1/2
1輪目
藤堂あや乃は電車の中で1人憂鬱そうな顔を浮かべていた。
今日はあや乃にとって新たな節目 高校の入学式だというのにあや乃の母は仕事の関係で来ることが出来なかった。
昨晩までは来ることになっていたが今朝方母の務めている病院での出勤令が出たため行かざるを得なかった。
「...はぁ。」
周りを見渡せば真新しい制服を来た生徒がちらほら見える。親と仲良く話している中で自分だけ1人でいるのは惨めに思えて小さくため息がこぼれ落ちる。
ふと窓に目をやれば桜が満開に咲いている。
「大丈夫かな...」
9:04発の電車の中であや乃は1人孤独と戦っていた。