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第7話 望月忍乃は目立ちたい

 ーある日の昼休みー


 (今日こそ水無瀬さんに話しかけるぞ!)

 心の中でそう決意する柳は、いつも水無瀬飛彩のいる図書室に来ていた。


 「水無瀬さ...」


 「あの...!」

 「えっ...!?」

 柳が水無瀬に声をかけようとした時、その声を遮って後ろから誰かが声をかけてきて柳は反射的に声を出す。

 司書の人がすごい眼力でこっちを見てくる。私語厳禁の張り紙を指差している。

 「ど、どう、したんですか...あれ?望月さん!?」

 恐る恐る後ろを振り返るとクラスメイトの望月忍乃が後ろに立っており柳は再び声を上げる。

 司書の人が睨んでくるので2人は図書室の外に出る。

 「それで、何か僕に用?」

 校舎を歩きながら柳は質問する。

 「...してほしいんです...!」

 

 「え...?」

 うまく聞き取れず柳は聞き返す。


「...だから私を目立つようにしてほしいんです!」


 「ど...どういうこと...?」


 「今日ずっと声かけてたんだけど気づかなかったですか?」


 「えっっ!?...全然...」

 柳は驚いて足を止める。

 「そう...私、昔から影が薄すぎて全然気づかれないんです!」

 「いつも誰かに話しかけても気づかれないし、たまに体育の先生にも数え忘れられるし...」


 「なるほど...」

 柳は納得しながらもある一つの疑問が浮かぶ。

 「どうしてそれを僕に...?」


 「だってあなた目立ってるじゃないですか!」


 「え!?そうかなぁ...?」

 まさかの返事に柳は動揺を隠せない。

 「望月さんは存在感を出したいんだよね。どうすれば存在感って出せるんだろう...?」

 「んー...あ!」


 「何...?」

 柳は何かを思いついて教室に向かう。



 「それで私に相談したってわけね。」

 凪沙は望月の話を聞いて頷く。

 「そうね...確かに望月さんよく無視されてるわね...それにしてもそんなに気づかれないなんて何かあるの?」

 

 「うちの家系は先祖が忍者で代々気配を消すやり方を幼い頃から習うせいで影を薄くすることが染み付いちゃってるんです。」


 「えー!忍者!かっこいい〜」

 

 「うるさい!バカ柳は黙ってなさい!」

 柳の無神経な感想に凪沙はツッコミを入れる。

 「で、どうすれば目立てるかよね。」


 「まずは声を大きくしてみたら?声が小さくて聞こえてないだけかも。」


 「やってみます...」

 


 「...あの!」


 「...」

 

 「それでさ〜」


 教室で大声を出す忍だが、一瞬教室が静かになっただけですぐにみんなは話し出す。

 「こうなっちゃうんです〜」

 泣きそうな顔で忍乃はいう。

 「...嘘でしょ!?」

 想像以上の影の薄さに凪沙はショックを受ける。

 その後、授業で「はいっ!」と元気よく挙手するも別の人が当てられ、次の日、わざと遅刻してドアを大きな音を立てて開けたりと色々試した3人だったが全てうまくいかなかったのであった。


 「ハァハァ...どうすんのよ!これ...ハァハァ」

 気力を使い果たした凪沙は疲れ果てた様子で言う。

 「やっぱり私には無理なんです...」

 自信なさげに忍乃がいうと柳が

 「そんなことないよ!」

 と慌てて否定する。

 「だって僕らは気づいたじゃん!他の人にも諦めずに話しかけよ!」

 

 「でも...」

 忍乃はまだ自信がなさそうだ。

 「そうね。結局は地道に話しかけるしかなさそうだし。昴とかに話しかけに行ったら?」

 

 「や、やってみます...!」

 そう言って忍乃は昴に話しかけにいく。

 「あの!」

 (どうせこの人も私に気づかないんだ...)

 「おお、どうしたんだ?望月さん!」

 忍乃の考えとは裏腹に昴は返事をする。

 「...」


 「?」

 昴は何も言わない忍乃を不思議そうに見つめる。

 「な」

 「なんでもないです〜!」


 「えぇ...?」

 顔を赤くしてそう言い凪沙と柳の方へ戻る忍乃に昴は困惑する。

 「よかったね!昴いいやつでしょ!」

 「...うん...!」

 忍乃は顔を赤くしながらも柳に答える。

 

 「罪な男ね...アイツは...」

 そう言ってため息をつく凪沙であった。


 後日談

 忍乃はちょっとずつだがみんなから気づかれるようになった。忍乃は柳や凪沙達と友達になり、特に昴とよく話すようになったようだ。ちなみに柳は水無瀬さんに話しかける機会を失ったままである。


第7話読んでいただきありがとうございます!今回は望月忍乃のプロフィールです。

名前:望月忍乃

年齢:15歳

生月日:1月19日

身長:155cm

好きなもの:読書・料理

好きな言葉:「堅忍不抜」 理由は家訓だから。

苦手なこと:英語と数学

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