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第14話 宮永家にインコがやってきた!そして源三が逃がしちゃった!

インコはインコ科に属する約330種類の鳥の総称で、オウム目を構成するふたつの科のうちの一つである。





絵梨「あ、お母さんそれってインコだよね?どうしたの~?」

ユーにゃん「うにゃ~」

楓が赤い顔と黄緑色の体毛のインコを透明ケージに入れて帰ってきて、絵梨と飼い猫のユーにゃんは興味津々で近づいてきていた。

楓「老人仲間が泊まりで旅行に行くから預かる事になったのよ、これはコザクラインコって言うみたいね~」

来牙「なるほどな、ペット用のインコとして人気があるみたいだな」

来牙はそのインコの事を早速スマホで調べていた。

絵梨「そっか~、インコってオウムみたいに人間の言葉喋ったりするの?」

来牙「ああ、コザクラインコは人の言葉を真似るのは得意じゃないが聞きづらいながらも喋る個体もいるだそうだ」

絵梨「へぇ~、このインコは喋れるのかな~?」

絵梨が興味本位でゲージの中に指を入れようとしていた。

来牙「待て絵梨」

絵梨「え?」

が、それを来牙が制止する。

来牙「コザクラインコは小柄な割に噛む力が意外と強くて噛まれると余裕で流血するから止めた方が良い」

絵梨「そうなんだ、気を付けないとねユーにゃん」

ユーにゃん「にゃにゃ~」

来牙「他にも性質的に物怖じしないで、活発で、自分よりもデカい鳥相手でも威嚇するらしいな」

楓「あらま、見た目によらず勇敢なのね~」

楓たちはしばらく預かる事になったインコを見て楽しむのだった。やがて来牙と絵梨は二人で映画を見に行く時間になって出かけて、楓もインコはゲージに入れたまま玄関付近の日当りのいい場所に置いた状態で部屋に戻っていた。そう、奴が帰ってくるまでは何事も無く穏やかなはずなのであった!





源三「ただいまじゃ――――――――――!宮永家の大黒柱のワシの帰還なのじゃ―――――!!」

源三が帰ってきたのだった。

源三「いや~、絶不調じゃったな~!朝一でパチンコに行って粘り強く戦ったが奴は強敵じゃった!今度はまとまった軍資金を用意してから行かねばなるまい……ってなんじゃこの鳥は?」

勝手に独り言を言っていた源三だが、すぐに玄関付近のゲージに入ったインコの存在に気が付いていた。

インコ「ピー!ピー!」

源三「やかましい鳥じゃの~、ゲージに入ってはいると言う事は何者かが嫌がらせ目的で置いて行ったと言うわけか?」

家の誰かが預かっているとは全く考えずに源三は他者の悪質や嫌がらせを疑っていた。

源三「全く、送ってくるならどうせもっと高く売れる取りにせんか!こんな間抜けそうな鳥に価値があるとは思えんわ!」

源三は悪態をつきながらゲージの中に指を入れていた。インコを突くつもりだったのだが。源三は知らなかった。


ガブ!←インコが源三の指をかむ


源三「ぎょにょわぁ――――――――!!」

そう、来牙が絵梨に説明した通りこのコザクラインコの噛む力は見た目によらず強力で物怖じしない性質でもあるのだった!

源三「ええい離さんかぁ――――――!!」

源三が必死になって指を振り回すとようやくインコは源三の指を離していた。

源三「おのれクソ鳥の分際で人間様を舐め腐りおってぇ……!!」

インコを相手に本気で怒りを露わにする68歳だった。

源三「貴様などゲージに囚われた囚人も同然じゃ!ワシに敵うわけがあるまい!」

源三はゲージを持ち上げるとその場で激しく上下に揺らし始めていた。

インコ「ピ―――――――!!」

源三「ぐははははっ!どうじゃどうじゃ――――――!!貴様など100万光年掛かってもワシには勝てんと言う事が分かったか――――!!」

ゲージに入ったインコに大してゲージを揺らしまくって誇らしげに勝ち誇る源三であった。そして、100万光年は時間ではなく距離なのである!

源三「ほーれ!」

更に源三は今度はゲージを軽く投げていた。ゲージはガシャンと音を立てて床に転がるが、それによって源三にとっても不測の事態が起こるのである。

インコ「ぴー!ぴー!」

源三「しまった!さっき投げた時にゲージが開いてしまったのじゃ!」

源三が投げたゲージはその衝撃で開いてしまい、中からインコが出てきてしまっていた。

インコ「ぴぴぴ―――――――!!」

源三「おのれしぶといんじゃ――――――!!」

インコはかなり怒っているみたいで源三の頭を突き始めていた。源三も怒りが頂点に達して玄関にあるほうきを持ってインコに反撃する。

源三「ワシのスマッシュを食らえ――――――!!」

インコ「ぴ――――――!!」

源三がほうきを思いっきり振り払うとそれが偶然インコを吹き飛ばし、源三が帰って来た時に開けっ放しにしていた玄関の外に放り出されていた。

源三「ワシの勝ちじゃ!ここに貴様の居場所などないわー―――――!!」

源三はインコを追い出すと、勝ち誇った態度で玄関を閉める。

源三「婆さんやーい!おやつ!おやつ!」

勝ったつもりの源三は意気揚々よした気分で楓の部屋に行く。

源三「婆さん!おやつじゃおやつないんか!?」

楓「はぁ……68歳のダンナにおやつをねだられるなんて……」

頭を押さえてため息をつく楓。

源三「婆さんよ!玄関にゲージに入った状態の鳥がおったのじゃ!」

源三はこの後、自分がその鳥を追い払ってやったと自慢げに話すつもりであった。

楓「ああ~、あのインコは私が老人仲間から預かってるインコですよ」

源三「え……?」

が、それよりも先に予想だにしなかった真実を聞き、源三は目を丸くして驚愕していた。

楓「お泊り旅行に行くから私が預かる事になったんですよ、そろそろゲージを移動させた方が良いかしらね?それにご飯もあげないといけないし」

源三「ろ、老人仲間?」

楓「ええ、老夫婦で旦那さんの方は空手5段なんですよ~」

空手五段と聞いて源三は自分が完膚なきまでに制裁を受ける姿を想像していた。

源三「ばばばばば、婆さん!」

楓「なんですかお爺さん?」

源三「あのインコの餌ってゲージの隣にあった袋の事か?」

源三は咄嗟にゲージの隣に紙袋がある事を思い出していたのだった。

楓「ええ、それを食べさせてあげる様に言われたんですよ」

源三「おっしゃ!ワシが餌をやっておくから婆さんは部屋でゆっくりしておくれ!」

楓「はい、一体どうしたんです?」

珍しく源三が自分から面倒な事を買って出ていた。

源三「いや~、婆さんは普段から炊事家事が忙しいからの~、ワシがやるのじゃ!ついでに菓子もワシが買ってくるから婆さんは何も心配せんで部屋で休んでおってくれ!」

楓「……お、お爺さん、一体どうして~?」

源三「ワシにどーんと任せるのじゃ―――――!!」

源三は慌てて楓の部屋の扉を閉めて、今度は大急ぎで玄関にまで駆けつけて外を見る。

源三「インコぉ―――――!!」

大急ぎでインコを取り戻そうとする源三だったが、既に外にはインコの姿は無かったのだった。

源三「た、大変じゃ―――――――!!か、空手バカのインコを逃がしてしまった……!」

今になって自分が取り返しのつかない事をしてしまった事に気が付いて源三はあたふたと怯え始めていた。

源三「ど、どうする……?な、なにか納得のいく言い訳はないのか!?そうじゃ!インコは死んだことにするのじゃ!」

それは源三が源苦し紛れに思いついた最初の言い訳であった、源三はその言い訳をした時の状況を脳内趣味レートしてみる。



※シミュレート1 死んだことにする



源三「いや~、お気の毒じゃったな~、アンタ達のインコはワシらが預かっておる間に死んでしまったのじゃ!ふぉふぉふぉ!」

旦那「んで、インコの死体は何処なの?」

源三「え、死体?」←冷や汗をかきまくる

旦那「死んだんだろ?だったら死体があるはずだよね?死体を見せてもらいたい」

源三「あ~、いや~……し、死体は~、死体は~……死体ごっこをしたいな、なんじゃって!」

旦那「アンタを本当の死体にしてやるよ」

源三「ぎょえ――――――!およしになってぇ――――――!!」


………


……



源三「ダメじゃ!死んだことにするには死体が必要じゃ!死体が無い時点でこの作戦は失敗じゃ!」

スグに自分の考えた作戦の欠陥に気が付いて息詰まる源三だった。

源三「他に何かいい作戦は無いか?逃げ出したと言ったら間違いなくワシのせいになるから……そうじゃ!強盗に奪われたことにするのじゃ!」



シミュレート2 強盗に奪われたことにする



源三「ふ、不覚じゃった!まさか強盗が不意打ちで襲い掛かってきてインコを誘拐してしまったのじゃ!もうあのインコは帰ってこんのじゃ!」

旦那「強盗ってどんな連中?」

源三「え、えっとぉ……二人組じゃったな!」

旦那「顔は?」

源三「マスクで顔を隠しておったからわからんのじゃ!」

旦那「いつ来たのその連中?」

源三「多分だけど……20分くらい前じゃ!」

旦那「よし、聞き込みをしよう。そんな目立つ二人組で20分前くらいにこのあたりにいた人たちに見られてないわけがない」

源三「いやいやいや!そ、それはそのぉ……」


………


……



源三「だめじゃ、これも質問されているうちにボロが出てしまいそうじゃ……」

結局、源三は無難な選択肢として、鳥類を扱っているペットショップに行くのだった。





バイト「いらっしゃいませ~、可愛い鳥さんたちが一杯ですよ~」

店に入った源三を出迎えたのは、見た目は中学生くらいのツーサイドの髪型をした可愛らしいバイトの少女だった。が、源三の目的はあくまで代わりのインコを手に入れる事である!美少女にうつつを抜かしている場合などないはずなのである!

源三「可愛いのはむしろお主じゃろうが~、決まった!ワシはお主を買うのじゃ!」

バイト「お客様、人間の女の子を買うと買春で捕まっちゃいますよ~」

源三のセクハラ染みた言動に対してもその店員は内心で苛立ちながらも笑顔を作る。

源三「え~と、お前さんの名前は?」

有紗「里村有紗です。このお店には1週間くらい前から怪我で休んでる知り合いの代理でバイトで来てるんですよ~」

源三「有紗ちゃんかぁ~、ロリ顔ド貧乳じゃが、それはそれで需要があるんじゃな~」

バイトをしていると言う事は少なくとも高校生以上だと思われるが、見た目は中学生にしか見えない有紗を見て源三はその実年齢と体型のギャップを楽しんでいた。

有紗「それでお爺さん、どんな鳥が欲しいんですか?」

拳を握りしめつつも有紗は店員としての職務を果たそうとする。

源三「そうじゃった、ワシはインコが欲しいんじゃった!」

取り敢えず、なんとか源三は我に返っていた。

有紗「インコ、どんなインコなんですか?」

源三「確か、婆さんがコザクラインコだとか言っておったのじゃ」

有紗「ああ~、それって確かあの顔が赤いインコじゃないですか?」

源三「そうじゃ!あの憎たらしい顔の赤いインコじゃ!」

源三はインコとの争いを思い出して、仇敵のインコの特徴を思い出していた。

有紗「インコ買いに来たのに憎たらしいって……取りあえずこっちにいますよ~」

源三「うむ!では見せてもらおうか」

源三は有紗に案内されてこれから買うコザクラインコを見る事になった。

有紗「どうですか~?」

源三「おお、まさにこんな感じじゃったわ!」

その姿は源三が逃がしたコザクラインコとそっくりであった、これで自分は飼い主である空手5段の旦那に殺されずに済むと源三が安堵していたときであった。

有紗「12000円で~す」

源三「いちまんにせんえんじゃとぉ―――――――――――!!」

予想だにせぬ金額に絶叫したのだった。

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