第73話 カードゲームで勝つ!+映画館に誘うのじゃ
~こんな展開あるの?~
源三「カッコいいな~」
絵梨「あ、遊○王の第5作見てる」
源三「カードさえあればどんな敵も恐れる事の無い歴代の主人公達、まさに理想の英雄像じゃ」
絵梨「あれはカードゲーム中心の世界だから有り得るんだよ。毎回主人公達が活躍する舞台ってデュエルが中心の街とかだしね」
源三「ワシは今日からデュエルキングじゃ」
絵梨「いきなり王冠被ってる……」
源三「カードは絵梨が小学生の頃に集めておった物を拝借するのじゃ!」
絵梨「別に良いけど、余り物のカードで大丈夫なの?」
源三「真のデュエリストはどんなカードも自分の手足のように使いこなしカードと心を通じ合える事が出来ると初代の主人公が言っておったのじゃ!」
絵梨「お父さんはデュエルキングじゃないし……」
源三「と言うわけで、ちょっくらデュエルでヒーローになりに行くのじゃ」
絵梨「あくまでカードゲームだから無茶しないでね~」
☆
不良「オラオラ!どこ見て歩いてんだよ!」
不良「肩にぶつかりやがって、怪我してたらどうしてくれってんだ!」
少女「ご、ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!」
少女は不良たちに絡まれて無我夢中で謝り続けていた。
不良「けがの治療代払ってくれるんだろうな、ああん?」
少女「えぇ!?」
不良「金がねぇってんなら身体で払ってもらうまでだからな!」
少女「え、えっと、えっとぅ……」
ここで反発する勇気も無く、少女は泣きながらガタガタと震えて怯えていた。
源三「止めんか屑共!見てて片腹痛いわ!」
不良「ああん、何者だテメェ!」
そんな少女を源三が見捨てる事は無かった、今彼は自分がヒーローのような存在だと思い込んでいるからだ。
源三「か弱き乙女を相手に二人係で寄ってかかる小悪党どもが!ワシがデュエルで成敗してくれる!」
さぁ、ここからの展開はカードゲームをテーマにしたアニメでよくありがちな展開である。主人公たちが悪人を相手にカードゲームで勝負を挑むと決まって相手の悪人もカードデッキを所持していてそのままデュエルとなるのである。
不良「上等だ爺が!骨の一本折れても文句言うんじゃねぇぞ!」
不良「舐めた真似口利いてられるのも今の内だぞコラァ!」
源三「覚悟せい!ワシの魂の籠ったデッキで貴様らを打ちのめして―――――」
不良「んなもん知るかバーカ!」
不良「何カード見せびらかして威張っとるんじゃボケェ!」
源三「ぎょえぇ――――――!!」←袋叩き
が、それはあくまでカードゲームをテーマにしたアニメの話。この通り実際にカードゲームを挑まれて、応えるような悪人などいないのが当然である。ちなみに、デュエルとは決闘を意味する言葉なので迂闊に使いまくるとこのようにボコられるので注意しよう。
数分後
少女「お爺さん、大丈夫ですか?」
源三「何て事は無い、ワシのライフポイントは1ポイントも削られておらんぞ」
少女「で、でも、あちこち殴られたけど……」
源三「ライフポイントが0にならない限り常に諦めん!それが歴代のデュエルキングじゃった!」
少女「な、何の話を……」
源三「さてと、ワシは腹が減ったのでこの当たりで失礼させてもらうとしよう」
源三はそのまま自力で何とか立ち上がって、腹ごなしをしにファミレスに向かった。
源三「チキン南蛮と豚骨ラーメンとフルーツポンチとオム焼きそばと冷やしうどんとマルゲリータピザとナポリタンパスタとたらこパスタとビーフハンバーグとレアステーキとレアチーズケーキとコーヒーゼリーとタマゴサラダとオニオンスープとコーンスープとコカ・コーラとサイダーとメロンジュースとアップルパイを持って来てくれ」
店員「あ、あの、源三をもう一度……」
源三「まだ覚えておらんかったのか!前々回の源蔵物語で注文した内容と全く同じじゃろうが!」
店員「な、何の事やらさっぱりで……」
源三「全くこの愚図が!もう一度注文を言ってやるから今度はしっかりと覚えんか!」
店員「よろしくお願いします」
源三「よいか、ワシの注文は…………ライス一人前よろしく~♪」
店員「……畏まりました」
こうして源三はファミレスでライツを一人前注文した、値段は並盛だったので150円だったのだが。
店員「お会計は150円になります」
源三「ふふふ、ワシから金を取りたければコイツで勝つことじゃな」
そう言って源三は得意げな表情でカードデッキを見せつける。さて、カードゲームをテーマにしたアニメの場合、主人公が飲食代を巡って店主にデュエルを挑んだり、そもそも金が足りなかったりすると、何故か店側の店主も実はカードを持っていると言うのがお決まりのパターンでそのまま飲食代を賭けて対決と言う展開になりがちである。
店主「お客さん、金払うか警察に世話になるかこの場でくたばるかどれ
か選びな(ムキムキ)」
源三「お金払いま~す」
が、それはあくまでカードゲームをテーマにしたアニメの世界の話であって、実際にガードゲーム対決の勝敗で飲食代をチャラにしてくれるファミレスの店主などいるわけがないのである!
☆
源三「はぁ、中々上手くいかんの~」
絵梨「当たり前じゃん、何言ってんの?」
源三「折角切り札となるオリジナルカードを作製したと言うのに」
絵梨「オリジナルカードを作製?」
源三「うむ、パソコンとプリンターを使ってカードの絵柄とテキストを変更して作ったオリジナルカード『勝利の騎士 ドラゴンナイトゲンゾー』じゃ」
絵梨「どんなカードなの?」
源三「攻撃力8792億 守備力4579億で神属性の戦士族じゃ」
絵梨「…………」
源三「このカードの効果は召喚した時点でプレイヤーの勝利が確定し、相手が女性プレイヤーであれば勝利者の奴隷にすることが可能となると言う効果で――――――あれ、絵梨やどこ行ったのじゃーい?」
カードゲームは基本的に年齢に関係なく遊んでいいと思います、だけど勝手にオリジナルカードを偽造して遊ぶのは止めましょう。ちなみに、作者のマロは小学生の頃にデュエルで勝負して倒した相手に宿題をやってもらった結果、一発で担任の教師にばれてこっぴどく怒られたそうです。
~映画に行くのじゃ!~
源三「見るがいい!映画のチケットが3枚もあるぞ!」
源三は鳥飼と薮井に映画のチケットを見せていた。
鳥飼「おお!そいつは今話題の4月のライオンの映画のチケットじゃねぇか!」
薮井「しかも前編と後編を両方見れるとは素晴らしい!」
源三「これなら、人数分あるから、誰も文句はあるまい」
源三は偶然なんとなくやってみた福引で当たりを引いて、見事に映画のチケットを手に入れたので、珍しく気前よく鳥飼と薮井を誘っていた。
鳥飼「そんじゃ行くか!三人で映画に行くとするか!」
薮井「はははっ!たまには映画も良いものだな!」
こうして、鳥飼、薮井、そしてポールの三人は4月のライオンの映画を見に行くことにしたのであった。
源三「…………」
そして、その中にはチケットを持ってきた源三は含まれていなかったのであった!
源三「なるほど……ワシは無視というわけか……」
源三は笑顔のままライターを着火した状態でヘアスプレーを放出する。
源三「ふ・ざ・け・る・なぁ―――――――――――!!」
鳥飼・薮井「「あちあちあっち!!」」
源三「貴様もじゃコラァ――――――!!」
ポール「お~、熱いYO!」
源三「なぜ、チケットを持ってきたワシが置いて行かれるんじゃ!というか、いきなり出てきたそのポールとかいうやつは何者じゃ!」
鳥飼「コイツは、芸名ポール。本名は木下仁志。岐阜県在住の45歳で事務所無所属のお笑い芸人だ」
源三「ほぼ無職の中年の日本人じゃろうが!そんな知らんやつを連れてくるな!」
薮井「やれやれ、そうまでして映画に行きたいとは、仕方ないポールにはチケットを源三に譲ってもらうしかあるまい」
ポール「良いYO。大らかな心でこのチケットは譲るYO」
源三「元々ワシのもんじゃろうが―――――!!」
☆
源三「映画館に来たのじゃ!」
源三達は一番近場の映画館に来ていた。
鳥飼「おし、客席が空いてるうちに入っちまおうぜ」
薮井「注目の人気映画とだけあって、大勢来ているようだな」
源三「まて鳥飼に薮井よ!」
早速場内に入ろうとした鳥飼と薮井であったが、源三は二人を止めていた。
薮井「どうしたというのだ、源三?」
源三「ポップコーンを買うから金を渡してくれ」
鳥飼&薮井「「…………」」
源三はにやりとした笑みで両手を出していた。そして、見せびらかすようにチケットをひけらかしていた。
鳥飼「その手は、チケットを使いたかったらポップコーンをおごれってか?」
源三「な~に、強制ではない。あくまでお主らの善意次第というわけじゃ」
源三は薄気味悪く笑いながら鳥飼と薮井を見下ろす。
源三「お主らに善意があるか否かでポップコーンを買うかどうかが決まる、ただそれだけの事じゃ―――!!」
結局、鳥飼と薮井は源三の分もポップコーンを買ったのであった。
源三「ぬおっ!席がほぼ満席じゃ!どこに座れば良いんじゃ……」
人気の作品とだけあって、源三達が入ったころには既にほとんどの客席が埋まっていた。
鳥飼「自由席ってのはこういう事があるから厄介だな~」
薮井「最初から指定席にすればよかったのではないか?」
源三「ええい!一々文句を言う出ないわ!とにかく空いている席を探すんじゃ!最低でも空いている席を一つは探すんじゃぞ!」
鳥飼「なんで最低でも一つなんだ?俺たちは三人だぞ」
源三の言っていることの意味を鳥飼は聞いてみる。
源三「決まっておる!ワシはチケットをわざわざ当てて来ておるんじゃ!今さら席に座れないなどあってたまるか!ただで来ておるお主らは最悪、立ったまま見てても良いじゃろうが、ワシはそういうわけにはいかんのじゃ―――――!!」
鳥飼&薮井「「…………」」
鳥飼と薮井は黙ったまま席を探すことにしたのだった。
鳥飼「おい、あそこなんてどうだ?」
薮井「なるほど、あそこなら確かに源三を座らせるに良いな」
そして、二人は源三達の為に空いている席を見つけたのであった。
源三「お主ら~、ちゃんと席は見つかったんじゃろうな~?」
映画が始まる前だというのに源三は立ったままポップコーンを食べながら大声を出していた。
鳥飼「おい、源三。空いてる席が見つかったから座れよ」
薮井「見つかったのは一つだけだったからな、我々はその辺で立ってみるとしよう」
源三「そーかそーか、まぁ、仕方ないのじゃ!流石は人気作品とだけあって満席じゃな~、お主らも今度は自分でチケットを手に入れて来るんじゃな~」
得意げになって笑っている源三を鳥飼と薮井が空き席に案内する。
源三「おお~、やっぱり席に腰かけてポップコーンを食いながら見る映画が最高じゃ!さっさと始めやがれ!もう、最新映画の予告とかはどうでも良いわぁ―――!!」
が、源三は気が付いた、自分の席の前の男がやたらデカくて前が良く見えないことに……
源三「お~い、お前さん。デカいくせに前の方の席に座るな~、ワシが見えんじゃろうが~、聞いとるのか~?」
すると源三の意見を聞き入れたのか、前の席の男は立ち上がる。
源三「あ、立ち上がるとより一層デカいんですね……」
立ち上がった際の大きさは2メートルに達する大男であった。
大男「文句あるか?」
源三「い、いや~、わ、ワシはただ……席をちょっと変わって~…」
大男「文句がねぇなら黙って今の席に座っとらんか―――――――!!」
源三「はいぃ!座ります座ります!」
こうして、源三は映画を座ってみることが出来たのだった。




