表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

第9話 門脇柳はまたしたい

「エッグタルトを作るよ!」


「おお、エッグタルトか!」

「い、いいですね...!」

 柳の宣言に真っ先に反応したのは甘い物好きな昴と月麦だ。


「エッグタルトってなんだ?」

「何よそれ。こういう時ってケーキとかじゃないわけ?」

「...エッグタルト?」

 蓮、凪沙、忍乃の3人は聞いたことのないお菓子の名前に戸惑う。

「エッグタルトっていうのはね、タルト生地に卵と牛乳で作った生地を流し込んで焼いたお菓子だよ!」

 「うまそうだな!」

 「へぇ〜美味しそうじゃない!」

 「美味しそう...!」

 3人はよだれを垂らしながら完成形を想像する。

 「じゃあ早速作っていこう。外側のパイ生地は昴と僕でやるから凪沙達は卵黄と薄力粉それとグラニュー糖と牛乳を混ぜてもらえる?」


 「おう!力仕事なら任せろ!」

 「別に力仕事じゃないけど...」

 蓮が服の袖をめぐりながら言うので凪沙がつっこむ。

 「みんな用意はいい?美味しいエッグタルトを作るぞ〜!」


 「おー!」


 柳と昴が外側のパイ生地を切り抜いている間、残りの4人はテーブルを囲んで内側の生地を用意するためにボウルの中に材料を入れていく。

 「薄力粉はこんぐらいだったな...はっ...はっ……くしゅんっ!?」

 「ひゃあっ!」

 蓮が薄力粉の袋を持った瞬間、蓮のくしゃみで空いた袋の口から薄力粉の粉が飛散る。目の前にいた忍乃に思いっきり粉がかかる。

 「す、すまん。大丈夫か!?」

 「大丈夫じゃないけど...洗えば落ちるから...」


 「もぉ何やってんのよ!ちょっと柳、洗面所借りるわ...くしゅん...!」

 「おわっ!?」

 凪沙が空中をまう粉を吸い込んでくしゃみをし、驚いた蓮の手が当たって机の上においてあった道具が床に落ちる。

 「だ、大丈夫...?」

と月麦が心配するが目も当てられない状況になっている。

 「...すごいことになってるなぁ...」

 「あいつら大丈夫か...?」

 柳と昴は白黒になったみたいに呆然と言う。

 

 「もぉ、見てられない!私がやるわ!」

 (これで完璧に生地を作って柳にほめてもらうのよ...!)

 「いやお前もくしゃみしただろ...」

 とすかさず蓮が突っ込む。

 「うるさいわね!あんたは黙ってなさい!」


 「ちょっと!凪沙ちゃん、牛乳入れすぎ!」

 「あ!」


 「私が修行の成果をお見せしましょう...!」

 「忍乃ちゃん生地こぼれちゃってるよぉ」

 「ごめんなさい...はしゃぎすぎました...」

 


 「ふぅ。なんとか完成したわね!」

 「大変でした...」

 「疲れたな〜」

 「...」

 凪沙や忍乃の空回りに月麦は疲労困憊状態で声も出せない。

 「次はじゃあこれを電子レンジで温めてから冷蔵庫で粗熱を取ってオーブンで焼くよ!しばらく時間がかかるからみんなはちょっと休憩してて!」

 「うぉ〜!」

 「なんなのよ元気じゃない!」

 「うるせぇ!お前に言われたかないね!」


 「ちょっとふたりとも〜!」

 4人がリビングで休んでいる間、柳と昴の2人はキッチンに並んで話す。

 「楽しいなぁ〜!休みの日にこんな事ができるなんて!」

 「良かったな...あいつらすぐ事故ってたいへんだけどな...」

 「でも...一緒に楽しめる友だちができて嬉しいな...!」

 柳の一言に昴は昔を思い出す。

 (...こんなに嬉しそうな柳久しぶりに見たな...柳は小学生の頃俺や凪沙以外に友達はいなかった。中学の時だっていじめられて不登校になりかけたこともあった。柳は俺ら以外と話すときに笑うなんてこと今まではなかったけど...でも今は俺ら以外にも笑える友達ができたってことか...)

 「昴...昴!ぼーっと空いてたみたいだけど大丈夫?」

 「おう!お前こそ休んでていんだぞ。」

 「そういえば柳お前〜」


 しばらく柳と昴は談笑に花を咲かせた。


 「おお〜いいにおいしてきたな!」

 「ほんとね!」

 「待ちきれないです...!」


 「もうちょっとで焼き上がるよ!」

 最後の工程のオーブンで焼く段階に入っていた4人はオーブンを見つめながら完成を待つ。


 「机拭いておくね、山鹿くん。」

 「おう!宇佐美さん、さんきゅ!ていうか昴でいいぞータメだしな!」

 「...わかった。でも私も月麦でいいよ...!」

昴と月麦はリビングを片付けながら話す。

 「そういえば月麦、あの後蓮とはどうなんだよ〜!」

 「えっ!?そっそれは...」


 チーン


 「よし!できた!昴たちも来てよ!」

 竹串で焼き具合を確認した柳が昴と月麦を呼ぶ。

 「お、いい匂いだな!」

 「月麦また今度その話聞かせろよな!」

 「うっうん...」

 月麦は顔を赤くしながら返事をする。



 「いただきま~す!」


 「うめえなんだこれ!」

 「うーんさいこー!」

 「美味しいです...!」

 「そうでしょそうでしょ!」

 「外側がサクサクだなこれ!」

 「おいひ〜!」

 6人は食べながら感想を話す。


 「今日はありがとな!美味かった!」

 「それじゃあまた学校で...」

 「今度は凪沙の家に行こうな!」

 「うるさいわね!殴るわよ!」

 「ちょっとぉ〜」

 「うん!僕も楽しかった!ばいばい!」

 

 「柳!また遊ぼうな!」

 

 柳は蓮の一言に頷く。


 「うん!また遊ぼう!」


 その時昴の見た柳は今までで一番の笑顔をしていた。

 

 



 

 



今回6人が作ったエッグタルトは3時間ほどあれば作れるそうです!材料費もそこまでかからないようなので是非お家で作ってみてはいかがでしょうか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ