第78話 奉仕活動で被災地ボランティアじゃ!
~源三のゴールデンウイークを最後まで楽しめ~
源三「ゴールデンウイークもあと僅かとなった!風前の灯火と化した残り少ないゴールデンウイークで出来る限りの思い出作りをするのじゃ!」
長嶋三番「…………」
源三「さてと、かなり久々に登場した長嶋三番じゃが今日は珍しく大人しいではないか」
長嶋三番「…………」
源三「さてと犬である貴様にはゴールデンウイークの尊さを理解出来まい、なにせ貴様は年中休みみたいなもんじゃからな」
長嶋三番「…………」
源三「ふぉふぉふぉ!一体どんな思い出を作ろうかの~?ワシの源三ガールズの面々を集めて花火大会でもするかの?『突撃!隣の家で花火大会』みたいな感じで人の家に押しかけて花火大会も楽しそうじゃの~」
長嶋三番「なぁ、源三よ」
源三「それともスイカ割りか?スイカを割りまくるか?普通にスイカを割っても面白くないから『突撃!隣の家にスイカ割り』と言う表題で、スイカを投げまくって割るのも楽しそうじゃな~」
長嶋三番「聞けよ人の話!」
源三「なんじゃブルドックが!ワシがゴールデンウイークの過ごし方を考えておる最中に邪魔するでない!て言うか貴様は人じゃなくて犬じゃろうが!て言うかなんで貴様が喋っているんじゃ!こんな事今までになかったじゃろうが!久々に登場して何なんじゃ貴様は!?」
長嶋三番「通信教育で人間の言葉を習ってるんだよ。まだ人前じゃ話さないがな。それよりもオメェ俺にゴールデンウイークの尊さなんて分からねぇとか言ってやがったけどよ……オメェだって爺だからゴールデンウイークとかねぇだろうが!」
源三「な、何じゃと!ワシにはゴールデンウイークが無い!?年齢制限か!?ゴールデンウイークは一定の年齢を過ぎるともらえなくなると言うのか!?」
長嶋三番「それ以前にテメェこそ年中休みみたいなもんじゃねぇか」
源三「人をニートみたいに言う出ないわ!て言うか貴様が喋ったせいでワシのゴールデンウイークの話が薄れてしまったではないか!」
長嶋三番「さてとそろそろ授業の時間だな」
源三「犬が喋るな!」
~ボランティア活動じゃ~
ここは2011年3月に発生した被災地である。源三達は色々と事故を起こして、その罰としてボランティア活動という形で被災地での復興作業の手伝いを課せられていた。
源三「あ~、さっさと帰りて~、ソープ行きて~、て言うか豚骨ラーメン食いて~」
鳥飼「ボランティア、そいつは無賃金労働を如何にも慈善活動っぽく言い換えただけだぜ」
薮井「ええい!元敏腕院長である私が肉体労働など考えられん!さっさと私を解放しろ!」
このように、やる気皆無、反省の色0、態度ばかりがデカい三人の老人たちである。
警官「貴様ら!ボランティア活動で実績がないと判断された場合には実刑を食らうと思え!」
源三「偉そうな警官め!今に見ておれ、隙を見せたが最後、この世の地獄を見せてくれるわ!」
鳥飼「立場逆転が楽しみだぜ、あの野郎、何時までも優位に立てるなんて思うなよ!」
薮井「私が復権した暁には、奴がいかなる病に侵されようとも絶対に見捨ててやるわ!」
見張りの警官に対する反骨心はMAXの源三達!被災地の為に働こうなどとは最初から皆無である!
心愛「初めまして、この地区で炊き出しをさせて頂いております。ボランティア団体の甘野心愛と言います。大学を休学中の20歳でまだまだ経験は浅いですけど、被災地の方たちが笑顔になれるように懸命に尽させて頂いています」
源三「心愛さん!ワシはお主の慈愛に満ちたボランティア精神に心打たれたのじゃ!」
鳥飼「俺もアンタの力になるぜ!アンタの力になれるなら労働も心地いいってもんだぜ!」
薮井「ふむ、私の医師としての知識を貴方に活かしてもらいたい、健康的な生活を送るには私の医療の知識と貴方の料理が必要とされるだろう」
源三達の意識は変わった!ボランティアに精を出す美女を目の当たりにして彼女に好かれたいという願望が源三達の士気を向上させたのであった!
心愛「え~、それでは、炊き出しのお手伝いをお願いしたいと思います。豚汁を作ってありまして、あれをお鍋からお椀に移してそれを配っております、皆さんにはそれを手伝ってもらいたいと思います」
心愛の言う通り、炊き出しには人が並んでおり、ボランティア団体の人達がその列を整えたり、順番に豚汁を渡していた。他にも食べ終わったお椀と箸を回収もしている。
源三「うむ、ワシに任せろ。心愛ちゃんが楽を出来るようにお主の分まで働こう」
源三はトレーに豚汁を何杯か乗せるとそれを持って豚汁を配り始めていた。
鳥飼「俺もやるぜ!中には年で長時間並ぶのがキツイ奴もいるかもしれねぇしな!」
薮井「さぁさぁ!心愛さんが作った素晴らしい豚汁を私が振る舞おうではないか!」
警官「現金な連中め……!私の時とは態度が大違いではないか……!」
監督役の警官に言われていた時とは全く態度を変えて精力的に働く源三達に対して苛立つ警官であった。
☆
源三「あ~、力仕事なんて聞いておらんのじゃ~」
鳥飼「ったく、やる気なんて出ねぇな~」
薮井「全く!この医師である私になんてことをさせるのだ!」
一転して源三達はやる気をなくしていた。
警官「貴様らなんだそのたるんだ態度は!さっきのやる気はどうした!」
炊き出しのボランティアを終えた源三達は今度は瓦礫撤去のボランティアを行うことになったのだったが、そこで炊き出しをメインで担当していた心愛とは別れることになってしまい、源三達のやる気はあっという間に下降!そして、やる気を失った源三達の前に現れた人物がさらに彼らの士気を加工させる要因となった。
竹田「さぁさぁ!皆さん頑張って瓦礫撤去をしましょう!肉体労働は良い汗かけますからね!筋トレになって一石二鳥!皆さん年齢に負けずに頑張りましょう!」
このむさ苦しい筋骨隆々の上半身裸の筋肉男がこの瓦礫撤去で源三達の指導をすることになった竹田である!若く可愛らしい女子大生から一転して半裸の筋肉男とのボランティア活動になったことも源三達のやる気を削ぐ事となっていた。
源三「薮井、そっちにデカい瓦礫があるじゃろうが、さっさと運んだらどうじゃ?」
薮井「黙れ源三!私は度重なる肉体労働で既に体力の限界だ、暇を持て余して余裕がある貴様がやれ!」
鳥飼「あ~あ、なんで俺がこんなことしてんだっての!若い女もいねぇし、もう眠っちまいてぇ」
源三「鳥飼!貴様何を勝手にさぼっておるんじゃ!貴様も働かんか!」
薮井「源三!そういう貴様も作業を抜けようとしているだろうが!」
鳥飼「うっせぇんだよテメェら!うだうだ言ってねぇで働け!」
警官「全員うだうだ言ってないで働かんか―――――!!」
争いを始める源三達に対して監督役の警官が怒鳴り散らしていた。
竹田「どうしました皆さん?筋肉を使って瓦礫を撤去してください!ハッスルですよハッスル!」
むさ苦しい竹田が今度は海パン一丁でマッスルポーズを取る姿を見せつける。
源三「……なんでもない」
鳥飼「……さて、作業するか」
薮井「…………」
警官「……うむ、それで良い」
4人ともむさ苦しい筋肉男に絡まれることを嫌がって、素直に作業を続けることにしたのであった。
☆
心愛「はい、皆さんお疲れさまでした。どうぞ召し上がってくださいね」
瓦礫撤去を終えて一休みとなる、心愛が炊き出しの豚汁を源三達に配ってきてくれた。
源三「いや~、心愛さんが作ってくれた豚汁さえあればいくらでも働けるのじゃ~、まさに荒野に咲いた花じゃな」
鳥飼「こりゃウメェ!アンタがいてくれるだけで復興は進むってもんだな!」
薮井「うむうむ、これは健康にも気を使った素晴らしい料理である!私もぜひ貴方に協力したいのである!」
心愛の顔を見た途端に源三達は凛とした表情と化し、不満など全く感じさせない態度と化していた。
心愛「それにしても信じられません、お爺さん達のような陽気で明るい方たちが問題を起こして、奉仕活動としてボランティアに参加しているなんて」
源三「いや~、あれはなんか魔が差してしまったんじゃな!しかし、お主の優しい笑顔を見たおかげで目を覚ましたんじゃ!ワシはこれからはボランティアに精を出すんじゃ!」
心愛「まぁ、源三さんってばお世辞がお上手ですね~」
源三達の普段の姿を知らない心愛は源三達の事を陽気な老人という好意的な捉え方をしてしまっていた。
鳥飼「ああ、人の役に立つってのもなかなかいいもんだな、若いアンタに教えられたぜ、全くアンタは偉いもんだぜ」
心愛「そんな、お爺さん達の方が偉いに決まっています、私から見てずっと人生の先輩なんですから」
気をよくした源三達は自分たちの心証を心愛に対して高く見てもらおうと積極的に話を広げようとしていた。
薮井「これでも私は元医師である。私はこの知識を貴方の復興活動に役立出たい、是非とも協力させてもらいたい」
心愛「まぁ、とても立派な人だったんですね。お医者さんがいてくれると助かります」
心の中で源三達は密かに共闘戦線を張っていたのである!
源三(よいか!心愛ちゃんの前では足の引っ張り合いは無しじゃぞ!)
鳥飼(分かってるぜ、こんなところで争って、全員そろって心愛から嫌われたら元も子もねぇからな)
薮井(必ず、あの娘と仲良くなって、私たちの中から結婚できるものを出すのだ!そうすれば全員に平等に3分の1の可能性があるのだからな!)
まさにゲス男たちである!復興を名目に女に近づこうとする源三達であった!
心愛「それはそうと、あの監督役の警官の方はどうしたんですか?姿が見えませんが?」
源三「奴はいい加減な奴での、どこかでサボっておるんじゃろう!」
心愛「そうなんですか?とてもそんな人には思えないんですけど……」
鳥飼「人は見かけや振る舞いじゃ分からねぇからな!心愛も気を付けて騙されねぇようにしろよ!」
薮井「うむ!君のように人の良い娘が騙されるのは心苦しいであるのだ!」
心愛「はぁ……そうですか……」
実はその頃、警官は源三達の策略によってトイレに監禁されていたのであった!監視されている立場で若い女性に近づこうとする行為に目を光らせていた警官は源三達にとって邪魔だったので共闘した源三達によってパンツ一丁でトイレに閉じ込められていたのだった!
鳥飼「にしても、TVで見てた以上に大変なんだな被災地ってのは」
心愛「はい、私も初めて見たときはショックでした、まさかここまでだったなんて……」
今の鳥飼の言葉は、実際に本気で思った事であり、源三達も同じことを考えていた。
源三「全くじゃ、被災地で被災した者たちは本当に浮かばれん……」
薮井「こんな事が実際に目の前で起こったら、私たちもどうなることやら……」
心愛「はい、そう考えると怖いです。自然の驚異の恐ろしさの前には人なんて無力ですから……」
そして、このあと三人は揃って、あの失言を口にしたのであった!
三人「「「いやぁ~、東北で良かったなぁ~」」」
心愛「え……?」
三人のその言葉を聞いた心愛はショックを受けて虚ろな目で思わず源三達の方を見る。
源三「いや~、こんな大震災がワシらの住んでるところで起きたら溜まったもんではない、東北で起きたのは不幸中の幸いじゃったわ~」
鳥飼「全くだぜ!こんな大惨事がこっちで起きたら溜まったもんじゃねぇ!東北でまだ良かったぜ!」
薮井「ふははははっ!!そうだな!遠くで起きた分には実感がないが、実際に見てみると、つくづく自分たちの住んでいる場所じゃなくてよかったと思えるのだ!」
心愛「…………」
源三達は気が付いていない、自分たちを見る心愛の目が冷め切ったクズを見下ろす目つきになっていることに。
心愛「最低」
三人「「「…………え?」」」
その言葉を聞いて、ようやく源三達は心愛の目つきの変貌に気が付くが時すでに遅く。
心愛「奉仕活動が終わったらさっさと帰って下さい。貴方たちの手をなるべく借りたくはありませんから」
こうして、源三達は奉仕活動を終えるまで心愛と一言も言葉を交わすことは無かったのであった!




