第22話 新年特別素人参加型番組始まるぞ!
鼻ほじりとは……鼻の穴に指などを差し込み、鼻糞を掻きだして鼻の穴の掃除をする行為のことである!そして、今日ここに、鼻ほじりの為に熱い死闘を繰り広げた男達がいたのであった!
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福澤「どうも!お馴染み福澤アナです!TVの前の皆さん、新年あけましておめでとうございます!ジャストヒ―――――トッ!!」
麗華「あけおめ~!エーケービー四十八の愛され系アイドルの大川麗華で~す」
来牙と絵梨は新年が始まって3日目の1月3日に新春スペシャル生放送番組を見ていた。
絵梨「あ、来牙君エーケービー四十八のお騒がせアイドルの麗華ちゃんだよ!」
来牙「ああ、まだクビになってなかったんだな~」
そのアイドルの大川麗華は恋愛御法度の身でありながらメンバー加入当初から数々のスキャンダルや仕事のドタキャン、飲酒、喫煙疑惑、挙句の果てには薬物の使用を疑問視されている為、世間からはスキャンダルクイーンだとか、最速しくじりアイドルなどと揶揄されるように呼ばれている色んな意味で注目度の高いアイドルであった。
来牙「てか、そのお騒がせアイドルが人気アナウンサーとコンビでの司会の番組っていったい何をやるんだ?」
絵梨「それがね、それについては未公表でこれからね」
福澤「さぁ!それではそろそろ、この番組で一体何が行われるのか発表の時です!」
絵梨が言いかけたところで司会の福澤アナが説明をする。この番組は生放送の本番が始まってからその内容が知らされると言う、異例の試みなのであった!
麗華「更に更に~、この番組は素人参加型!主要な出演者の大半が抽選で決まった素人さんなんです!」
福澤「まさに異例中の異例!視聴者の皆さん!早速ですが何をやるのか気になりますよね?そんな視聴者の皆さんにジャスト……」
麗華「良いからさっさと発表しやがれよ!生放送だから尺が限られてんだよ!」
30歳近く年齢が上のアナウンサーに対して苛立ちから汚らしい言葉遣いで怒鳴りつけるお騒がせアイドルだった。
福澤「はい、では発表します」
絵梨「こういう無茶苦茶で世間一般からバッシング浴びるような態度が一部のファンに好かれてSの麗華様って呼ばれてるんだって」
来牙「俺と同い年でそんなキャラ確立させてんのか!?」
唖然とする来牙を他所に番組内容の発表が行われる。
福澤「この番組で行われる企画は~こちらです!」
垂れ幕が勢いよく落とされると企画の内容が書かれた看板が出てきた。
『ほじってほじってほじりまくり!己の鼻の穴から鼻くそほじりバトル!!』
福澤「ジャストヒ―――――――――ト!!」
麗華「きもきもですね~!お茶の間の皆さん、チャンネルを変えた気分は分かりますけどウチの視聴率の為にもチャンネルはそのままにしてくださいね~」
来牙&絵梨「「…………」」
テレビを見ていた来牙と絵梨は無表情のまま画面にくぎ付けになっていた。
ユーにゃん「にゃんにゃ~」
そこにユーにゃんが興味あり気にやってくる。
絵梨「ユーにゃん、ベットのお布団で丸まっててね~」
ユーにゃん「うにゃにゃ~?」
絵梨はユーにゃんを抱っこさせるとテレビで汚い光景が繰り広げられる前にベットに寝かせるのだった。
福澤「それではそれでは!このスペシャルな企画に出演する栄えある勇者たちをご紹介しましょう!まずはエントリー№1!元は大病院の院長!だけど今はホームレス!薮井五三男さんです!」
素人として参加した一人目は源三とは何かと因縁のある元病院の院長の薮井であった。
薮井「国民の者共!私は帰って来たぞ!アイルビーバックだぁ!」
来牙「帰って来たってなんだ?てかどっかで見たことある様な……」
絵梨「来牙君、今ねリアルタイムで書き込まれてる掲示板見てみたけどね、あの汚らしいお爺さんは10年前に天才赤ちゃんが生まれた病院の元院長らしいよ!あの後盗撮で失脚したって言う」
来牙「ああ~、そうだったか~」
来牙は10年前源三に連れてこられて来た病院での出来事を思い出してどこかで見た顔である事を思いだしていた。老化と生活環境の変化で著しく風貌は変わってしまっていたが。
福澤「薮井さんはテレビに出るのは実に10年前のスキャンダル以来だそうですね?」
薮井「この場を借りて全国民に言っておく!あれは事実無根の――――」
福澤「では、お次の方を紹介しましょう!」
薮井「聞けぇぇぇぇぇ!!」
言い訳をしようとした薮井だったが福澤アナはそれを遮って先に進めようとして、薮井はキレていた。
麗華「うっせぇんだよ!尺が限られてるつってんだろうが盗撮前科ホームレズクソ爺!!もう一辺ムショぶち込むぞ!」
薮井「…………」
が、麗華に激しく罵倒されながら罵られて薮井は小さく縮こまって黙り込んでいた。
薮井「お次のエントリー№2の方はその覆面の下の素顔は如何に!?オウムのマスクを被った謎の男!食い太郎さんです!」
食い太郎「被り物だとか言ってんじゃねぇ!俺は鳥類を代表して来てるんだよ!」
来牙「あれってマスコットキャラのつもりなのか?」
絵梨「それにしては不気味過ぎて売れ無さそうだね」
薮井だけでもネットの掲示板は様々な書き込みがなされたが、今度は覆面を付けての参加と言う事で実は有名人の変装ではないのかなどと言う推測が始まっていた。
食い太郎「人間ども!テメェらは鳥類に対する敬意を忘れてやがる!俺たちの祖先はかつて地球を支配した恐竜だ!俺達が先祖返りする事で真の支配者はどちらかを教えてやろうじゃねぇか!」
福澤「しかし食い太郎さん。確かに顔はリアルなオウムですけど顔より下はどう見ても人間の身体にしか見えないのはどうしてでしょうか?」
食い太郎「バカ野郎。これは変身してんだよ。俺みてぇな高等鳥類は変身能力で体の一部分を人体化する事が出来るんだよ」
福澤アナの質問に対して食い太郎は自信満々にまるでそれが事実であるかのように答えていた。
薮井「馬鹿馬鹿しい!そんな鳥がいてたまるか!医学的にも有り得んわ!もしその話が本当ならこの私の前で変身してみるがいい!」
食い太郎「んだとこの前科汚職医者が!」
食い太郎の主張をバカにする薮井に対して食い太郎は怒りを露わにする!
食い太郎「言っておくがな!俺はまだあと2回変身できるんだぞ!テメェなんざ初期形態で充分瞬殺出来るんだけどな!」
絵梨「どっかで聞いたことある台詞だし……」
薮井「バカも休み休み言え!それよりも私が汚職医者とはどういうことだ聞き捨てならん!あまりにも勝手な事を言うと名誉棄損罪で貴様を――――」
福澤「ジャストビィ――――ト!!」
薮井「私の話を遮るなー―――!!」
またしても薮井が話している最中に福澤がそれを止めているんだった。
福澤「さぁ、続きましてはエントリー№3の紹介です」
絵梨と来牙にとって二人の挑戦者は全く持ってどうでもいいヤブ医者とオウムになりきった変人老人達に過ぎなかった。不安を抱えたまま次の挑戦者を見る事になるが、来牙達にとってその不安は最悪な方向に的中してしまうのである。
福澤「人生はギャンブルだ!その言葉を座右の銘として生きていると言っても過言ではないベテラン敏腕ギャンブル老人!宮永源三さんです!!」
来牙&絵梨「「…………」」
その名前を聞いて来牙と絵梨は凍り付きつつも、同姓同名の別人である事を心の底から祈っていた。
源三「いぇ―――!べいべ―――!!」
が、その祈りは脆くも崩れ去ったのであった……
続く!




