第88話 グルメ光津ですけどなにか?+源三が一人しかいないがゆえに
前回のあらすじ。
グルメ光津の昼食は凄まじかった。ファーストフード店でドカ食いをしてもなお腹は満たされず、平日のランチバイキングで店の食べ物を片っ端から食い荒らす勢いだった。そしてそんな怒涛のランチバイキングから精々数時間後の昼の3時頃だった。
光津「おやつの時間だな」
3時のおやつ。それは家に帰るのが早い子供が帰って食べる軽い完食である。そして光津は一日中、自由の身なので毎日のように3時のおやつを食べるのが日課である。
光津「あ、もしもし?そちらピザ屋さん?」
光津が電話したのはピザ屋だった。車を運転するのも億劫になっている光津は配達を頼んで直接運んでもらおうと思っていた。
光津「まずね照り焼きチキンピザのLサイズでしょ。それとマルゲリータピザのLサイズも一枚ね」
いきなりLサイズピザを二枚注文。これはずべて光津が一人で食べる分である。
光津「あ~、マジで腹減ったよ。早く届かねぇかな~?」
自宅にピザが届くまで精々30分少々。それまで光津は待つのが辛抱ならず、家にあったカップ麺を2杯食べて待つのだった。
☆
光津「さて、晩飯だ~」
更にその数時間後には休む間もなく光津の晩飯が始まる。弁当屋に車で行って来た光津は幕の内弁当、牛カルビ弁当、親子丼弁当を買ってきていた。
光津「もうちょっと買えばよかったかな?」
一般人にしてみれば一人分としてはかなりの量であったが光津にとっては全然物足りない量で買ってきた弁当はあっという間に平らげてしまう。
光津「よし、もうひと遠征してくるか!」
光津はまた車に乗って、再び食事目的のドライブを初める。
光津「お、寿司屋発見!」
回転ずしに目を付けた光津は引き付けられるように店に入る。
光津「そこの席貰った!」
一つだけ開いていたカウンター席に滑り込みでデカい尻を乗せて座る光津。両隣の客はその身体に圧迫されて少し身を引く事になる。
光津「もう何でも食べちゃうよ!ここの回転寿司で嫌いなのなんてないからね!」
その言葉通り光津は流れてくる寿司を次から次へと手にとっては食べてを繰り返していた。
客「なぁ、いきなり寿司が少なくなってきたな」
客「アイツが来てからだよ、俺達の方に届く前にドンドン取っちまう……」
それによって光津の後に寿司が流れてくる位置に座っている客達はいきなり満足に寿司が流れてこない状況に陥ってしまう。
光津「3連食いとか4連食いなんて温い温い!男なら10連食いくらい当たり前だっての!」
こうして光津は回転ずしでも片っ端から流れてくる寿司を食らい尽すのだった。
☆
光津「あ、あれ、でられないぞ!」
そんな光津に思わぬトラブルが起きていた。帰りの車の中でも光津は腹の音を感じ取って、車内にあったお菓子を運転しながら食べ続けていたのだが、家に到着して車から出ようとしたら膨らんだ腹が邪魔になって車のドアから出られなくなってしまっていた。
レスキュー「油を使って身体をすべるようにして何とか出してみる?」
その事態に光津はレスキュー隊を呼びだしてまでの騒ぎになっていた。
光津「あの、油使うならなるべくオリーブオイルにしてくれない?あれが一番好みなんだからさ!」
レスキュー「別に料理目的で油持ってくるわけじゃないからね」
結局、大量の植物油を使って光津の身体は何とか車内から出すことに成功していた。
レスキュー「事故ったわけでもないのに自分の車からでられなくなるなんて初めてだよ」
レスキュー「いや、これはある意味事故だ。車の中にいた短時間で出はいりが出来なくなるくらいに腹が膨らむこと自体がな」
こうして、光津はレスキュー隊員によって助けられたのだった。自分の車に腹が原因で閉じ込められたなどと言うの彼らにとっても初めてのケースだった。
☆
光津「ハァ……ハァ……」
太り過ぎで身体が重くて自由に動かないはずの光津だが今日は無理してアパートの屋上にまで登っていた。
光津「ふふふ、やってやがるやってやがる」
光津が見ているのは、夜に外を走っている人たちだった。彼らはスポーツの秋を満喫している人達で、夜の街道をスポーツシューズを履いて走っている。
光津「食欲の秋に下らねぇ事しやがって」
そんな人たちの事が何となく気に食わない光津は生卵を手に取ってそれを走ってる人に投げつける。
ランナー「うわっ、なんだよ一体!?」
光津「はっはー!当たった当たった!夜中に走ってるからそうなるのさ!」
ランナー「テメェ、何してやがんだデブ!」
光津「まだまだあるぞ!これも食えよ~」
光津は怒るランナーに対して更に卵をぶつけていた。
ランナー「テメェ!そこで待ってろよ!」
ランナーは怒りに任せてそのまま光津がいる、アパートに向かおうと道路に飛び出すが…
ランナー「どわぁ!」
走行中の自転車にぶつかって吹き飛ばされていた。
光津「ザマァ!罰が当たったんだよ!」
こんな感じで光津の一日は終わったのである。一日中バク食いを楽しんで、そして最終的に運動に奮闘している者に卵を投げて終わるのだった。
※ワシがもう一人いれば……
とある昼下がりの午後の出来事であった。
源三「ふはは!ワシの名前は公園の王者『公園キング』じゃ――――!!」
源三は頭に王冠(段ボール製の手作り)を被り、背中に赤いマント(家のカーテンを破いて作った)を羽織った状態で公園の王者を気取っていたのだった。
子供「…………」
子供「…………」
いい歳した高齢の大人の見っともない姿に公園の子供たちは無言になっていた。
源三「分かっておるかガキ共が!ワシは公園の王者なんじゃぞ!この公園の支配者じゃ!この公園にいる連中は皆、ワシに従うんじゃ――――――――――!!」
子供「あっちで、デュエマやろ~ぜ」
子供「俺はバディファイトしたいんだけどな~」
そして、源三は子供達に無視されるのであった。
源三「ふふふ、どうやら貴様らはこの公園キングが如何に恐ろしいかを全く理解しておらんようじゃな」
無視された源三はガタガタと震えながら怒りに身を委ねるのであった。
源三「貴様らはワシの逆鱗に触れた!その罪を今こそ償うのじゃ――――――――――!!」
数秒後
子供「ところでさ、3組のみかちゃんに告白した?」
子供「いや~、常に隣にデブ代がいるから声かけ難くてさ~」
源三「つ、償いを……」
数秒間で完膚なきまでに叩きのめされた源三を放置して子供たちは色恋沙汰の話をしていたのであった。
☆
来牙「で、そんな事があったからあんな風に落ち込んでるのか」
源三は帰宅後もショックが大きかったためか、食卓の机の上に乗って号泣していたのであった。
源三「しくしくしく……めそめそめそ……ぴかぴかぴか」
絵梨「あれじゃ、ご飯食べられないよ、て言うか『ぴかぴか』って何?」
食卓の机の上で号泣する源三は来牙と絵梨にとって迷惑この上なかった。
楓「お爺さん、いい加減に机の上から降りてください!食事の邪魔ですよ」
源三「せめて……せめてワシが……」
絵梨「せめてお父さんが何?」
来牙「どうせ必殺技があればとか言うんだろ?」
楓からも降りるように言われたのだったが、源三はとあることを悔いてこう言ったのであった。
源三「せめてワシが二人いれば!!」
そう、源三が悔いていたのは自分が一人しかいないことであった!
絵梨「…………」
来牙「…………」
楓「…………」
源三「せめてワシが!ワシが一人ではなく二人じゃったら!あんなクソガキなんぞに負けることなんてなかったんじゃ――――――――!!」
自らがたった一人の存在であることを嘆く源三!果たして彼の願いはかなうのであろうか?次回に続けます!




