もも
「………はぁ……
なにやってんだか……」
そう言いながら頭を掻きながら呟く。
学校に来なくなったゆずるをたまたま登校中に見かけたから後をつけてみた。
その結果がこれだ。
ほたるが何なのかを隠れながらドア越しに聞いた。
ほたるはゆずるのために自分の身を捧げたバカみたいだ。
ほんとバカ。
ももには真似できない。
なんでゆずるがそのバカのことを覚えているのかは結局わからない。
わからないけどその話を聞いてうつむいたまま動かないゆずるに腹が立った。
本当は追いかけたくてしょうがないくせに。
ももにはわかる。
だから殴った。
「……これ以上女子高生が俺んちに来るとご近所さんから変な目で見られるんだが…」
「はぁ?おじさん誰よ?」
「むしろお前が誰だよ?
ここ俺んちだから!!」
「ももはももだけど!?」
「あー…めんどくせー。
もういいから出てってくれよ。」
「いやよ。ももはここでゆずるを待つんだから。」
「………そうかよ。
もう好きにしてくれ。」
面倒くさそうにそう言ってそのおじさんは布団を頭までかけて横になってしまった。
「……よかったの?」
「あー…なにがだよ?」
面倒くさそうに布団の中から答えるおじさん。
たぶん絶対間違いなくモテないね。
「ゆずるを行かせてさ。
…おじさん、ほたるのこと好きでしょ?
おじさんが追いかけたかったんじゃない?」
話を聞いて何となくそんな気がした。
「………俺じゃさ、ほたるを救えないからさ。何年も一緒にいたけど救えなかった。
……俺はほたるが笑えればそれでいいんだよ。」
本心なんだと思う。
自分のことばっか考えて生きてきたももには理解しがたい。
「………わけわかんない。
それでゆずるを行かせちゃうわけ?」
「お前だって……ももだってあの嬢ちゃんに笑ってほしくて行かせたんだろ?」
「………別に。
ただなんもしないでいじけてるゆずるに腹が立っただけよ。」
あんなのゆずるらしくないから。
「少し、疲れたわ。」
そう言いながらももはおじさんが寝てる近くにあるソファで横になった。
「……大事な人のためだからってらしくないことするもんじゃないわね。
全く自分のためにならないわ。」
「それでもそれを決めたのはお前自身なんだよ。…気分はどーよ?」
「…………さいあくよ…」
そう小さくかすれた声で答えながらソファに顔を押し当てた。
「……おじさん、少しのあいだ耳を塞いでて。」
「あー?
……あー、うん。わかった。」
人前で泣き真似をするのが得意だった。
でも今回は誰にも見られたくないし聞かれたくない。
今回は上手く可愛く泣く自信がないから。




