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第35話 宮永源三のありがたい名言+巨大迷宮のオーナー

~宮永源三のありがたい名言~



源三「よいかお主等!何も積み重ねていない者が大金を得ようなどと甘い考えは捨てるのじゃ!」

宮永源三は何を思ったのか、道路のど真ん中でマイクを片手に一人演説を始めていた。

源三「真面目に勉強をしたわけでもなく、懸命に働いたわけでもないお主等が易々と大金を手に入れたくばもう命を賭けるしかないじゃろうが!」

そんな源三の一人熱弁を、一部の若者達が物珍しそうに笑いながら見物し、携帯でカメラ撮影をするものもいた。

源三「世の中の大人たちが言わんからこのワシがハッキリと言ってやるのじゃ!よしかお主等!金は命より重い……!決まったのじゃ」

何か言いたいことを言い終えたと言った感じの源三はVピースを決めて満足げにニヤついていた。

若者「それじゃあこの50円玉の価値もあの爺の命よりも重いってことじゃね?」

若者「それどころか、ゲーセンのメダルよりも軽い命ってことじゃないの?」

若者「んな事よりも、合コン行こうぜ!さっき親に頼んで5万円俺の口座に振り込ませたからさ」

若者「けっ、親が金持ちで良いもんだな。俺なんて親がケチだから帝Loveから金借りるしかねぇんだよな~」

誰も源三の言った言葉に胸を打たれるものなどいなかった……



※前回のあらすじ



史上最大規模の超巨大迷路がオープンすることとなった。当初は興味のなかった源三であったが、オープンから1か月以内で先着3名でゴールにたどり着いた人物にはなんと金塊がプレゼントされるという話を聞いて源三は目の色を変えて参加することを決めたのだった!そしてオープン初日当日、そこには源三と同じように金塊に目が眩んだ鳥飼と薮井がいたのであった!





源三「来牙に絵梨よ、遠慮はいらん!迷路の中で鳥飼と薮井を見つけたら徹底的に叩きのめしてしまえ!」

オープン直前の時間になり、源三は絵梨と来牙を見つけてそんな企みを持ち掛けていた。

来牙「そんなの、アンタらだけでやってくれよ」

源三「白状者が!夢を成し遂げるために努力する祖父を助けようとは思わんのか!?絵梨を見習わんか!ワシのために戦う気満々ではないか!」

来牙「夢って金塊が目当てなだけだろうが」

絵梨「それ以前にアタシ協力するなんて一言も言ってないしね」

当然、来牙も絵梨も源三の企みになど手を貸すなどあり得ないのであった。

源三「ええい!ワシが金塊を手に入れたとしても何もおごってやらんからな―――――!!」

もとより、来牙も絵梨も源三におごってもらった記憶など皆無であった。

鳥飼「はっ!惨めだな源三!自分の孫たちにまで見限られちまうとはな!」

薮井「人望の無さが露点したな!せぇぜぇ泣いて懇願することだ!」

源三「黙れ屑共!貴様らなどココで消し炭にしてくれるわ――――――!!」

鳥飼と薮井にバカにされて怒り狂った源三は二人に襲い掛かかる!

鳥飼「はいどーん!」

源三「ぎえ――――!!」

どこから持ってきたのか鳥飼は襲い掛かってきた源三を椅子で殴って返り討ちにした!

薮井「はいどーん!」

源三「ぎょえ――――!!」

更にこれまた薮井はどこから持ってきたのかドラム缶で源三を殴ったのだった!

源三「き、貴様ら~、二対一とは卑怯者め~!!」

???「はははっ!お元気なお爺さん達、まぁその元気は迷路の中で発揮してくださいな」

そんな争う源三たちに割り込んで制止してきたのは、高級そうな服と装飾品を身に着けた太り気味の中年男だった。

渦巻「私の名前は渦巻うずまきです。この迷路のオーナーです」

源三「…………」

鳥飼「…………」

薮井「…………」

声をかけてきたオーナーの渦巻を見た源三たちの第一印象は一致していた、三人が特に気になったのは高級そうな服でも装飾品でも太り気味の体形でもない。

三人「「「クソチビだぁ――――――――!!」」」

渦巻「ま、待ってください!チビなのは否定しませんがクソを付ける必要はないでしょう!」

そう、この渦巻という男は極度のチビだった!成人男性であるにもかかわらず身長が僅か140センチを辛うじて超える程度の高さでしかなかったのだった!

渦巻「と、とにかく、私の生み出したかつてない巨大迷路にそこまで熱くなっていただけるとはオーナー冥利に尽きる限りですぞ!」

源三たちは迷路に熱くなっているのではなく、先着三名でゴールした客に与えられる金塊に興味があるだけであった。

源三「チビでもオーナーになれるんじゃな、また一つ賢くなったわ!」

鳥飼「身長がどうのこうの言ってやるなよ!チビだろうと一丁前に人の子のつもりなんだよ!」

薮井「小人症と呼ぶにはいささか中途半端な低身長だな、やはりただ単にチビなだけだろう!」

渦巻「こ、このく、クソじじ……!」

渦巻はこめかみに皺を浮かべてクソ爺共と言いかけたが、記念すべきオープン初日で、大勢の人前なので寸でのところで良い留まっていた

渦巻「まぁ、良いでしょう。金塊はゴール地点に3個だけ置いてありますからね。ご健闘を祈りますよ」

源三「うむ、必ずワシが金塊を手に入れて話題の迷路攻略者として広告塔になってやるのじゃ!その時はギャラの相談に乗ってやるから楽しみにしておれ!」

鳥飼「オーナーさんよ、俺にはわかるぜ!アンタはチビだ、だがこの迷路はでかい!このデカい迷路には小さいアンタからは想像もつかないほどのデカい夢が詰まってるんだろ!チビオーナーのデカい夢が詰まった巨大迷路は俺が攻略してやるぜ!」

薮井「もし、身長の低さを改善する方法が知りたかったら、何時でもこの敏腕名医である私の元に来るといい、破格の値段で診断してやろうではないか!」

オープンの時間が迫り、源三たちは入り口付近に向かって、オーナーの渦巻はその姿をにこやかに笑みを見せながら手を振って見送るのだった。

渦巻「お、おのれ……!あの無礼なクソ爺共めがっ!!」

そして、源三たちの姿が見えなくなった途端に怒りの形相に変貌して、歯ぎしりをする渦巻だった。

渦巻「口を開けば私のことをチビだチビだと!気に食わん爺共め!」

渦巻は地団太を踏んで怒りを露わにする。が、次の瞬間には渦巻の表情は不敵な笑みを浮かべる。

渦巻「まぁ、良い。今に見ているがいい、貴様らは誰も金塊を手に入れることなどはできんわ!否!誰一人としてあの金塊を手に入れる者などいてはならん!この私がさせんわ――――――――!!」





アナウンス「お待たせしました!これより初日オープンを開始します!押さないように、ゆっくりと入り口からお入りください」

ついに、巨大迷路の初日オープンが始まったのであった。客たちは一斉になだれ込むように迷路の中に次々と入り込んでいく。

絵梨「通路自体は広くないけど、実際にはゴールはずっと先で遠いんだね……」

来牙「通路が狭いのはより複雑で細かい迷路にする為なんだろうな」

そして、来牙と絵梨も迷路の中に入ってその中を早速探索する。まだ入り口付近なのでほとんどの客は同じ場所に密集している状態だった。

絵梨「迷子になったりしても大丈夫なんだよね?」

来牙「ああ、この迷路にはあちこちに床に出入り口があるだろ」

絵梨「うん、さっきから何回も見かけてるからね」

この迷路に入ってからすでに来牙と絵梨はいくつか床に作られた出入り口を発見していた。

来牙「ギブアップしたいときはここを開けて地下に入るらしい。地下は迷路になってなくてただ単にだたっ広い空間になってるだけだから、簡単に迷路の外に戻れるってわけだ。流石に地下に一度はいったらそこから他の出入り口を使って迷路に戻るの反則だがな」

絵梨「そっか、さすがに迷路の中で遭難者なんて出したら笑えないもんね~」

来牙「当たり前だ、いくら巨大迷路とはいえ、これはアトラクション。安全が常に保障されてることが大前提だからな」

そう、本来この巨大迷路はあくまでアトラクションである。例え金塊が賞品になっていたとしても安全なアトラクションであることが大前提のはずなのだが、それをぶち壊しかねない連中は既に現れているのだった。





源三「死ね―――――鳥飼にホームレスがぁ―――――!!」

源三は鳥飼と薮井に向かって死ねと叫びながらリュックの中に閉まっておいたエアガンを使って二人を攻撃し始めていた!

鳥飼「やっぱりそうしてきやがったな源三!この腐れが!」

薮井「ホームレスではなく名医薮井だ!」

サブマシンガン型のエアーガンでBB弾を乱射しまくる源三。流れ弾があちこちに飛び散るのは言うまでもない。

客「うわっ!あぶねぇだろクソ爺!」

そして、近くにいた客にBB弾がギリギリで当たりかけていた。

源三「誰がクソ爺じゃ!クソとは何じゃクソとは!ワシはクソ爺じゃなくてパワフル爺じゃ!」

客「どわぁ――――!結局は爺なんだろうが―――――!!」

文句を言う客に対して源三はエアガンを直接向けて発砲するのだった。

鳥飼「どこ見てやがるんだ源三!隙だらけなんだよ!」

源三「おのれ鳥飼!貴様そんなものを!」

鳥飼も自分の荷物の入ったカバンの中から水鉄砲を取り出していた、その中に入っているのは炭酸水で目に入ると当然染みるのは言うまでもない。

鳥飼「今度はテメェがくたばりやがれ!迷宮の中で屍になりやがれ!」

源三「黙れ!いつの時代も死ぬのは貴様のように見た目ばかりがゴツイ典型的やられ役じゃろうが!」

源三と鳥飼はエアガンと水鉄砲を使った銃撃戦を始めていた。当然、それは周囲のほかの客たちが迷惑を被る。

客「おいおい!誰かあの爺共止めろよ!」

客「ほんといい加減にしてよ!せっかく楽しみにしてたのに台無しじゃない!」

客「ていうか、もう一人の爺はどこだよ?確か薄汚い恰好の奴がいたんだが……」

客の一人がいつの間にか薮井がいなくなっていることに気が付いてあたりを見渡していた。

薮井「おお、ここだ!早く奴らを止めてくれ!傍迷惑でかなわん!」

が、薮井は唐突に再び姿を現していた。そしてその後ろには筋骨隆々の体格の係員が二人付いてきていた。

源三「鳥飼覚悟するのじゃ!これから貴様をハチの巣にして(ガシッ!)ほげ?」

源三はいきなり肩を強くつかまれて背後を振り向く。

鳥飼「こいつを浴びてもだえ苦しんで(ガシッ!)なに……」

そして鳥飼の方も強く捕まれていた。そして、源三と鳥飼の肩をつかんでいたのは薮井が連れてきた筋骨隆々の係員たちだった。

係員「お客さん、迷惑だよ」

源三「ほ、ほげ……?」

係員「あんまり好き勝手するなら……分かってるね?」

鳥飼「すみすみすみ!すみすみすみ!すみままままま!!」

口をパクパクさせて戦く源三と、既に謝り倒しているが、声にならない鳥飼だった。

薮井「係員さん、そいつらにきついお灸を頼みますぞ」

そして、筋骨隆々の係員を連れてきて源三たちを捕らえることに結果的に成功した薮井であった!

源三「薮井!貴様卑怯者め!己が戦わずして勝利を収める気か!」

鳥飼「きたねぇぞ汚職医者が!覚えてやがれコラァ――――――!!」

薮井に漁夫の利を許してしまい源三と鳥飼は薮井に向かって喚き散らすが、薮井は清々しい顔で源三と鳥飼が捕まっている姿を心地いい様子でじっくりと眺め続けるだけであった。

薮井「さて、私はゆっくりと金塊を探そうではないか。邪魔者共には消えてもらってからな!」

巨大迷宮での攻防は始まったばかりでった!


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