第8話 甘縄凪沙は休みたい
「みんなって休日は何してるの?」
昼休み、定番となった中庭での昼食中に柳が質問する。メンバーは柳と宇佐美月麦、甘縄凪沙、望月忍乃、御子柴蓮。それとたまにやってくる山鹿昴で合計6人だ。
「私は図書館で本読んだり、勉強してるよ...!」
「へぇ〜!休みの日まで勉強ってえらいね!」
月麦に柳は感心する。
「俺は部活で...モゴモゴ...サッカーやるか家でゴロゴロしてるか...モゴモゴ...どっちかだな。」
「そっか!蓮くんサッカー部だもんね。」
蓮は弁当を口にかき込みながら話すので少し聞き取りにくい。
「...私は温泉に行ったりしています。それ以外の時は父と武芸全般の稽古を...」
「温泉か!それはいいな!」
「武芸全般って...本当に忍者の家系なのね。」
恐る恐る話す忍乃に昴と凪沙が反応する。
「俺は筋トレとスイーツ巡りだ!」
「山鹿くんスイーツ好きなんですか...!意外ですね!」
「休みの日まで筋トレなんて昴らしいわ...」
「昴と一緒によくスイーツ食べにいくんだ!僕も甘いもの好きだから。」
月麦もスイーツが好きなのか昴に食いつき、凪沙は呆れている。
「凪沙は?」
「え?」
「凪沙は何してるの?」
「私は...うーん...?」
凪沙は柳の質問に考え込む。
「なんかやってないのか。スポーツとか。」
「たまに走ったり、買い物行ったりするぐらいで...特に何かしてるってわけじゃないわね。」
しばらく考える凪沙だったが他に何かしてることも思いつかなかった。
「...ていうかあんたは何やってるのよ!柳。」
「僕は料理とかお菓子とか作ってるよ!」
「...柳くんお菓子作れるんですね。」
柳の解答に忍乃が驚く。
「そうだ!今度みんなでお菓子作らない?」
「僕の家で!」
「はぁ!?あんたの家で!?」
(私と昴しか柳の家に入ったことないのに...!)
「いいですね...!」
「...楽しそう!」
「いいな!いつにする?」
「俺飯食えるなら行くぜ!」
凪沙の動揺をよそにみんなは反応する。
「凪沙はどうする?」
「うっさいわねいくに決まってるでしょバカ柳!」
「えぇ〜」
凪沙の急な罵倒に困惑する柳であった。
次の週の日曜日、5人は柳の家に来ていた。
「柳くんの家大きいね!」
月麦が興奮して言う。
「別にそんな大きくないわよ!」
となぜか反論する凪沙に
(どこで張り合ってんだよ…)
そう昴は呆れる。
「いらっしゃい!入って入って!」
「おじゃましま~す!」
チャイムを押すと柳が出て来て言うので5人は家に入りリビングに案内される。
「案外変わってないわね〜。中学の入学式の後に来たっきりね。」
「凪沙、よく覚えてるね!」
(そんなの覚えてるに決まってるでしょ!)
凪沙が照れるがそれを気にすることなく
「で、今日は何を作るんだ?」
と蓮が質問すると柳はやる気に満ちた表情でこう答えた。
「ふっふっふ!今日はね」
「エッグタルトを作るよ!」