第38話 こんなことやってみたらどうかな?+取り残された源三達
~こんなことやってみたらどうかな?~
昔々あるところに、お爺さんが独り暮らしをしていたそうでした。
爺さん「はぁ~、暇じゃな~空から10億円の入った鞄とか落ちてこないかの~」
このお爺さんは大層な怠け者で何時もそんな寝言を呟いて、日々を過ごしていました。
そんなある日の事でした。
源三「ほげ、あれはなんじゃ?」
小鳩「助けて、誰か助けてよ~!」
山賊「うるせぇ!喚いてねぇで、着てる服寄越しやがれ!」
源三が暇潰しに外に出かけていると、幼い女の子が山賊に襲われているのを発見しました。
源三「い、いかん!急がねばあの少女が身ぐるみを剥がされてしまうのじゃ!」
見かねた源三は、少女を助けるために駈け出します。
源三「待て待て待てい!そこの山賊め!そこまでじゃ――――――――――――――!!」
山賊「おうおう!なんだ糞爺……ってなんでそんな恰好しとんじゃ爺!!」
小鳩「きゃあ――――――!!」
山賊の目の前に現れた源三はパンツ一枚の姿になっていた。露出狂と思われかねない救世主の登場に山賊はある意味動揺し、助けられようとしてる少女も思わず目を覆い隠していた。
源三「この賊が!無力な少女から身包みを剥がそうとするとはこの卑劣な変態め!」
山賊「パンツ一丁で堂々と、現れたおめぇに言われたくねぇんだよ!」
堂々と格好を付ける源三に対して山賊は極めて全うなツッコミで言い返していた。
源三「バカめ、ワシが何の考えもなく服を脱いだ状態で貴様の目の前に現れたと思ったのか?」
山賊「んだと!?何か策でもあるって言うのか?」
パンツ一丁で自信に満ち溢れた様子の源三に対して山賊は呆れたような目で見つつも、その自信を多少は警戒している。
源三「ふぉふぉふぉ、ワシがパンツ一丁で貴様の目の前に現れたのは貴様と取引をする為じゃ」
山賊「取引だと?パンツ一丁の奴とどんな取引をしろってんだ?ああん!?」
源三を威嚇する山賊に対して、源三は着ていた服を山賊に見せつける。
源三「ワシが長年着続けたこの愛着のある服を貴様にくれてやるのじゃ、だからその少女を返すのじゃな」
山賊「アホかぁ!爺が着続けた汚い服なんて売れるわぇねぇだろうが!!」
源三「この愚か者め!ワシが長年洗う事もなく着続けている服をコケにするというのか!?」
交渉は決裂で終わったようだった。
山賊「テメェみたいな爺が来てる服なんざ価値はねぇ、こいつ見てぇな可愛らしい娘が来てる服はな、高く買いたがる趣味の奴がどこにでもいるんだよな~」
小鳩「いやぁ!触らないで!!」
山賊はニヤニヤと笑いながら、少女の服の中に手を忍ばせる。
源三「山賊よ、その少女の服はどんな匂いがするのじゃ?」
山賊「そりゃ、女の匂いって奴がするもんだぜ、若くて良い匂いがな」
源三「匂いならワシの服も負けておらんのじゃ」
山賊「は?」
源三は服を持ったまま山賊に元に近づく。
源三「特に、このワシが長年着続けている草履の匂いは相当な匂いじゃぞ」
山賊「うげぇ!く、くせぇ―――――――――!!」
源三に草履を近づけられた山賊は、そのあまりにも劣悪な悪臭と加齢臭に悶絶してその場で倒れてしまった。
源三「今じゃ少女よ!このワシに付いてくるのじゃ!」
小鳩「は、はい……」
少女は内心で、この山賊よりも危険なお爺さんではないのかと思いつつも、源三に付いて逃げるのだった。
☆
小鳩「助けて下さってありがとうございます。私は木村小鳩と言う者です」
源三「そうかそうか~、ワシの名前は源三じゃ、気軽に源ちゃんとでも呼んでくれてよいのじゃ」
小鳩「お爺さんと呼びます」
源三は少女、小鳩を自分の家に連れ帰って、お互いに名前を教え合っていた。
源三「しかしどうしたのじゃ小鳩ちゃんや、お主のような小娘がなぜ、あのような場所で一人で追ったのじゃ?」
小鳩「それは、修行の一貫なのです?」
源三「しゅ、修行?」
小鳩「はい、私は以前は実家で大変贅沢な暮らしをしていたのですが、裕福な生活で自堕落になっていった私を見兼ねた父に、この田舎で6か月間一人暮らしをして、生きることの厳しさを学んでこいと厳命されたのです」
源三「た、大変裕福な暮らしじゃと……?」
小鳩の話を聞いた源三の目は両目とも『\』になっていた、この時源三はこう考えていたのである、この金持ちの娘を保護したワシはその礼で莫大な富を貰えるのではないかと。
源三「小鳩ちゃんよ!」
小鳩「は、はい(ビクゥ!!)!」
源三はいきなり小鳩の両肩を掴んで顔を近づける、当然12歳の少女に過ぎない小鳩は、老人にいきなり顔を近づけられたことで驚いていた。
源三「困ったことがあったら、何でもワシに相談するのじゃ」
小鳩「え、だけどそれはお爺さんに迷惑をお掛けするのでは……?」
源三の申し出は小鳩にとってありがたいとは思っているが、自分にとって、この田舎での生活は修行だと考える小鳩は、会ったばかりの老人に助けられる事に戸惑っていた。
源三「小鳩ちゃんよ、こう言う田舎ではご近所付き合いが大切なのじゃよ」
小鳩「はぁ、そうなんですか?」
源三は両目を『\』にした状態で小鳩に対してゆっくりと諭し始める。
源三「そうじゃぞ小鳩ちゃん。生活に苦労することが多い田舎じゃからこそ、お互いに助け合い、困ったことがあったら自分の事のように考えて協力し合うのが田舎でのご近所付き合いなのじゃ」
小鳩「近くに住んでいる者同士で助け合う、なんだか素敵ですね」
源三「うむ、近所付き合いを上手くすることも自立する為の立派な修行じゃとワシは思うのじゃ、だから小鳩ちゃんよ、ワシらはこれから共に助け合ってゆくのじゃ!」
純粋で人をあまり疑わない小鳩は、源三の口車に乗せられて、その言葉にあっさりと共感するのである。
小鳩「はいっ!これからは一緒にお願いします!」
源三「うむうむ、これからワシらは協力し合うのじゃ、ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!ふぉ~ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ……」
小鳩「あ、あの、お爺さん?何時まで笑ってるんですか?」
浮かれポンチと化した源三は、頭のネジが外れたかのように何時までも大笑いをし始めたので、流石に小鳩がその様子を心配していた。
源三「おお、こりゃ失敬したのじゃ」
小鳩「はぁ……」
何はともあれ、小鳩は修行の為、源三は礼を期待して、二人はご近所付き合いを始めるのであった。
※前回のあらすじ!
超巨大迷路で金塊を巡って争っていた源三、鳥飼、薮井の老害トリオだったがその争いは第三者の介入によって三人とも気絶することで終結した!そして三人が気絶している間に午後6時の閉演時間となり、巨大迷路の全ての地下の出入り口は封鎖されるのであった……
☆
閉演時間の6時を経過してから既に一時間が経過しようとしていた。既に客は全員迷路から出ており、係員たちの殆ども業務を終えて、帰宅していた。そんな誰もいなくなったはずの迷路で奴らが遂に目覚めるのである。
源三「な、なんじゃ……どうなっておるんじゃ……!?」
源三が目を覚ますと、迷路は白光が消されており、消費電力の低いLEDに切り替わっていた。
源三「なんじゃなんじゃ!?いつの間にだいぶ明かりが弱くなっておる!遠くが見えんぞ!どうなっておるんじゃ!?」
源三は突然のことで取り乱して騒いでいた。そして源三が騒ぐことによって、鳥飼と薮井も目を覚ます。
鳥飼「ったく、うるせぇぞ源三……!テメェ一体なに喚いてやがる……うおっ!?」
薮井「どうなっているのだ!?私が眠っている間に何がどうなっている!?誰か説明しろ!」
3人とも目を覚ますと当たりが小さなLEDの光だけになっているので揃いもそろって慌てふためいていた。
鳥飼「って、もう7時前かよ!俺たち一体どんだけ気絶してたんだよ!?」
薮井「お、思い出せない……確か変な奴が我々の戦いに割り込んできたのは覚えているが、そのあとのことがさっぱりだ……」
源三「他に客はおらんのか!?金塊はどうなった!?まさか既に3つとも他の客に取られてしまったのではあるまいな!?」
鳥飼「源三、この迷路の営業時間は6時閉演だ。つまり、営業時間終了で客たちは全員帰っちまったって事だ」
源三「なに!?だったらワシらも早く帰ったほうが良いのではないか!?帰り損ねてしまうぞ!」
薮井「バカ者が!我々は既に帰り損ねているんだ!」
源三「ほげ?」
源三は鳥飼や薮井に比べて状況の深刻さを理解しきれていなかったのだった。
薮井「いいか!この迷宮の中ではあちこちに床に出入り口のようなものがあっただろう!?あれは時間切れになったり参加者がギブアップした場合に使う地下の脱出口なのだ!」
鳥飼「ああ、て言うか俺たちの目の前にもあるしな、最も、営業時間外はオートロックされちまってるから今は使えねぇ」
源三「…………」
そこまで説明されて、源三もさすがに自分が置かれている状況を理解せざるを得なくなる。
源三「わ、ワシらは……つまり……この迷路から自力で出られんくなったのか?」
鳥飼「いや、俺たちが迷路に入るのに使った出入り口だけは別だろう、あそこにはオートロックなんて無かったはずだからな、だけどこの巨大迷路じゃ自力で出ることだって難しいぞ」
薮井「そもそも出入り口だって防犯対策でオートロックが掛かっていなくとも鍵くらいはかかっているだろうからどのみち我々は朝の営業時間になるまでここから出られないというわけだ!」
源三「なにぃ―――――――――――!!」
鳥飼「ようやく理解しやがったか……」
薮井「営業時間は朝の9時からだぞ!今はまだ7時になったところだから後14時間も我々はここから出られんというわけではないか!」
源三「冗談ではない!今日はワシは金塊を換金した金でデリヘル嬢をホテルに呼ぶ予定じゃったのに!」
鳥飼「お前、初日でクリアするつもりだったんだな」
薮井「身の程知らずが!貴様のような大馬鹿がこの巨大迷路を初日でクリアできるわけがない!」
源三「なにをっ!失脚したヤブ医者の分際で!」
またしても源三たちは争いをはじめかねない状態だった。そのころ迷路を運営している事務所では……
☆
渦巻「うしししし、初日から大好調だ!金塊に目が眩んだ亡者共が後を絶たんだろうな~」
オーナーの渦巻は初日から予想以上の集客数にニヤニヤと笑みを浮かべていた。
渦巻「しかし災い転じて福となすだな、これなら国税局の連中の目を欺けるばかりか、さらに金儲けが出来る、まさに金塊様々と言うわけだ!」
高級そうな葉巻を吸いながら渦巻は下卑た笑みを浮かべ続ける。
係員「あのオーナー!」
そこにまだ残っていた係員が慌てて駆けつけてきた。
渦巻「なんだ騒々しい?」
係員「そ、それが迷路内のカメラを念入りに調べたら……まだ中に3人のお客様が残っていたのです!」
渦巻「な、なに!?」
源三達が迷路内に残されていることに気が付いた渦巻の決断は?
次回に続く!




