調味料としてバターと味付け醤油とさらに油を入れて上手く作るのじゃぞ」
絵梨「しかもさっきと調味料も全く同じだし」
来牙「そもそも窓ガラス何て燃えるのか?」
源三「焦げ目が付いてきたら裏返して焼くのじゃな」
絵梨「焦げないよ」
源三「受話受話と焼き上げておる間に最後の一品を作り上げるのじゃ」
オーダー3 トイレの丸焼き
源三「ほれ、トイレを持ってきたのじゃ」
絵梨「に、匂う……」
源三「その辺に幾らでも落ちておるからの」
来牙「公衆トイレから盗んだのか?」
源三「まずはこのトイレを油塗れにしてやるのじゃ、そしてそれに火を放って調味料としてバターと味付け醤油とさらに油を注いでやるのじゃ」
絵梨「お父さん、楽しい?」
源三「楽しいのじゃ~い!漢の料理は最高じゃーい!」
来牙「未だにコレを料理と言い張れるのかアンタは?」
さぁ、これが源三が丹精込めて作り上げたホームクッキングメニューだ!
屋根の丸焼き
窓ガラスの丸焼き
トイレの丸焼き
貴方が是非食べてみたいお料理は何でしょうか?源三が貴方のご希望にこたえて材料を現地調達で料理しますので是非注文してみてはいかがですかな?
~宮永絵梨のクッキングタイム~
絵梨「酷かった……」
来牙「口直しが必要だな」
絵梨「それじゃ、今度はアタシのお料理タイムだよ。今回はシンプルに出汁巻き卵の作り方を紹介しちゃうね」
来牙「朝食とかに普通に出そうな料理だな」
絵梨「取り敢えず、昆布とかつおのだしを使うからね。これを使って出汁巻きにするんだよ」
来牙「如何するんだ?」
絵梨「だし巻きは厚焼き玉子と違って卵を混ぜるのに注意しなくちゃならなくってね。卵は泡だて器で細かく泡立てないように混ぜ合わせるのがコツだよ」
来牙「厚焼き玉子に比べてデリケートな料理なんだな」
絵梨「調味料は出汁の中に加えて溶かしておくんだよ。卵と調味料の入っただしは、合わせた後に一度ざるこしをしておいてね」
来牙「ここまでは見た目普通の卵焼きと変わらないな」
絵梨「火は中火にして、卵液は箸先で卵液を落としたときにジュて音がしてからで、巻き始めは半熟状態の時で、卵液を入れたら箸を玉子焼きの下に入れてから持ち上げて下にもしっかり卵液を流し込むこと、そして焼きあがったら、まきすに包んで形を整えることだからね」
来牙「色々とコツがあるんだな」
絵梨「これで完成なんだけどやっぱり普通の厚焼き玉子よりも作るのが難しいからね最初は失敗してもめげないで出来るようになるまで頑張ってね」
来牙「失敗したのはどうするんだ?」
絵梨「間違っても、男の子に食べてもらうなんて処理の方法はダメだからね!」
※前回のあらすじ!
巨大迷路で源三達は異常成長した巨大な牛に追われるのだった!ていうか何時までこの巨大迷路出の騒動は続くんだ!いい加減見てる方も執筆してる方も飽き飽きだ!
☆
巨大牛「…………」
源三「せ、狭い抜け道何てどこにもないのじゃ!」
鳥飼「ど、どうなってやがるんだ!たまにあったはずだぜ!別の通路につながってる抜け道が!」
薮井「無くなっているのか!?あったはずの狭い抜け道が無くなっているのか!?」
巨大牛から逃げ惑う源三達の様子を渦巻は監視カメラを通して愉快な表情で眺めていた。
渦巻「ふはは!逃がさんと言っているだろ!その牛が抜けられない狭い抜け穴はとっくに封鎖しておいたわ!ふはははっ!!」
逃げ道を失った源三達はひたすら走って逃げ続けるしかなかった。巨大牛はその巨体に似合わず中々の俊敏で源三達は後ろを振り返る余裕など全くない。
鳥飼「チクショ―――!!誰でもいいから俺たちを助けろぉ―――――――――!!」
源三「神でも閻魔でも見知らぬ奴でもいいから誰か助けてくれなのじゃ―――――!!」
薮井「もう嫌だぁ――――――!!私はこんなところからさっさと出たいんだ!金塊を持ったまま出たいんだ!!」
一方その頃、源三達を気絶させた張本人のタダシは6時になったのを機に迷宮から出るはずだったのが、うっかりその直後にうたた寝をしてしまい未だに迷路をさまよっていた。
タダシ「ああ、なんてことだ!うたた寝して迷路から出損ねてしまったよ。みっちゃんに金塊をプレゼントするためにも今日はゆっくりと休んで英気を養おうと思っていたのに」
そしてタダシは偶然にも見つけてしまうのであった!
タダシ「あ、あれは!」
自分が喧嘩を止めた相手である老人たちが巨大な牛に追われていたのであった!
タダシ「た、大変だ!」
その様子を見てタダシは再び決意を固める。
タダシ「お爺さん達が牛さんと喧嘩している!何とかして止めないと!」
タダシは源三達は巨大牛と喧嘩していると勘違いしてそれを止めようと奮起するのであった!
タダシ「止めるんだ――――――――!!」
無論、逃げるのに必死な状態の源三達にタダシの言葉など届くわけがない。
タダシ「喧嘩はだめだぁ――――!!」
が、それでもタダシは止まらなかった!喧嘩を嫌い、仲良くすることを美徳としているタダシにとって喧嘩は例え自分に関係のない事だとしても放っては置けないのである!
タダシ「争いはそこまでだ―――――――ぁ――――――――!!」
が、相手が悪すぎである!タダシは巨大牛の前に飛び出してあっさりと吹っ飛ばされていた。しかも牛の狙いはそれによってタダシに向けられるのだった。
源三「な、なんだか良くわからんが、あの変な奴に狙いが変更されたみたいじゃぞ!」
鳥飼「今なら俺たちが逃げるチャンスだぜ!アイツには悪いが代わりに牛の相手をしてもらうぜ!」
薮井「ふははははっ!やっぱり私は勝てる男だ!この金塊を持って外に出るのだぁ―――――!!」
が、そんな様子を見て渦巻は苛立ちを露わにする。
渦巻「だぁ―――!なんなんだアイツはいったい!この私の計画で後少しでアイツらを排除出来るはずだったのじゃ!!」
もう少しで巨大牛が源三達を倒してくれると思っていたのだったが、思わぬ乱入者によってその目論見は崩れてしまったのだった。
渦巻「も、もう我慢ならん……」
しぶとく金塊を持って逃げ続ける源三達に対してついに渦巻は痺れを切らし始めていた。
渦巻「かくなる上はこの私が自ら罰を下してくれる!」
決意を新たにした渦巻は管制室を飛び出したのだった。
☆
源三「追ってこんのじゃ!あのデカい牛を完全に巻いたのじゃ!」
源三達はしばらく逃げ続けて、巨大牛が追ってきていないことに気が付いて安堵していた。
鳥飼「ああ、一時はどうなるかと思ったが、これで後は今度こそここから出るだけだぜ」
薮井「地図はないのか?せめて地図があれば出口をさがせるかもしれんのだが……」
渦巻「貴様らに地図も出口も必要ないのだぁ――――――――!!」
そんな源三達の耳にスピーカー越しで渦巻の声が響き渡った。
源三「なんじゃこの下品な声は!?聞いているだけで鬱陶しい!」
鳥飼「きっと三流声優だな!三流声優が誰もいないところで練習してやがるんだな!」
薮井「邪魔臭い!私たちは三流声優の相手などしていられるか!」
渦巻「誰が三流声優だ!私はこの迷路のオーナーの渦巻だぁ―――――――!!」
そんな怒りの大声とともに現れたのは八頭身の人型ロボだった!
渦巻「さっきから聞いていれば貴様ら!好き勝手私を愚弄しやがって!私をコケにした罪は重いぞ!」
源三「渦巻って、ワシらに声をかけてきたあのクソチビオーナーではないか!ワシらをこんな目に遭わせておったのはやはり貴様かクソチビ!」
鳥飼「おい出て来いよ!なんでドチビのテメェがそんな長身スタイルのロボに乗ってやがるんだ!似合わねぇんだよ!」
薮井「チビの貴様が脱税した金を金塊に換えて国税局を出し抜こうとしていたのはお見通しだ!我々にこの金塊を渡さんとすべてを暴露してくれるぞ!」
渦巻「ええい、小癪な爺共が!この私をさらにバカにした上に脅しているのか!貴様らなどこの場で蹴散らしてくれる!」
渦巻が怒りを露わにするとロボの右腕が変形してドリルになっていた。
渦巻「死ねぇ―――――!!」
源三「ぎえ―――――!!ロボから降りて戦わんか―――――!!」
渦巻「黙れ!貴様らを始末できればそれで良いのだ!」
渦巻はロボのドリルの右腕を使って源三達に襲い掛かる!
鳥飼「また逃げ回らなくちゃならねぇのかよ!」
薮井「あのチビめ!開き直りおったな!」
源三達は再び逃げ回る立場となってしまった。幸いにもメカは比較的機動力は高くないようで源三達は複雑な迷路を動き回り渦巻の視界から隠れることができたのだった。
源三「お、奴が見えんくなったな」
鳥飼「ザマァ見やがれ、この迷路じゃ一度俺たちを見失ったら見つけるのは難しいだろうな」
薮井「策士策に溺れるとはこの事だ!やはりアイツは見た目通り大馬鹿であったな!」
源三達は安心しきって一安心していた時だった。
ドコォン!!
目の前の壁が激しい物音を立てて吹き飛ばされたのだった。
渦巻「逃がさないに決まっているだろうが爺共!」
源三「ぎょえ――――!自分の迷路を壊して来やがったのじゃ!」
渦巻「逃げても無駄だ!このメカのレーダーで貴様らの位置は丸わかりだからな!」
薮井「卑怯者め!メカ頼みのチビめ!」
渦巻「金塊を返せぇ―――――!!」
鳥飼「脱税した金だろうが――――!!」
渦巻「貴様らの金でもないわ――――!!」
お互いに相手の間違いを糾弾しあいながら渦巻と源三達の戦いは再び始まる。源三達は果たしてこの状況を脱することができるのか?
次回いよいよいい加減にこの巨大迷路の騒動が終わる!




