第12話 バトル勃発!再開の源三と鳥飼の戦いの行方は?
~前回のあらすじ~
雪山で源三を襲った白熊の正体は就活に大苦戦して奨学金の借金まみれの大学生の白井だった。事情を聞いた源三は白井の着ている白熊の着ぐるみを借りて、自分を見捨てた鳥飼に対する報復を決意した。結果、鳥飼は白熊の着ぐるみを着た源三に大いに恐怖に慄き、源三の目論み通りになったが、それだけで源三は満足せず、更に源三は鳥飼に対する報復を続けるのであった。
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絵梨「えへへ、久しぶりに二人っきりになれたね来牙君」
来牙「爺さんがいないおかげだな」
その頃、スキー客達が止まるための宿泊所での事だった。宮永家の部屋の割り振りは男女別になるはずだった。と言うのも、絵梨は当初は自分と来牙のペアと源三と楓のペアを提案したのだったが、源三は来牙と絵梨が部屋で二人きりになるのを許さずに頑なに猛反対し、源三と絵梨のペアになる事を強要しようとしたのだった。最終的に楓の仲裁によって男女別の組み合わせになったのだった。
絵梨「ほらほら、アタシの身体暖かいでしょ?カイロ入れて温めてたんだよ」
絵梨はカイロで温めた身体で来牙に抱き着いて来牙も温めようとする。
来牙「お、たしかに暖かくなってるな、もっとしっかりと抱きつけよ」
絵梨「うん、来牙君にだけならこれくらい大サービスしちゃう」
女子高生が一つ年上の男子に抱き着いているが、この二人は言うまでも無くれっきとした兄妹である!このように超ブラコンで兄に対するボディタッチに対して全く遠慮のない絵梨と、なんだかんだでシスコンの来牙の為頻繁に見ず知らずの者達からは彼氏彼女の関係と勘違いされているのである。そして、来牙と絵梨が兄妹で室内で二人きりを楽しんでいる間、雪山では新たなる戦いの火ぶたが切って落とされようとしていた!
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源三「にしてもあの鳥飼の奴の驚きっぷりときたら傑作じゃったわい!白井よ、ちゃんと奴の無様な姿を撮っておいたんじゃろうな?」
白井「ええ、あの人ったら怖そうな顔して意外とチキン野郎なんですね。まぁ、このリアルな白熊の着ぐるみを目の当りにしたら誰だって怖がりますけどね!」
テントに戻った源三たちはこれからまたどうやって鳥飼を驚かせるかで相談していた。白井も元々はスキー客を驚かせるのが目的でこの雪山の山頂付近でテントを張っていたので、源三の悪事にノリノリで付き合い始めていた。
源三「おお、なんじゃこれは?」
源三は白井の持ち物の中で興味深い物を見つけていた。
源三「面白そうじゃな」
白井「ああ、爆竹ですね。」
源三「おお、そいつはマジで面白そうじゃわい!」
爆竹とは竹筒や紙筒に火薬を詰めて導火線に点火、爆発させ、大きな音を鳴らす花火である。他の花火とは異なり爆発音発生を目的とし、閃光は発するが見た目に美しい火花を噴出することはない。by ウィキペディアより
源三「コイツを使って鳥飼の野郎を盛大に驚かせてやるわ!白熊に追われて逃げ回っている矢先に爆竹の音に怯えて縮こまる奴の姿を見てみたいわ~」
口を押えてゲラゲラと笑う源三。
白井「そっか~、年取るとそれまで仲の良かった人でも敵意が湧いてきたりするのかな~」
源三のゲスな姿を見て白井は老いの恐ろしさを感じたのであった。
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鳥飼「クソ……どうすりゃいいんだ?」
一方その頃の鳥飼はいつ現れるかもわからない凶悪な白熊によって森林からなかなか出る決意が決まらなかった。この場所なら白熊に見つからいにくいのは確かだが、このままここにいたところで助けを呼ぶ事すら出来ない。かと言ってこの森林地帯は山頂付近にしかないので、下に降りるにはどうしても森林地帯から出て、見晴らしのいい場所に身を晒す事になってしまう。
鳥飼「なんか、役に立つ道具はねぇか?」
鳥飼は自分のリュックにある道具を調べてみるが、中から出てきたのは食料がクラッカーと日本酒のみ。
鳥飼「エロ本じゃクマの気をそらす道具にはならねぇよな……」
それは鳥飼が最近手に入れたばかりの18歳になったばかりのAV女優がデビュー記念に撮影したヌード写真集だったがクマ相手に意味は無い。
鳥飼「お、ライターを持って来たんだったなそう言えば!」
リュックの中ばかり見ていた鳥飼だったが、喫煙者である彼はライターと煙草を持っている事に気が付いていた。
鳥飼「火があれば充分だな!あの白熊が来やがったらライターで火をつけて追い返してやる!火をつけるのはその辺の使い道のねぇ木の枝を持ってこればいいだけだからな」
が、鳥飼は思い違いをしていた。クマが火を恐れると信じられていたのは当の昔の事で現在ではクマは火を恐れる事は無い事が明らかになっている。
鳥飼「そうと決まったらさっさと下山だ!丁度雪も収まって来たからな、降りるなら今だぜ!」
が、そうとは知らない鳥飼は意を決してこの場で下山する事を決意する。そしてその様子を双眼鏡で見ている者がいるのであった。
源三「ふぉふぉふぉふぉ、降りるが良いわ鳥飼め。これからお主を更なる恐怖で怯えさせてくれるわ!」
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鳥飼「クソ!まだ携帯は繋がらねぇな、もう少し降りねぇとダメか」
いち早く助けを呼びたい鳥飼は常に携帯を見ながらだった。
グオォ―――――!!
鳥飼「き、来やがったか!」
そこに例の白熊の吠える声が鳥飼の耳に響き渡る。声の方を振り返るとやはり白熊が両手を広げて声を荒げていた。
源三「ふぉふぉふぉ、鳥飼よ地獄の始まりじゃ!」
そして、そんな白熊着ぐるみの中に入っている源三は中で気持ち悪い笑顔を浮かべながらクマの演技をする。
鳥飼「オラオラ!もう怖くねぇぞ!これでどうだ!」
鳥飼はあらかじめジッポーライターのオイルで燃えやすくしていた木の枝にライターで火をつける。すると狙い通り木の枝はメラメラと燃え始めていた。
源三「ぶっくく!あのバカめ!ワシがクマだと信じ切っておるから火で追い払おうなどと考えたんじゃな!とんだ大間抜けめ!」
ちなみに、源三もクマは火に怯えると思い込んでいたのだった。
鳥飼「オラぁ!クマの丸焼きになりたくなかったらとっとと消えやがれ!」
白熊の着ぐるみを着た源三を威嚇する鳥飼だったが、源三はその場で雪玉を作り始めていた。
鳥飼「あ、あの熊、何してやがるんだ?なんでクマが雪玉なんて作ってやがるんだ?」
不思議がる鳥飼を他所に白熊の作る雪玉はどんどん大きくなる。実際には源三はあらかじめ雪玉を作って用意していたのではあるが。
源三「ぐふぉふぉふぉ、覚悟しやがるのじゃ鳥飼め!」
ちなみに、この時、鳥飼が下り坂の下の方でクマの着ぐるみを着た源三が上の方だった、これも源三の作戦であり、源三は大きくなった雪玉を下の方の鳥飼に向かって蹴り飛ばしていた。
鳥飼「げっ!じょ、冗談だろあの白熊!」
源三「ふぉふぉふぉ!雪玉の下敷きになるが良いわ!」
ゴロゴロとこちらに向かってくる雪玉から必死に逃げようと走る鳥飼だった。まっすぐ走っても逃げ切れるわけがないので、鳥飼は横方向に走って避けようとする。
源三「そうはいかん!これでどうじゃ!」
パンパン!パン!
鳥飼「こ、今度は何だ!?」
いきなり何かが破裂する様な音に鳥飼はおどろき足を止めてしまっていた。
源三「ふぉふぉふぉ、爆竹が上手くいっておる!」
源三が用意した爆竹の音だとは知らずに慌てふためく鳥飼、そこに源三が転がした雪玉が目の前にまで迫るのだった。
鳥飼「どわぁ――――――――!!」
源三「ぎゃはははっ!!大成功じゃ―――――――!!」
雪玉を思いっきり食らって全身雪塗れの状態になった鳥飼だった。
鳥飼「……おかしいだろ」
が、鳥飼は流石におかしいと思っていた。白熊がここにいること自体おかしいのもそうだが、他にも白熊が爆竹を使ったり雪玉を転がしたりと有り得ないことだらけだった。
鳥飼「第一、なんでアイツ火を怖がらねぇんだ?」
これに関しては鳥飼の勘違いでクマは元々火を怖がらないのだが、鳥飼はその原因を実は白熊ではなく別の存在である疑いを抱いたのだった。
白熊「グオォ―――――!!」
こちらに迫ってくる白熊、それまでの鳥飼であれば絶叫して喚き叫ぶところだったろうが、今回は比較的落ち着いた態度でリュックからあるアイテムを取り出す。
鳥飼「おらよぉ―――――!!」
それは鳥飼が持ってきた18歳AV女優のヌード写真だった。普通の白熊にならこんなのを見せたところで全く通用するわけがない。
白熊「う、うひょひょ―――――――――!!ピチピチじゃ!10代ピチピチギャルの全裸じゃ!全裸じゃ――――――!!」
が、その白熊は大声で思いっきり日本語を話しながら鳥飼がばら撒いた写真を必死になって拾っていた。その姿は完全にエロにどん欲になっている変態親父にしか見えなかった。
鳥飼「お――い源三!もっといいのがあるぞ!こっち来て見てみろよ!」
白熊「マジでか!?もっともっとワシに見せやがれなのじゃ―――!!」
鳥飼「テメェやっぱり源三じゃねぇかコラァ――――――!!」
ついに、源三は鳥飼の策に嵌ってボロを出してしまったのだった。
源三「げげっ!しまった!ハニートラップに引っかかったのじゃ!」
鳥飼「テメェ白熊に食われたかと思ったら生きてやがったのかよ!てか、何テメェ白熊の着ぐるみ着て俺のこと脅かしてやがるんだ!」
源三に怒りをぶつける鳥飼だったが源三もそれに触発されて不満をぶつけ返す。
源三「やかましいわ!あの白熊は今ワシが着ておる着ぐるみじゃ!貴様こそよくもワシを見捨てやがって!あれが本当の白熊だったらワシはマジで食われておったじゃろうが――――――!!」
鳥飼「俺には明るい未来があるんだよ!オメェ守るために死んでたまるか!」
源三「何じゃとコラ!貴様よくもぬけぬけと!」
怒りが頂点に達した源三は準備した雪玉で最も大きい特大サイズを転がして鳥飼を始末しようとする。
源三「ぬお、重たいのじゃ……!」
鳥飼「させるかコラ!」
鳥飼はそれを阻止するために雪玉を押し返そうとする。源三が上からなので本来なら源三が有利なのだが、ガタイの良い鳥飼の方が力比べでは分があるようで源三は中々押し切れずに苦戦する。
源三「ええい白井!手伝え!コイツを雪玉諸共転がしてやるんじゃ!」
白井「わ、分かったです!」
隠れていた白井は源三に促されて雪玉を押すのに協力する。
鳥飼「そうか!コイツがテメェの協力者か!ぐおー――――!!」
源三と白井の2人掛かりで押されて、ついに雪玉は鳥飼を押し切って転がり始める。
源三「おっしゃ――――!覚悟せい鳥飼ってぬお!?」
白井「うわ、うわ、うわぁー――――!!」
が、思い切り雪玉を掴んでいた源三と白井も転がり始めた雪玉に巻き込まれ始めていた。
鳥飼「どわぁ――――!と、止めやがれぇ―――――!」
三人とも巨大な雪玉の転がりに巻き込まれる形で揃って猛スピードで雪の坂道を転がりだすのだった。
源三「ぎえー―――――――!!な、なんでこうなるんじゃ――――――――――!?」
鳥飼「源三テメェ!どうにかしやがれぇ―――――――!!」
白井「た、助けて助けて!僕たちどうなっちゃうの!?誰かお助け下さいませー――――――!!」
三人を頑なに離さない巨大な雪玉は転がるにつれどんどんと大きくなる、はたして三人の運命はいかに!?




