第30話 宮永来牙も思春期男子+鬼嫁日記
宮永来牙は思春期真っ只中の男子高校生である。本人はいたってクールで余り関心のないそぶりを見せているが、その実、性的な事に関する好奇心は並外れているのである。
☆
美咲「おはよう来牙君」
来牙「ああ、おはよう」
彼女は沢渡美咲。来牙のクラスメイトである。セミロングヘアーの似合う端整でりりしさと可愛らしさを兼ね揃えたような顔立ちで、バストサイズはD~Eカップ程の巨乳とスタイルも抜群!クラスの男子達からはかなりの人気である。そして彼女はこの年頃の少女にしては珍しくガンマニアの一面も持っていた。
美咲「最近、雪降ったから厚着が手放せないわね~」
来牙「ホントだよな……」
それは来牙にとっても不服を感じる事でもあった。冬場なので仕方ないのだが、おかげで美咲は巨乳を強調する様な薄着を着る事が殆ど無く、来牙に限らずクラスの男子達にとっては目の保養が枯渇しているのであった。
来牙「なぁ、気のせいでも暑く感じた入りしないか?」
美咲「は?」
唐突に妙な事を言い出す来牙に対して美咲は呆れ交じりの目付きで呆気にとられる。
美咲「あのね来牙君、今は1月なのよ、雪が降ったばかりなのよ、どんな錯覚を起こしたら暑いなんて言えるのよ」
来牙「プライシーボ効果ってあるだろ?」
美咲「知ってるけど」
来牙「実際に、暑い暑いって思い続けてたら実際に暑く感じて、厚着を着る必要も無くなるんじゃないか?」
美咲「無いわよ絶対に、今だって結構身震いするくらいに冷え込んでるんだから……」
美咲は今のところ来牙の意図に気が付いてはいないが、来牙は内心では美咲がどうしたら一枚脱ぐかで頭が一杯になっていた。
有紗「おっはよ~」
そんなスケベな思考になっていた来牙の耳に、少しギリギリになって有紗が教室に入ってきていた。来牙は一瞬、有紗に目を向けると、冬場にしては珍しく薄着を着ている事に気が付いたのだった。
美咲「有紗ちゃん……寒くないの?」
有紗「平気平気!体中の至る所に張るカイロ張っておいたからこれでも全然暖かいんだよね!アタシ、厚着ばっかりだと汗ばむから苦手なんだよね~」
来牙がどうやっても難しそうであった冬場に女子を薄着にさせるという目論見が、何をするまでも無く有紗の方から薄着になって学校に来てくれることで成り立っていた。
しかし!
来牙「別に有紗は厚着で良いだろ」
有紗「えぇ?いきなりなんなの?なんで来牙君がそんなこと決めるんだよ!」
有紗のバストサイズはAカップにすら届かないド貧乳!実際に脱がせてみたらもしかして膨らみなど欠片も無いのではないかと言われるくらいのド貧乳!それゆえに有紗が薄着になったところで胸の膨らみなど感じられるわけも無く、来牙は冬場に薄着で登校してきた有紗に対して期待外れ感を感じずにはいられなかった。
来牙「それじゃ、教室の暖房を強めるか」
美咲「勝手に弄って叱られても知らないわよ」
来牙「あの担任なら平気だ」
このクラスの担任教師は極めて気弱で生徒達の意見に振り回されやすい為、生徒達にはいいようにあしらわれたり、舐められっぱなしなのであった。それゆえに来牙も担任教師の怒りなど全く気にすることなく、暖房の設定を自分で勝手に調整する。かなり暖房を暑く設定する。
有紗「来牙君暑すぎるよ!アタシ体中にカイロ張ってるから、こんなに暑くされても困るんだよ!」
来牙「何枚貼ってきてんだよ、お前を基準にしてたら他の連中が寒がるだろ」
女子「だけど、流石になんかこれは暑すぎるっていうか~」
女子「こんなに暑いと、一枚脱ぎたくなっちゃうね~」
その女子の台詞を聞いて、来牙はあと一歩だと確信する。
美咲「来牙君、やっぱりやり過ぎじゃないの?」
来牙「最近連日寒い日が続いてたからな!たまにはこうやって真夏を思わせるくらいに暑いくらいも良いだろ?」
美咲「来牙君、顔から汗出てるわ」
来牙自身も暑くし過ぎたせいで汗をかくほどになっているがそれでも諦めなかった!来牙はただほんの一時的でも良いから美咲が薄着にならないかと期待を寄せているのである!
美咲「うぅ、アタシも変な汗かいてきちゃった……一枚脱ぐしかないわね」
来牙「!?」
それは、来牙の粘り勝ちだったのかもしれない。美咲は暑くなった教室内の温度に流石に耐えかねたようで、上着を脱いで、薄着の上から盛り上がった巨乳を晒していた。
来牙「…………」
それは、全男子生徒にとって目が離せない、視線を集めてしまう存在感であった。来牙に限らずクラスの男子達の視線が次々と美咲に向いていた。男子生徒達は各々で美咲の薄着の上からはっきりと分かる巨乳を目の当たりにして、卑猥な妄想に取り憑かれるのであった。自分ならあの巨乳でどんな事をするだろうと……
有紗「あれ、そう言えば一時間目って体育じゃなかった?」
来牙「な、なに?」
が、そんな男子達の妄想を現実に引き戻したのはド貧乳の有紗の一言だった。
美咲「そうだったわね、着替えのために移動しないといけないわね」
当然、教室の外は未だに寒いので美咲は移動前にちゃんと上着を着直していた。
来牙「あ…………」
それを名残惜しそうにする来牙達だった。
~里村忠雄の鬼嫁〇記~
皆さん、私のブログ『鬼嫁〇記』にようこそ。ユーザーのただっちです。妻を持った男性の皆さん。鬼嫁がどんな存在化はご存知でしょうか?
鬼嫁とは旦那が気弱なのを良い事に妻が強権を存分に発揮して夫を甚振り精神を削りに削りまくって暴君のように振る舞うまさに鬼と言う例えが相応しい嫁の事です。そしてこの私、ただっちの妻がまさにその鬼嫁に該当します。
鬼嫁とは20年ほど寝食を共にしている私ですが結婚前に比べて私の身体は酷く痩せ細り、頬も随分とこけて白髪も年相応以上に目立ってきているような気がします。
さて、本日の私ただっちは、五回目の更新をしたいと思います。
~鬼嫁の理不尽な怒り だって生き生きとした男になりたかったのに~
私「はぁ……この年になるとこんな結果ばっかりだな~」
私は最近会社で受けた健康診断書を見て大きな溜息を付いてしまいました。すでに40台後半と言う年齢からかも知れませんが、ここ数年は健康診断の結果はあまり良いとは言えず、今年も血圧が低いとか、胃が良くないとか色々と言われてしまいました。
私「はぁ……昔はこんなんじゃなかったのにな~」
家に帰宅する私の足取りも重く感じるこの日、最近は体力の衰えも自分の身にひしひしと感じるようになってしまいました。
???「そこの旦那、さっきから溜息ばっかり付いちゃってますけどそんなんじゃ幸せが逃げちゃいますぜ」
私「は、はい?」
そんな私にいきなり話しかけてきたのは黒いフードを被った妙な風貌の男性でした。正確には顔は見えないのですけど声からして私はその人が男性だと判断しました。
???「ま、その年にもなれば色々と悩みも尽きないだろうね、家庭の事とか仕事の事とか考えることは一杯だろうよ」
私「あ、あの~、失礼ですがアナタは一体?」
???「おうっと、コイツは失礼したぜ、あっしの名前はそうだね、黒い商人のクロードと名乗っておこう」
私「……クロードさんですか……」
何とも風変わりな名前のようですがもしかして彼は外国の御方なのでしょうか?それにしても既に夏本番だと言うのにこんな黒いフードを被って彼は暑いとは思わないのか疑問に思ってしまいます。
クロード「旦那、もし悩みがあるならあっしに相談してご覧、丁度あそこに話をするには持って来いの屋台があるからよ」
私「……本当ですね、いつの間にあんな屋台が」
クロードさんが指差す方には確かに今時珍しい屋台が止められていました、おでんでも作っているのでしょうか?
店主「安いよ安いよ!ファーストフードの屋台は今日は安いよ安いよ!」
クロード「どうだい?今巷でちょいと流行のファーストフード屋台なんだぜい」
私「……ファーストフードの屋台が流行りなんですか……?」
私はそんな事は今までちっとも知りませんでした。やはり私は世の中の流行に乗り遅れているのでしょうかね?
何はともあれ、私はクロードさんに進められて屋台に足を運ぶことにしました。
店主「おうクロちゃんか、それにそっちの旦那は初めて見る顔だな」
クロード「うん、こっちの旦那、色々と悩み事を抱えてるみたいでね、少し話を聞くことにしたのさ」
クロードさんと親しげに話しを交わす屋台の店主さん、彼の言うクロちゃんとはやっぱりクロードさんの事でしょうか。
クロード「そういうわけでまずはオヤジ、『まるごとにんじんバーガー』を二つ頼むぜ」
店主「あいよ、そっちの旦那には特別サービスで5パーセント引きにしておいてやるよ」
私「はぁ……それはどうも」
まるごとにんじんバーガーと言うのがなんなのかは知りませんがお言葉に甘えて5パーセント引きで頂くことにしました。
クロード「それで旦那、一体何を悩んでたんだい?」
私「いや、実は会社の健康診断で……」
私はクロードさんに会社の健康診断でここ数年の結果が芳しくないことを話しました、話の途中にクロードさんが注文した『まるごとにんじんバーガー』という、パンズに人参一本を丸ごと挟んだハンバーガーを食べながら、話しをしました。
クロード「そうだったのかい、旦那くらいの年齢になれば良くあることよ」
私「やっぱり、年を取るとこうなるんですかね~」
店主「俺も50過ぎたあたりからは肝臓が悪いだのなんだのと医者によく言われるもんよ、酒を控えろとか煙草を減らせとか言われるのが恒例になって来たぜ」
屋台の店主も私の悩みに共感してくれているみたいで腕を組みながらうんうんと首を縦に振りました。
クロード「とりあえずさ、旦那の場合はまずは表面上だけでも健康的と言うか、明るくヤングマンに振る舞ってみたらどうよ?」
私「明るくヤングマンにですか?」
クロード「おうよ、まずは心から明るく振る舞ってさ、普段から元気に過ごしてればもしかしたら身体にも変化があるかもしれねぇじゃん、実際にプライシーボ高価だったかな?思い込みが実際に身体に変化をきたした例だってあるんだぜ」
私「……た、確かにそれなら私も聞いた事がありますが」
それはTVでも何度か聞いた事のある話、例えばガンを患った患者に普通の水をガンに効果のある薬だと信じ込まされて飲み続けた結果、本当にガンの症状が軽くなったり、陸上の選手に普通のスポーツシューズを履くだけで足が速くなる効果のあるシューズだと言って吐かせた結果、普段よりも良い結果を出したりなどいくつもの実話を聞いた事があります。
クロード「旦那もさ、まずは自分もこうしようと思えば出来るっていう思い込みでも良いから自信を付けてみたらどうだい?丁度旦那の心を若返らせられる代物が今あるからよ」
私「私の心を若返らせることが出来るですか?」
クロードさんの顔は相変わらずフードに隠れて見えませんが、なんだか頼もしく笑ったように見えました。
クロード「おうともさ、この『ウキウキヤングハートファッショングッズ』を買えばね」
私「な、何なのでしょうか?その『ウキウキヤングハートファッショングッズ』とは?」
なんだか聞くだけで心がウキウキとしてきそうなネーミングセンスに私の心は早くも高鳴っている気がしてきました。
クロード「ふふふ、今の20代のヤングマンたちが好んで着てるファッションを選び抜いたまさにヤングなファッショングッズなのさ、これを着れば見た目も見違えるようになって心も若返って、終いには身体も若い頃の健康的なボディになること間違いなしだぜ」
私「こ、これを着るだけで……?」
店主「クロちゃん、試しにその旦那に『ウキウキヤングハートファッショングッズ』を試着させてあげたらどうだい?俺達が周りを囲んでやれば着替えてるところを見られないだろうしさ」
丁度、この人がいるような外で着替えることを戸惑っていた私にとってありがたい申し出を屋台の店主さんはしてくれました。
クロード「そいつはいいね、そういうわけだから旦那。警察に捕まる心配なんてしないで試しに試着してごらんよ、俺達が壁になってあげるからさ、他の皆もいいかい?」
客達「「「良いともさ!」」」
私「み、皆さん……」
なんとお優しい屋台のお客さん達でしょう、私が着替えやすいように自ら更衣室代わりになってくれるなんて。
私「ありがとうございます、おかげで周囲の目を気にせずに着替えられますよ(ガチャガチャ)」
さっそく私は安心してズボンのベルトを外して着替えを始めます。これを着た自分がどのように変身できるのかを楽しみにしながら着替えをするのです。
クロード「着替え終わったみたいだね、それじゃ、この鏡で変身した自分とご対面してごらんよ」
全て着替え終わると、クロードさんは大きな鏡を私の前に出してくれます、そしてそこに写ったのは『ウキウキヤングハートファッション』を着こなした私自身の姿です。
クロード「どうだい?結構旦那に似合ってるじゃない」
店主「ああ、この格好で外に出れば誰も中年だなんて思わないぜ」
私「そ、そうでしょうか……?」
そう言われてみると確かに私自身も自信が湧いてくるような気がしてきました。鏡で見てみる自分の姿は確かになかなかいい感じでした。
黒いシルクハット頭を洒落た感じに決め込んで、上の服は青いタンクトップに、その上に緑色の蝶ネクタイを装着して、青い穴の開いた今風のジーンズを穿いて、靴もロングブーツでまるで生まれ変わったような姿でした。
私「こ、これが新しい私……」
クロード「そうだよ、旦那。今なら三万円を払うだけでこの生まれ変わった旦那の姿が手に入るってもんだぜ」
店主「よっ、三万円で生まれ変われる色男めっ!羨ましいね~」
それは私が生まれ変わろうとしている瞬間をたたえてくれるクロードさんと屋台の店主さん、もう考えるまでも無く私の答えは決まっていました。
私「か、買います!今からコンビニのATMでお金を降ろしてすぐに払いますっ!」
クロード「そうこなくっちゃ!なら善は急げだぜ!さっそくATMで3万円をゲットだぜ!」
店主「行ってきな二人とも!コンビニのATMが旦那の生まれ変わる姿を見たくてずっと待ってるぜ!」
私「は、はいっ!」
そして私はクロードさんと共に近くのコンビニのATMで3万円を引き下ろして、すぐにお金を払って私は生まれ変わった姿を手に入れたのでした。
別れ際にクロードさんは私にこう言ってくれました。
クロード「今日は帰ったら何時もと何か違うことが起きるぜ」
その言葉にゆるぎない期待を抱いて私は家路に着くことにしました。
☆
私「……い、いよいよこの時が来ましたね」
そして今の私は自宅の玄関前に到着しています、無論クロードさんから売って貰った『ウキウキヤングハートファッショングッズ』を着た状態で。
私「た、ただいま~」
私は生まれ変わった姿で我が家への第一歩を踏み出したのです。
息子「おかえ……」
私「む、息子。今生まれ変わって帰って来たよ」
最初に生まれ変わった私の姿を見てくれたのは私の第二子の長男でした。
息子「……嘘だろ?」
私「いいや、真実だよ。目の前の私が全ての現実なんだ」
息子は生まれ変わった私の姿に唖然と目を奪われてしまったようで、一歩もその場から動けなくなってしまっていました。
娘「どうしたのアリ〇キ?玄関の前で突っ立って、どうし……」
私「ああ、娘よ、父さんは生まれ変わって来たよ」
娘「生まれ変わるって何に……?」
そして娘までもが生まれ変わった私の姿を見て驚愕の表情に変化していたのです。
私「ああ、本当に私は生まれ変わったのか……」
これこそまさに奇跡の瞬間が訪れた時でした、私はもはや今までの私とは全てが違う、もう私は過去の暗い私とは完全に決別したのでした。
鬼嫁「アンタ達、姉弟揃って何を玄関で突っ立って……」
私「仕方ないさ、私が完全に生まれ変わったんだから」
そしてついに私の生まれ変わった姿を鬼嫁もその目に焼き付けることになる。もしかしてこれで鬼嫁が私に対する態度を改めればこの鬼嫁日記も無事大演壇に――――
鬼嫁「生まれ変わるならいっその事胎児に戻って一からやり直しなっ!」
私「はい?」
そして私はあっさりと家から追い出されて玄関や窓のあらゆる出入口に鍵を掛けられてしまいました。
私「ま、待つんだ母さん!わ、私は生まれ変わったんだよ!Newただっちとして新たな人生を歩もうとしているのに――――」
鬼嫁『だから人生一からやり直せって言ってんだよぉ!!』
私「鞄が痛いっ!」
一瞬だけ開いた扉から私の荷物の入った鞄を投げつけられて、私はその日は家に上がることができずに、カプセルホテルで一晩を明かすことになったのでした。




