第6.5話 観覧車の中で
(で...ここからどうするんだっけ?確か頂上に行った時に気持ちを伝えればよかったのよね。)
月麦と蓮を2人きりにすることに成功した凪沙はゴンドラの反対側に座る柳を見ながら観覧車の噂を思い出す。
「それにしても、このキーホルダー可愛いじゃない。センスあるわね!柳。」
「そうでしょ!こういうの昔から好きなんだよね〜!」
キーホルダーを見つめながら言う凪沙に柳は嬉しそうに話す。
「...そんなこと知ってるわよ...バカ」
「...何か言った?」
「なんも言ってない!」
「そっかぁ...」
凪沙が小声で呟くと、柳は聞き返すが凪沙は恥ずかしがってはぐらかす。柳が少し残念そうな表情をしていると凪沙は口を開く。
「今日は楽しかったわね。前に柳と昴と遊園地に行ったことを思い出すわ。」
「うん!あの時は3人で言って色々遊んだよね。今日は蓮くんと宇佐美さんがいたからもっと楽しかった!」
「そう...それはよかったわね。」
2人が話しているとゴンドラは頂上にゆっくりと近づいていく。
(今よ!)
「実はね...」
「ん...なになに?」
凪沙は頃合いを見計らって話そうとするがこっちを見てくる柳に緊張して目を合わせられず下を向く。
(もぉ〜!バカバカ!早く言わないと!)
「実は...」
「あ!もしかして!」
柳は何かに気づいたかのように反応する。
(嘘...!柳に私の気持ちバレちゃった...!)
「そうよ...私は...」
凪沙が顔を上げて肯定しようとする。
「やっぱり!凪沙高い所怖いんだ!」
「はぁ!?」
柳の的外れな言葉に凪沙は驚く。
「下向いてるから外の景色見れないのかなって。」
「...」
「...」
「...もういいわよ。それで...」
柳の勘違いに呆れた凪沙はため息をつきながら今回もうまくいかなかったと残念がる。
「隣、座ってあげるよ!」
「...え?」
柳の提案に凪沙は顔を上げる。
「僕が隣にいれば怖くないでしょ!」
柳は自分に謎の自信を持ってるらしく、凪沙の隣に座る。
(な、ななな、何よコレ!)
結局その後ゴンドラを降りるまで凪沙は1mmも動けなかった。
観覧車の下に着くと寂しそうに昴が待っていた。
「昴〜どこ行ってたの?」
「姉貴にお土産買ってたんだよ。」
「いいなー僕もお姉ちゃんほし〜」
そんな話を3人でしてると、月麦と蓮もゴンドラから降りてくる。
どうやら仲直りができた様子で普通に目を合わせて会話している。
「みんなでまた遊ぼうね!」
柳がみんなに言うとみんなはそれぞれ頷く。
遊園地からの帰り道、今日の思い出を話しながら帰る5人の姿を夕焼けは染めていく。