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第11話 雪山で白熊!?源三の逆襲!

前回のあらすじ


源三は家族とついでに鳥飼と一緒にスキー山に来ていた。色々とトラブルを起こしまくった結果、源三と鳥飼は雪山の頂上付近で遭難してしまっていた。どうにかして下山しようとしていた二人であったが、その矢先になぜか白クマに襲われて二人とも絶体絶命。しかーし!鳥飼は何としても生き延びたかった!鳥飼は源三を囮にしてまんまと逃げたのであった!絶体絶命に陥った源三だったが、なんとその白熊の正体はリアルな着ぐるみであったのだった!





白井「過ぎた悪戯をしてしまって申し訳ありません、私は白井雪生しらいゆきおと言います」

源三に正体を暴かれた着ぐるみの男の白井は取りあえず、白井が使っているテントへと非難してその場で話を聞く事にした。

源三「んで、白井とやら。貴様は一体何様のつもりでワシを脅かしたんじゃ?ああん!」

相手が下手に出ているのを良い事に源三は上から目線の態度で横暴に出ていた。

白井「す、すいません!じ、実は私、大学を2年留年してようやく4年生になったんです」

源三「ほぉ、そいつは苦労人じゃったな。しかし、そんなの関係ねぇ!」

古いギャグで白井の言う事を一蹴した源三だったが、白井は縮こまりつつも話を進める。

白井「それで卒業に向けて就活をしたんですけど、全然上手くいかなくて80社連続不採用になってしまいました」

白井はそこまで言うと悲しみを思い出したのか涙を流し始めていた。

白井「うえ――――ん!うえ――――ん!」

源三「大の男がうえーんとか言いながら泣くな!」

源三が怒鳴るが白井の鳴き声は止まらない。

白井「だってだって!僕はプレッシャーに弱いんだ!いざ面接の時になると緊張しまくって、お腹が痛くなってそしてそして……お尻から出ちゃうんだー――――――!!」

源三「そりゃ、内定の一つも取れんわ」

白井の80社連続不採用の理由を源三はいかにも臭そうに鼻を摘みながらそう言った。

白井「そして最終的に追い詰められた僕はこうやって雪山に閉じこもって白熊の着ぐるみを着て、遊びに来るスキー客達を驚かすしかないんですよ――――――!!」

源三「どういうことじゃそりゃ!?」

理に全く適っていない理屈に源三はツッコミ役に回るしかなかった。

白井「普段はもっと下の方に降りてから驚かしてるんですけど、今日は珍しく頂上付近に人が来ていたんで、行き当たりばったり敵に驚かしました」

源三「しかし、この頂上付近から下に降りるのは中々時間がかかるじゃろう?よくそんな事をするの~」

白井「いえ、スノーモービルを使って降りてるんです」

源三「スノーモービルじゃと?」

白井「はい、テントの近くに青色のシートをかぶせてあったのがあったでしょ?あれの中にスノーモービルが入ってるんです」

その話を聞いた源三はテントの中にある豊富な食料も含めてとあることを思っていた。

源三「おぬし、就活で大苦戦しておる割には金銭的には随分と恵まれておる用じゃな」

白井「はははっ!お金の心配ならありませんよ!貸与型の奨学金を毎月15万円借りてますから!」

白井は涼しい笑顔で多額の奨学金を借りていることを言ってのけていた。

源三「貸与型の奨学金を借りていると言う事は、いずれは返さなければならんのではないのか?」

白井「はい……毎月15万だから一年でだいたい180万円、それを4年間いや、僕の場合は6年間で1080万円です……」

卒業と同時に6年間で借りた1080万円の借金を背負う事になると言う何気にかなり厳しい金銭的現状を改めて痛感する白井は……

白井「うえ――――ん!だからだから!僕はなんとしても就職しなくちゃいけなかったんですぅ――――――――!!」

源三「いちいち泣くなぁー――!」

しばらく源三は号泣する白井を怒鳴り散らすのだった。





白井「すいません、つい興奮してしまいました」

源三「思い出して泣くくらいなら最初から話す出ないわ、ワシも興味無いのじゃ……」

ようやく泣き止んだ白井とそれに付き合って疲れ果てている源三だった。

白井「取り敢えず、源三さんでしたっけ?驚かしてしまったお詫びにスノーモービルで下に降ろしてあげましょうか?あのお連れの人も探しますよ」

源三「おお、それは助かる……まてよ!?」

白井の申し出に一度は応じようとした源三だったがそこで源三はとある悪巧みを思いつき、気色の悪い満面の笑みを浮かべる。

源三「のぉのぉ白井よぉ~」

白井「な、なんですか?」

いきなり気色悪い声を出しながら白井の肩を組む。いきなり態度や接し方を急変させた源三に対して白井も白井も薄気味悪さを隠せない。

源三「簡単な事じゃ、お主は雪山に来たスキー目的の連中を驚かせたかったんじゃろ?」

白井「ええ、そうです……」

源三「ワシに任せんかい!ワシが協力して面白いものを見せてくれるわ!!ぐほほほほほっ!!」

テントからは源三の悪意に満ちた笑い声が響き渡ったのだった。





鳥飼「畜生!ますます吹雪いてきやがった!ますます降りられねぇぞ」

一方その頃の鳥飼は源三を囮にして何とか逃げおおせたものの、白熊(偽物)に対する警戒心からか大っぴらに動けなくなっているうえに日が暮れるにつれて天候が荒れてきたため降りようにもなかなか降りれなくなっていた。

鳥飼「かと言って、このままここでじっとしてまたあの白熊に襲われるのは御免だ。今は源三を食って腹を空かせてねぇはずだから、その間に逃げねぇとな」

もはや鳥飼は源三がすでにクマの餌食になったと信じて疑わず、しかもそれに関しては特になんとも思っていない様子だった。

鳥飼「どうにかしてスマホの電波が届く範囲の場所まで降りてみるか、んでもって助けと一緒に猟友会でも呼んで白熊の野郎をぶっ殺してもらわねぇとな」

何としてでも自分が助かる方法を模索している鳥飼だったが、その鳥飼にとっての脅威は意外にも真正面から迫っていた。

鳥飼「…………ん?」


グゥオ――――――!!


鳥飼「げっ!じょ、冗談だろ!?なんでアイツの方が先に下の方にいたんだよ!?」

うっすらと見えた大柄な獣の姿と雄叫びで鳥飼は早くも白熊が再び現れたと判断した。

白熊「グオ―――――!!」

鳥飼「冗談じゃねぇ!折角源三を餌にして生き延びたってのに食われて溜まるか!源三の野郎、もう消化されちまったってか!?」

下り坂の方に白熊が待ち構えていたので鳥飼は登って逃げるしかなかった。

白熊「グオォ―――――――!!」

鳥飼「クッソォ―――――!来るんじゃねぇクマ野郎!」

必死になって雪山を登って逃げまどう鳥飼、このまままっすぐと逃げても逃げ切れるわけがないので鳥飼は道を外れて森林地帯に向かって走り出す。

白熊「ぐるるるる」

鳥飼「…………」

巨大な木が生い茂っている森林地帯に逃げても白熊は近くを徘徊しているようで、鳥飼は息をひそめて震えながらじっとするしかなかった。

鳥飼「な、なんで俺がこんな目に遭わなくちゃならねぇんだ……!冗談じゃねぇ!まだまだやり残したことがあるってんだ!白熊なんかに邪魔されて溜まるか!」

そんな独り言をぶつぶつと呟いているうちにいつの間にか白熊が遠くに行ったようで唸り声が聞こえなくなっていた。

鳥飼「い、行ったのか……?もう大丈夫なのか?」

そろそろ脅威は去ったと思いたい鳥飼は当たりをキョロキョロとしながらゆっくりと立ち上がる。

鳥飼「い、いねぇ……や、やったぜ、お、俺は助かったんだ!」

白熊「ウグォ――――――――!!」

鳥飼「どわぁ――――――!!」

が、安心した矢先に白熊が大声で声を荒げながら二足歩行でこちらに向かって走ってきていたのだった。鳥飼は驚きの余りその場に倒れ込んでしまっていた。白熊は幸いにも座り込んだ鳥飼には気が付かずにそのまま走り去っていったのだった。

鳥飼「……し、死ぬ……寒さ以前に白熊に殺やれる……」

スキー山で何故か現れた白熊の脅威に鳥飼は命の危険を感じ続けるのだった。





源三「だははははっ!!鳥飼の奴マジでビビッてやがるのじゃ!ザマーみやがれじゃ―――――!!」

が、その白熊の正体は言うまでも無く、白井の白熊の着ぐるみを着ていた源三だった。自分を囮にした鳥飼に仕返しがしたい源三はこの作戦を思いつき、鳥飼を徹底的に怖がらせることにしたのだった。

源三「どうじゃ白井よ?奴の滑稽な姿を見たか?」

白井「うん、あの人、マジで慌てまくってたね、人って死にそうになるとああなるんだ~」

源三「ふぉふぉふぉふぉふぉ、これは面白くなってきたわい!鳥飼よ、真の恐怖はこれからじゃ!楽しみにもだえ苦しみ続けるがいいのじゃ!ふぉふぉふぉ!ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!」

鳥飼を追い詰めて楽しんでいる源三の姿を見て白井は真に恐ろしいのはクマではなく人間の悪意であると思い知ったのであった。

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