第31話 美少女敏腕医師登場!+源三VSユーにゃんの幕開け!
~美少女敏腕医師、その名は黒J!~
絵梨「はぁ、飛行機ってどうして墜落しないのかな?」
彼女の名前は宮永絵梨、超一流の医者として名を知らしめており、彼女に掛かればどんな怪我もたちまち治ってしまうと言われている。
しかし彼女が治療師患者に対して請求する治療費は『人間の命は安くない』を信条に非常に高額であることも知られており、加えて未成年の為、医師免許も持たない事から人々は彼女に対してこのような異名で呼ぶ。
黒Jの宮永絵梨と。
絵梨「この機内食、今一つ美味しくないな~」
そんな黒Jの絵梨は今、飛行機で沖縄に旅行に向かっている最中であった、自分の舌に合わない機内食に不満を漏らしながら、絵梨は飛行機の中でどうやって暇潰しをしようかと考えていた時だった。
母親「ぼうや!しっかりしなさい!一体どうしたの?」
スチュワーデス「落ち着いてくださいお母さん!今からこの飛行機に医者がいないか呼びかけますので!」
絵梨の席からそう遠くない席で、子供が大量不良を訴えて、母親がどうすればいいのか慌てふためいいている様子だった。
スチュワーデス「誰か、この機内の中でお医者様はいませんか?子供が体調不良を訴えています!」
絵梨「へぇ~、こんな医療設備もないところで運の無い子がいるもんだね」
そう能天気な事を言いながらも、絵梨は免許は無い物の、医療の知識がある者として名乗り出る。
絵梨「は~い、大量の悪い子ってのはこの子の事ですか~?」
スチュワーデス「アナタ……医者なんですか?」
スチュワーデスは見るからに未成年の少女が医者を名乗り出たことに、一瞬動揺してしまう。しかし、他に医者であることを名乗り出る者はおらず、母親としては藁にもすがるような思いである。
母親「こ、この子の容態はどうなってるんですか?」
絵梨「え~っとですね~……脳出血してますね、早期に治療しないと命に係わりますよ」
母親「そんな……!!」
ケロッとした態度で、子供の命が危ないと告げられた母親はショックのあまり震え始める。
スチュワーデス「先生!それでは早速この子の治療をお願いします!」
絵梨「え~と、今すぐにこの場で治療となると1000万円以上かかっちゃいますけど良いですか?」
スチュワーデス「ちょっ!こんな時にお金の話なんて!!」
子供の命が危ないと言う状況下で、治療費の話をいきなり始める絵梨に対してスチュワーデスは思わず声を荒げる。
絵梨「だけど、スチュワーデスさん。人の命って安くないんですよ、子供一人とは言え、命を救うんだから、お金に換算すると安いわけないじゃないですか。治療費が安いってことはその患者の命が安いってことになっちゃいますよ」
スチュワーデスの剣幕にも絵梨は全く怯むことなく、淡々と自分の考えに基づいた理論を絵梨は語りだす。
母親「し、しかし先生!私はシングルマザーで稼ぎもそう高くなく、そんなお金はとても支払うことは……」
絵梨「シングルマザーのあなたにとってこの子の命はお金で助けられるのを躊躇しちゃう程度の価値なんですか?本当に子供が掛け替えのない存在なら一千万円だろうと、一億円だろうと、即答で『払う』て言えるんじゃないですか?」
母親「…………」
絵梨の言葉に対して、母親の心は大きく揺らぐ、確かに女手一つで育てている彼女にとって一人息子の存在は掛け替えのない、何物にも代えられない存在である。
それを治療費が払えないことを理由に救うことを諦めて良い物なのか?
借金をしてでも救わなければならない命じゃないのかと。
母親「分かりました、一括では払えませんけど宜しいでしょうか?」
絵梨「はい、治療費の支払いはローンで払うことも出来ますので結構ですよ」
こうして母親はローンで治療費を支払うことを約束して、子供の治療を依頼するのだった。
絵梨「それでは、治療に専念するのでこの子とあたしの二人っきりになれる場所を用意してくれますか?」
スチュワーデス「それでしたら、あちらの洗面所でどうでしょうか?」
絵梨「じゃ、お借りしますね」
絵梨は子供を抱っこして、そのまま洗面所に入る。
絵梨「誰も見てないね」
近くに人がいないことを確認して、絵梨は懐から、おしゃれな時計を取り出す。
絵梨「マジカルラジカルこの子を怪我を治しちゃえ~」
そう、この呪文からも分かるように、黒Jこと宮永絵梨の正体は魔法の世界からこの世界にやってきた魔法少女なのであった!
ぶっちゃけ、彼女の魔法に掛かれば大抵の怪我はすぐに治るのである。治療に掛かる資金などは全くの0なのである!
子供「あ、あれ?さっきまで凄く辛かったのにもう何ともないや」
絵梨「念の為安静にしててね、悪化するといけないから」
とはいえ、自分が魔法少女であることは、この世界の人間たちには秘密にしなければならないので、自分の正体は決して人に明かさない。
子供「お姉ちゃん、今の何なの?道具もないのにどうやって……」
絵梨「はいはい、もう良いからさっさと忘れなさい。マジカルラジカル記憶なんて無くしちゃえ~」
子供「あれ?一体なにがあったんだっけ?」
そして、治療後は患者から魔法で治療された記憶は綺麗さっぱりと消すのがお約束でもあった。
その後、回復した子供は無事母親と対面して、絵梨はこの母親から毎月治療費をローンで5万円ずつ返済してもらうことで合意するのだった。
完済にするのは実に15年以上もかかるのだが、絵梨は子供が今も傍にいることを実感し続ける限り、一か月5万円の支払いも可愛い物だと諭すのであった。
そして沖縄に到着後。
絵梨「さて、ここではどんな患者さんに会えるのかな?」
黒J宮永絵梨の医師活動はまだまだ続くのであった。
※源三VSユーにゃんの戦い!
ユーにゃんは宮永家の飼い猫である。年齢は生後数か月程度。猫好きの絵梨が野良であったユーにゃんを見つけて拾って家に連れて帰り、それから絵梨の大のお気に入りとして宮永家の飼い猫として飼われているのだが、源三は大の猫が苦手なので天敵と化している。
☆
源三「はぁ~、暇じゃな~」
平日の真昼間、源三は特にやる事も無くダラダラと過ごしている。
源三「ああ、暇じゃな、暇じゃな~、暇すぎて暇すぎてやる事と言ったら、ただひたすらトイレットペーパーの紙を浪費して尻を吹くぐらいじゃな~」
源三は特にトイレをした後でもないというのに、ひたすらトイレでトイレットペーパーを無駄に使い続けていたのだった。しかし、それも飽きてしまい、源三は他の暇潰しの方法を探す。
源三「そうじゃな~……」
源三は家にあるレンジで温めるだけのライスを袋から取り出してそれを暖めて、その上にレトルトカレーをかける。
源三「ここからが本番じゃ!」
源三は尻を出して尻をレトルトカレーの真上に向けていた。
源三「ふふふ、これが本当の自家製レトルトカレーじゃな」
などと馬鹿な事を繰り返して、自己満足を満喫する源三であった。
ユーにゃん「う、うにゃ~……」
そんな源三のバカな行動を目の当たりにしてユーにゃんは薄気味悪さを感じ、毛を逆立てていた。
源三「仕方ない、どっかに出かけるのじゃ!」
源三はおしゃれのつもりなのか頭にシルクハットを被って外出する事にする。
ユーにゃん「うにゃにゃ~」
源三の外出を見たユーにゃんは気になったようでコッソリと後を付ける事にする。
☆
源三「あ~、やっぱり寒いの~、外出何てやっぱり面倒じゃわ」
外出して10分程度で源三は文句を言いだしていた。
子供「ああ~、寝坊しちゃったよぉ~」
そんな源三の正面からは小学校低学年くらいの少年がランドセルを背負って走ってきていたが、源三は競馬の雑誌を見ながら歩いており、子供も大慌てで走っていたので、お互いにぶつかりそうな事に気が付かない。
子供「今日中に給食費出さないといけないのに!」
そして、遂にお互いは気が付かないまま、ぶつかってしまう。
子供「うわぁっ!」
源三「ぐげぇ―――!!」
ぶつかった表紙に子供は突き飛ばされて尻餅をついて転んでいた。
源三「いてて……ん、小僧?」
源三は自分がぶつかった相手が小さい子供でしかも男の子であると分かると、一気に鬼の形相に変化する。
源三「クソガキャ――――――!!どこを見て歩いとるんじゃボケナスがぁ――――――――!!」
子供「う、うわぁ―――!!ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」
目の前で鬼の形相で切れまくる老人を目の当たりに子供は思わずおびえて謝り続ける。
子供「ごめんなさいお爺さん!!」
源三「誰が爺じゃコラァ――――――――!!」
子供「うわぁ―――――――!!」
更に切れまくる老人におびえた子供はそのまま、一目散に立ち上がって走って逃げて行ってしまったのであった。
源三「まったく、礼儀知らずなガキじゃ!」
自分にも非があるのだが、源三は苛立った態度を全く収めない。
源三「そもそもこう言うイベントは美少女の女子中高生が定番じゃろうが!なんでなんの得にもならん小学生の小僧相手なんじゃおのれ!」
と、源三が苛立っている理由の一つは今の発言通りであった。
ユーにゃん「う、うにゃ……」
あまりにも身勝手な怒りをぶちまける源三を生後1年未満の子猫のユーにゃんはあきれながら見ていた。
源三「奴の小学校に抗議の電話をしてやらねば気が済まん……ん?」
そこで源三は一枚の封筒が目の前に落ちていることに気が付いたのだった。それを拾うとその封筒には『給食費』と書かれている。
源三「…………」
源三は無言のまま中身を確認する。
源三「…………」
そして、源三は無言のままそれを自分のポケットに入れようとする。
ユーにゃん「うにゃうにゃ――――!!」
源三のネコババの瞬間を見たユーにゃんは、それを阻止するべく、鳴き声をあげながら源三に駆け寄る。
源三「な、なんじゃ!なぜ貴様がここに!?さては、ようやくわしの家から出ていく気になったのか!?ふぉふぉふぉ、それは全然かまわんぞ~、絵梨にはユーにゃんは自立して旅に立ったと伝えてやるわ」
ユーにゃん「うにゃ!うにゃ!」
ユーにゃんは源三がズボンのポケットに入れた封筒を取り上げようとする。
源三「く、来るな!わしに触るな!ワシの金に触れる出ないわ!」
完全に子供が落とした給食費を自分のモノ扱いにしている源三だった。
源三「おっと!これからワシはちょっくら出かけるんじゃったわ、そろそろ競馬の時間じゃからな~」
ユーにゃん「うにゃ――――!!」
源三は走って逃げるが、源三の悪事を何としても阻止しようとユーにゃんは源三を追いかける。
源三「ふぉふぉふぉ!捕まってたまるかぁ――――!!」
ユーにゃん「うにゃうにゃ―――――!」
逃げる源三と追いかけるユーにゃん。老人と仔猫の追いかけっこが始まったのだった!
数分後……
源三「ぜぇ……ぜぇ……し、心臓が……心停止す、するわ……」
ユーにゃん「うにゃにゃ――――!!」
メタボ気味の源三はあっさりと数分程度で疲れ切って、簡単にユーにゃんに追い付かれるのであった。
源三「か、かくなる上は……」
源三はその場で腰を下ろしてユーにゃんに背を向けていた。
ユーにゃん「うにゃ?」
ブッブゥ―――――!!
ユーにゃん「うにゃ――――――!!」
それは源三お得意の悪臭極まりないオナラであった!
源三「ふぉふぉふぉ!オナラはすればするほど腹がスカッとするわ!ふぉふぉふぉっふぉ!」
続く!




