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懺悔

ああなんてことをしてしまったのだ…。


そこから彼の日記は始まった。

彼の日記が見つかったのは

彼の死後から1月たってのことだった。


某有名大学教授~その肩書は…

学問を志す者なら

一度は憧れたことのある

最高の地位だった。


彼は学術界きってのエリートだった。

代々学者を輩出する家庭に生まれ

家族はもちろん親戚一同


全てが

エリート中のエリート

そこにうまれた


異物が

日の目をみた瞬間だった。


――――――――――

私はいま一人の女性を監視している。

彼女は私のゼミの生徒だ。

21歳でとても清楚で優秀な子だ。

髪の色は栗色だが…

特に染めたものではないそうだ。

亡くなった母親が外国の方だそうで。

その影響もあるのだろう。


彼女は私に時折相談をしてくる。

それが学問の相談であれば

ふつうなのだろうが

時折

プライベートな相談をしてくることがあり

私は少し困惑をしている。


あまり若い女性と話すのは苦手なのだ。


監視をはじめたのは

1月ほど前のことだ。

彼女の部屋に入り

リビングに監視カメラを設置した。


彼女から頼まれたとはいえ

誰かに見られでもしたら大変だ。

正直胃が痛む。


そこから

私の監視生活がはじまった。

基本的に

学校にいる時は

監視はしていない。

もっぱら

自宅の書斎にいる時だけ

自宅のパソコンとネットを通じて

監視を行っている。

もちろん録画はしていない。



正直

生徒相手に

しかも

娘ほどの年齢の女性に

こういう発言をしてはいけないと

思うのだが

彼女は美しい。



彼女は成績がとてもいい。

私的には大学院まで進んでもらい…

いずれ同じ学問を研究したいと望んでいるが。


それはムズカシイだろう。

彼女は苦学生なのだ。


話に聞くと

夜の店で働いて

大学の授業料を払っているらしい。


早く家にお金を入れないといけないとか

そういう事情がありそうだ。


彼女は

時々

私のほうをみて微笑かける。



もちろんそれは

教授への心証を良くする為の

愛想笑いだろうが…


それがまるで女神のようで

私は非常に辛くなる。


私は妻子をもち

そして親子ほど年齢が離れている。

恋愛感情などを持つのはダメだ。



ただこうやって。

遠くから見守るしかないのだ。


彼女を監視しはじめてから

普段に張り合いがうまれた。


研究者とは

とても地味な仕事で

何千、何万ものデータを取り

それを分析する。


特に私のやっているような研究は

花形ではなく

基礎研究のほうなので

本当に大事なものではあるが

予算はつかない

予算がつかないと

当然うだつも上がらない。


我が家は学術エリート家系

妻の家も学術エリート家系


兄や義理の弟は花形の研究に取り組み

私と比べ

スマートでかっこが良い。


妻は兄や義理の弟の話を

ことある度にだし

私をあざけわらう。


まー仕方がない。

それが事実なのだから。


そんな少し窮屈な生活に

彼女は潤いを与えてくれた。



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