第19話 決着!そして暴かれたサンタガールの正体!
前回のあらすじ
幸の薄そうな中年男性である里村忠雄を見つけた源三達!彼が例のサンタガールに狙われてると知った源三達は忠雄を囮にしてついにサンタガールを見つける事に成功するのだった!どうなる源三達!どうなるサンタガール!そしてついでに忠雄は!?
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サンタG「ふふふ、また会ったわね寂しいお爺様方、私のプレゼントは気に入ってくださったかしら?」
サンタガールは妖妙な笑みで豊満なバストを強調させて源三達に微笑んでいた。
源三「いや~、10万円は痛かったが、これ始めてもらった時は正直ワシにもクリスマスが来たとはしゃいでしまったなぁ~」
鳥飼「ったく、アンタにはやられちまったぜ。幻でも俺達のあの時はまさにホワイトクリスマスだったわけだ」
薮井「失脚してから若い娘とまともに口を聞けたのはあれが初めてであったな、華やかなクリスマスをありがとう!」
さっきまでの敵意はどこへやら、あっさりと鼻の下を伸ばしてにやける3人であった。
サンタG「それは良かったわ~、というわけで忠雄さん、あなたもプレゼントを10万円で受け取ってくれますね?」
忠雄「は、はい!お金を下してきたからぜひあなたのプレゼントを!」
源三「って、違うわぁー――――!!」
が、忠雄はあっさりと騙されようとする姿を見て一瞬で正気に返っていた。
源三「詐欺師が!もうだまされんぞ!ワシらに意味の分からん壺を10万円で売りつけおって!ワシらの弱みに付け込みおったな!」
鳥飼「率直に言うぞ!金返せコラァ!俺達の魂の10万円を返しやがれ!」
薮井「なけなしの金だったのだ!ホームレスにとってこの10万円がいかに尊いか分かっているのか!?」
三人は涙を流しながら10万円の返却を迫っていた。
サンタG「ふふふ」
が、そんな風に勢いで迫られてもサンタガールは全く動じることなく、微笑みを崩さなかったが、それはそこまでであった。
サンタG「寝ぼけた事言ってんじゃないわよ爺共がぁ!寝言は寝ねるか死んでから言えってんだボケがぁ――――――!!」
三人「「「ぐわぁ――――――!!」」」
唐突な罵倒を含んだ怒声に源三達三人は勢いで吹き飛ばされていた。
忠雄「どっひゃ――――――!!」
そして忠雄もショックで巻き込まれる形で吹き飛ばされていた。
サンタG「言っておくけどね、私はあんたら老人達をだましたつもり何て全くないわよ!言うならばこれはビジネスよ!壺を10万円で売ったの!アンタ達だって喜んで10万円払って壺を受け取っておいて今更返せとか半端な事言ってんじゃないわよ!」
源三「ぐ、ぐあ―――!!わ、ワシのMの心が呼び覚まされるのじゃ―――――!!」
鳥飼「ハァ……ハァ……色っぽい女に罵られるってのは存外悪くねぇな……」
薮井「ま、まだまだ――――!もっと言ってみろ!もっと罵ってみろ!バッチコーイ!」
あろう事かこの三バカ老人ズ、揃いも揃って美人の女性や美少女に対しては、生粋のドMなのであった!
忠雄「ああ、良いなぁ~……」
そしてこの忠雄も源三達と同じくMの気質で、その性癖を満たす為に妻や娘をワザと怒らせて罵られることで、その欲求を満たしている事すらあるほどのMなのである!
サンタG「既に商売は成立済みなのよ、言っておくけどクーリングオフ何て甘ったるい制度は私には通用しないわよ!分かったらさっさと消えな爺さん達!」
そしてサンタガールもこの罵りが老人達に効果抜群であると気が付くと、遠慮も容赦も無く次々と言葉のナイフを源三達に向けて刺しまくる。
源三「き、効くのじゃ……(ビクビク)わ、ワシにこの攻撃は快感と痛みがダブルパンチじゃ……!」
床に倒れ込んでビクビクと痙攣している源三であった!
鳥飼「げ、源三!しっかりしろ!く、くそ……まさか奴がドS女だったとは!俺達隠れMにとっちゃ最悪の敵だぜ!」
薮井「無理だ……生粋のMを克服など出来はしない……この勝負は完全に負けたのだ……」
もはや源三達に打つ手はなかった。美人の女性に罵られることに快楽を感じた源三達は完全に追い詰められていた。
サンタG「分かったかしら?全く、物わかりの悪い老人達はこれだから嫌よ、これだけハッキリと言ってやらないと分からないんだから!」
忠雄「ぎょわ――――――!!」
サンタG「何かしら忠雄さん?言っておくけどこのお爺さん達に言ったことは貴方に対しても言える事だからしっかりと胸に焼き付けなさい」
忠雄はサンタガールの顔を見て驚愕したのだった。なぜならその顔はつい先ほどまでとは完全に別人のようであったからだ。
忠雄「あ……あ……あああ…」
サンタG「あ?」
忠雄「厚化粧だったんですか貴方はぁ――――――――!!」
サンタG「な、まさか!?」
忠雄に指をさされてそう言われたサンタガールは慌てて手鏡で自分の顔を確認する。
サンタG「きぎゃ――――――――!!」
そして自分自身で絶叫していた。
源三「な、なんじゃ一体……どわぁ―――――――――!!」
鳥飼「って、おおー――――!!」
薮井「なんだその顔は――――――――――――!!」
源三達も驚愕の声を止められなかった。そう、サンタガールの顔は厚化粧によって作られた限りなく整形に近い程の変化であった。源三達に怒鳴りまくった勢いで剥がれた化粧の下の素顔は美人とは言い難い幸が薄く、おまけに20歳前後などとは到底程遠い老け顔でもあった!
サンタG「わ、私としたことが!既に45歳で決勝の乗りが悪くなりつつあることを忘れて化粧が崩れるくらいに激しく怒鳴って表情を変化させ過ぎてしまったわ!」
鳥飼「45歳だと!とっくにいい歳した婆じゃねぇか!」
サンタG「黙りなさい!アンタ達よりは20歳以上若いわよ!」
忠雄「45歳って母さんよりも年上……だけど母さんと違って年相応以上に老けている……」
その素顔は忠雄の浮ついた夢を完全に打ち砕くには程よい衝撃であった。
源三「ショックじゃ!こんな厚化粧婆にワシらはクリスマスにときめかされておったのか――――!!」
サンタG「お黙り!」
サンタガール、改めサンタアラフィフはそれでも、マゾである源三達に対して罵ってやればスグに悶えて骨抜きになると信じて罵倒の言葉を発しようとする。
サンタA「女の化粧も見抜けないような老いぼれ達の分際で汚らわしい!」
源三「昨日から穿きっぱなしの靴下じゃ――――――!!」
サンタA「クッサ――――――!!」
鳥飼「フケが溜まった頭皮の匂いだオラ―――――!!」
サンタA「私よりも酷い加齢臭だわー――――――!!」
薮井「私なんて1週間以上風呂に入ってないぞ!!」
サンタA「不潔――――!!」
が、源三達はもはや容赦しなかった。源三達がMに目覚める相手は年齢は10代、20代の若くて容姿に優れた美女と美少女だけなのである!源三達にとって厚化粧で素顔を誤魔化した40代女は汚らしいの一言に付き、到底Mをくすぐられる相手ではなかったのだった!
源三「壺と金を交換じゃ!」
鳥飼「聖夜の夜にとんだ婆詐欺師サンタだったな!」
薮井「全く、この私に何たる恥をかかせるのだ!」
源三達は皆、サンタAが持っていた金を回収して壺を返すのであった。
忠雄「あ、あの、私もプレゼントは良いので失礼しま~す」
そしてその光景を見てそそくさと退散する忠雄であった。
それから数分後
サンタギャル「そこのおじさま方~、うちのお店で飲んでいきませんか?とってもとっても美味しいですよ~」
老人ズ「「「おじゃましま~す」」」
朝っぱらからやっている飲み屋に対して全く違和感を感じない反省知らずの老人達であった!




