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2輪目
「中山さん。」
入学式を終え新しい教室で本を読んでいると女子3人のグループに話しかけられたのは中山恵那だった。
返事もせずに顔をあげると1人が言った。
「また同じクラスね。残念。やっと離れられると思ったのに。」
他2人の女子が笑う。それと同時に周りからの視線が恵那に集まる。
「あら。そう思ってるのは貴方だけじゃないはずよ。少なくともここにいるもの。」
恵那は冷たい表情で言った。
すると女子3人は面白くなさそうに去っていった。
くだらないやつら。恵那は心底思った。
恵那は先程の女子に中学校から陰湿ないじめを受けている。けれど恵那はその事を気にも止めていない。何時だって恵那は冷静を保っている。それが気に入らないのだろう。
新しい季節の中、気分を紛らわすため再び本に目を移した。
窓際の席で開いていた窓から桜の花びらが恵那の本に挟まっていた。