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第5話 甘縄凪沙は遊園地に行きたい

「これでよしっ!」

 日曜日の朝、凪沙はいつもより気合を入れて悩みに悩み選び抜いた服を着て1人で待ち合わせの駅に向かう。

 柳と一緒に行かない理由は、いつもと違う服装で、違う場所で会えば凪沙のことを1人の異性として柳が見てくれるかもしれないという昴の提案だった。

 集合時間の30分前に駅に着くと日曜の駅は朝からすでに多くの人で混雑していた。

 「あっ、いたいた、昴〜!」

 その人混みの中で一際目立つ昴を見つけて声をかける。

 「おう凪沙、おはよう!バッチリ服装決めてきてんじゃねえか。」

 昴の私服はシンプルだがその身長もあって他の目を引く。

 「月麦ちゃんはもうちょっとしたら着くって。...それにしてもほんとによかったの?蓮くんに月麦ちゃんがくるって言わなくて。」

 凪沙は数日前を思い出しながら言う。

 「俺にいい案がある......」

 「遊園地に行くんだ!」


 「...」


 「はぁ!?遊園地に行く!?」

 凪沙が驚く中、昴はスマホで誰かに連絡を取ったあと、柳と月麦に聞こえないように言う。

 「つまりだな...凪沙。蓮と宇佐美さんを遊園地に誘うんだ。別々に誘って蓮には宇佐美さんが遊園地に来ることを知らない状態でな。一緒に遊んでるうちに一気に距離を詰めれば話すきっかけが生まれるかもしれん。蓮には予定聞いてOKもらってるぞ。」


 「なるほど、それで遊園地ってわけね。でもそれって遊園地じゃなくてもいくらでも方法があるんじゃない?」

 凪沙は納得しつつも首を傾げる。

 「前に凪沙が言ってたこと覚えてるか?柳に気持ちを伝える作戦考えとけってやつ。そこの遊園地の観覧車に乗ってる時に告白すると付き合えるって噂があるんだよ。」


 「あんたやるじゃない!そうと決まったら遊園地行くわよ!」

 凪沙は食い気味に反応してズカズカと柳たちの方に歩いて行く。

 (ほんと分かりやすいんだよなぁ。大丈夫かよ...)

 昴は若干の不安を抱えながら購買で買ったパンを袋を破ってかじった。


 そんなことがあったから凪沙はこの計画が破綻しないかと不安になっていたのだ。

 「おはよう、凪沙ちゃん...、山鹿くん。」

2人で話しているうちに不安げな月麦がやってくる。月麦にぴったりな雰囲気で誰が見ても可愛いと言える服装をしているが本人には自信がなさそうだ。

 「おはよう月麦ちゃん!めちゃくちゃ可愛いじゃない!」


 「べ、別に普通だよっ...!」

 ぐいぐいおして褒めてくる凪沙に月麦は顔を赤くする。

 「おーい、昴!こっちだ!」

 そう言って近づいてくるのは御子柴蓮だ。

 「ん...?」


 「なんで月麦がいるんだよ!?ていうかっ...」

 (月麦の服装反則だろぉ〜!)

 御子柴蓮は動揺を隠せずに口元を隠して顔を背けながら言う。


 「2人とも、今日は楽しもうぜ!」

そうやって昴が2人の後ろに立って言うが御子柴蓮は月麦の服装を見て恥ずかしがり、月麦は御子柴と顔を合わせられないのかどちらも目を合わせられていない。

 「完全に忘れてたけど柳はどうしたのよ!また寝坊したんじゃ...」

 「おっはよ〜!駅人多いね!」

 凪沙が心配した直後、柳は手を振りながら駆け寄ってくる。

 「御子柴くんもいるんだ!今日は楽しも!」

 「おっ...おう。よろしく...」

 

 「昴〜、どこ行きの列車乗るんだっけ?」


 御子柴蓮の疑問をよそに、柳はハイテンションで昴に話しかける。

 「...」

 

 「うちの柳いつもあんな感じなのよ。私の服について何にも触れないまま行っちゃうし。それと、柳に御子柴くんのこというと口滑らしちゃいそうだから作戦のことは話してないの。」


「作戦通りにやれば仲直りできるから心配しないで!」

 

 「う...うん...」

 突然の柳の登場に驚く月麦に凪沙は話しかける。

 「さっ!行こ行こ!」

 凪沙は月麦の肩を後ろから押して先に改札に行く男子3人を追いかけた。

 

 1時間後。


 「どうしてこんなことになったのよ〜!」

 甘縄凪沙の悲痛な叫びは暗闇の中に消える。

 「柳と一緒にお化け屋敷に入って手を繋ぐはずだったのに柳は途中でいなくなるし、全然ゴールわかんないし、暗いし、怖いし!」

 そう叫ぶ凪沙の目の前に幽霊たちがあらわれ凪沙は悲鳴をあげて逃げ回る。

 「どこいったのよ〜!バカ柳〜!」

 (こんなはずじゃなかったのに!)

 凪沙は前日の夜に昴と○INEでやりとりした[作戦その1、お化け屋敷で怖がるふりをして柳と手を繋ぐ]を思い出す。

 (全然うまくいかないんだけど!)

お化けが出てくるたびに悲鳴をあげながらなんとか脱出すると、出口では柳と昴、そして御子柴蓮と月麦が待っていた。

 「凪沙、大丈夫だった?僕、お化けに驚いて壁にぶつかったらそのまま壁が回転して違うルートに行っちゃったんだ。そしたら昴が歩いてて一緒に出てきたんだ。」

 柳は申し訳なさそうに心配する。

 「最悪よ!バカ柳のせいで凄い怖かったんだから!せっかく...」

 (せっかく手を繋ごうと思ってたのに...)

 凪沙は言いかけた言葉を咄嗟に手で塞いで止める。

 「せっかく?」

 柳は興味津々にこっちを見てくるが、凪沙は無視して御子柴と月麦の方の様子を伺う。

 (まだ2人は話しにくいようね。ていうか、朝会ってからここまでもうちょっと話す機会あったでしょ!こっちも始めるわよ!)

 凪沙は2人にツッコミを入れつつ昴に目配せをして作成開始の合図を告げる。

 「次はジェットコースターに行くわよ!」

 凪沙は気を取り直して次の目的地を宣言するのであった。

今回は月麦の幼馴染、御子柴蓮のプロフィールです。

名前:御子柴蓮

年齢:15歳

生月日:11月1日

身長:178cm

出席番号:30番

好きなこと:犬と遊ぶこと・サッカー・ご飯をたくさん食べること

好きな言葉:「先手必勝」 理由はかっこいいから。

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