ゆずる
あれから1年がすぎた。
ほたるはあれから町に留まり、ゆうすけさんのところで居候をさせてもらっている。
あたしとしては面白くない。
「……男と女が同じ屋根の下で暮らして大丈夫なのー…?」
「え?ああ。
私何年もゆうすけさんと暮らしてるんだよ?
いまさら何かあることなんてないって。」
「うぬぬー…!」
それでも、そうだとしてもやっぱり面白くない。
「それに、ゆずるが高校を卒業したら一緒に暮らせるでしょ?
がまんがまんだよ、ゆずる。」
あたしはほたると一緒に暮らす約束をしている。
高校を卒業したら家をでて一緒に暮らす。
あれからゆうすけさんの家に遊びに行くことが多くなった。(ほたるに会うために)
ゆうすけさんがいようがいまいが行く。
あの日、ほたると一緒にゆうすけさんの家に戻ったときゆうすけさんにお礼を言われた。
年上の人にあんな丁寧にお辞儀されたのは初めてだった。
なんでかは知らないけどそれだけ大事に想っているんだろうな。
なんか嬉しいような悔しいような。
あとゆうすけさんの家に行くとき、ももがよくついてくる。
「暇つぶしよ、暇つぶし。」
ももは学校では相も変わらずぶりっ子っぽい感じだ。
でもゆうすけさんといるときのももは素をさらけ出しているのかぶりっ子のぶの字もない。
気でも合うのかな。
まぁ、あたしはこっちのもものほうが好きだな。
「もも……ありがとね。」
「なにがさ?」
「んー、いろいろかな。」
うん、いろいろ。
あたしのことを好きって言ってくれたこととか。
ももがいなきゃあたしはほたるを追いかけなかったであろうこととか。
「……はは、お礼なんて言われてもなんも嬉しくないわね。」
そう言いながら寝ているゆうすけさんに蹴りをいれて一緒に外に出て行ってしまった。
なんか悪いことしたなぁ。
「……ねぇ、ゆずる。
秘密の場所に行かない?」
「ん、いいねー!
にしし、いこいこー!」
なんであたしがほたるのことを知っていたかは未だにわからない。
だってあたしはほたると出会ってなかったのに。
でもそんなこともうどうでもいいんだ。
またこうしてほたると過ごせてるんだから。
「私はゆずると一緒にいて本当にいいのかな?」
過ごせて……………………んん?
「どういうこと?」
「もちろん今は私が想像しうる以上に幸せよ。
ずっと続けばとも思ってる。
でも私はもう30を超えたおばさんで自分を証明できるものも戸籍もないから働くのも難しいわ。
だからこれからは、これ以上にもっとゆずるやゆうすけさん、もしかしたらももにも迷惑をかけていくかもしれない。
幸せだけど不安なの。
これからもゆずると一緒に……
「ほたる!」
一緒にいちゃいけない。
一緒にいれない。
一緒にいるのが怖い。
もうたくさんきいたよ。
「……ゆずる………?」
「にしし!」
ほたるが弱音を吐くならあたしは何度だって言ってやるから。
何度だってあたしの我儘に付き合わせてやるんだから。
「一緒にいてよ、ほたる!」
そうだ、ほたると一緒に働ける仕事を探そう。
カフェなんてオープンさせたらどうかな。
探偵事務所も捨てがたいな。
まぁほたると一緒なら何でもいいんだけど。
あたしはずっとほたると一緒だよ。
ずっとずっとずっと一緒だよ。




