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第2話 甘縄凪沙は甘えたい

 朝からそわそわしていた。

 今日はいよいよ高校の入学式。制服のリボンを結ぶ手が、いつもより少し震えている気がする。 

 (隣の家のバカ柳...門脇柳と、高校も一緒に通うことになるなんて。)

 といっても柳から受ける高校をきいて私もそこを受けることにしたんだけど。

 都立清花高校は都内有数の進学校で入学試験もかなり難しいことで有名だったが必死に努力して合格した。今日だって髪型や肌とか匂いとか、柳に見てもらえるようにたくさん準備してきた。

 小さい頃からずっと一緒にいたのに、あいつは私のことをただの幼馴染としか思ってない。……たぶん。  「今度こそ絶対に好きって言うの!頑張れ私!」

 自分にそうやって言い聞かせる。

 玄関を出て数分。


 柳はまだ出て来ない。川沿いに舞う桜を眺めながら、腕を組んでイライラを抑え込む。 

(もう、何やってんのよ。大事な初日だっていうのに!) 

 そうドギマギしていると、玄関のドアが勢いよく開いて柳が飛び出してきた。

「バカ柳!入学式の日に何やってるのよ!初日から遅刻なんてどんだけダメダメなのよ!」

 声が自然と大きくなる。そうやっていつもの小言が言えて少しホッとしていた。

 「遅いじゃない。よっぽど私に会うために準備してたのね」

 なんて冗談を言ってしまいそうなほど緊張していていつも通り接することができるか不安だったのだ。

(かわいいね。って一言ぐらい言ってもいいのに...)

 少し残念がってため息を付くが気を取り直す。

学校に向かって2人で走り出す。桜の花びらが風に流れ、柳の無造作な髪にひらりと舞い落ち、私の目はその横顔に吸い込まれる。


 「ここが清花高校!本当にここに通うんだぁ〜!」

 校門の前ではしゃいで目をキラキラさせる柳を見て、私はちょっと胸がドキッとしたがすぐに時間がないことを思い出して素っ気なく「早く行くわよ!」と急かす。

 入学式はあっという間に終わった。生徒会長の水無瀬さんの話す姿はかっこよくてこれが高校生なんだ!と内心憧れていた高校生になれたと胸が高鳴る。ふと横目に隣の柳を見ると新入生代表の松殿さんの話を聞いては「すごいなぁ〜」なんて声に出していて、思わず小声で叱ってしまった。

 (ほんと、油断するとすぐ隙を見せるんだから。)

 入学式が終わるとクラスの確認のために校舎の前に向かった。

 「私は1-Bか…。」

 そのまま張り紙の下に目を通していくとそこには「門脇柳」の3文字があった。

 私は喜びを声にならない叫びで表す。

 「おう、凪沙。柳と一緒なんて良かったな。」

 そう後ろから声をかけてきたのは柳ともう一人の幼馴染である山鹿昴だ。

 「実は俺も同じクラスなんだ。今度こそ思い伝えるんだろ?協力するぜ。」

と少し笑いながら言う昴は中学の時から私が柳に思いを伝えるのに協力してくれた。

(まぁ全部柳の鈍感さと不運に見舞われてうまく行かなかったんだけど。)

 少しため息を付き

 「よろしくね。昴」

私がそう言うと

 「おう!おっとわりぃ、先教室行ってるな。」

と昴は足早に去っていく。

 昴は昔からモテていたからファンに追われているのかもしれない。

 ようやくクラスを確認できたらしい柳が

 「やった〜!凪沙と一緒だ。昴とも!」

 とはしゃいでいる。少し恥ずかしい。

私は早速思い切った行動に出ることにした。

「うるさいわね!早く行くわよ。」

 そういって柳の手を引いて教室に向かったのだった。

 柳の手は男子高校生と言うには少し細く、少し温かくて、少し、私には心強かった。

 自分がどんな表情になっているか分からず、向かっている教室の方だけを見て手を引く。

 「耳赤いよ?大丈夫?」

 柳は心配してくれるが私は(あんたのせいでしょ!)と頭の中で責任転嫁しつつ

 「うるさい。大丈夫だから!」と更に歩く速度を上げた。

 後ろは全然見えないけれどどうせ、なんでそんなに急ぐんだろう?と疑問符が浮かんでいるに違いない。

 教室で黒板に張り出された席順を見ると柳と隣の席で柳に見えないように小さくガッツポーズをする。

 そして――。

 「水無瀬さんとクラスがーーー同じ!?」

 柳の弾んだ声に、小さい棘が刺さったみたいに胸の奥が痛んだ。

 水無瀬飛彩。中学の頃同じクラスになったことがある。どこが掴みどころのない不思議な雰囲気を醸し出していた。成績は常に上位だったが特別目立つというわけではなかった。

 「水無瀬?ああ、中学にもいたわね、水無瀬飛彩。どうかしたの?まぁ私よりは頭はいいみたいだけど、でも…」そう途中まで言いかけて話すのをやめる。

 柳は目をキラキラ輝かせていた。あぁまたいつもの顔。こうなると全然を話を聞かないのよね。呆れて声も出ない。


 でも、


 (……バカ柳。せっかく隣に私がいるのに。)


 少し悔しかった。


 (絶対に今度こそはあなたを振り向かせる!)


 そうやって心のなかで固く決意した。

第2話いかがだったでしょうか。今回から一人ひとりの設定資料をあとがきに掲載したいと思います。まずは主人公の柳と凪沙からです。

名前:門脇柳

年齢:15歳

生月日:6月26日

身長:167cm

クラス:1-B

出席番号:8番

好きなこと:凪沙と遊ぶこと!・散歩・甘い物を食べること!

好きな言葉:「おれはひとりの修羅なのだ」宮沢賢治詩集「春と修羅」より 理由はおばあちゃんに小さい頃に教えてもらい、ずっと記憶に残っているから。

苦手なこと:運動...


名前:甘縄凪沙

年齢:15歳

生月日:11月19日

身長:161cm

クラス:1-B

出席番号:2番

好きなこと:柳を眺めること・泳ぐこと・日常もののアニメを見ること

好きな言葉:「百折不撓」 理由は親近感を感じるから

苦手なこと:虫と幽霊、雷

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