ボクの国の英雄は大噓つき!
”ボクの国の英雄は大噓つき!”
彼は貧しい生活を送っていたのに、何故かこの貧しい国に
大量の食べ物を皆に配っていた。
彼が言うには? ”ワタシは大金持ちだからなんの心配もない!
好きなだけここにある食糧を持って行きなさい!”
皆は彼に、”ありがたや~ありがたや~我が国の英雄” と
彼を拝む者までいる。
でも? 彼は大金持ちではない!
では何処からこんなにたくさんの食べ物を持って来ているのだろう?
彼は海賊が何処かの国で奪ったモノを盗み、ボクらの国に持って帰って
きて皆に配っていたのだ。
勿論! 彼は海賊達から狙われている!
『”この国に、ムサクという者は居るか?”』
『・・・ムサク? そんな名前の者はこの国には居ないよ。』
『そうか、分かった! じゃあ、もし見つけたら? ”指名手配” されている
から直ぐに通報するように、、、!』
『分かりました。』
『じゃあ頼む! おい、行くぞ!』
【はい!】
彼は一人でふらっと船を出し他所の国に行って、お金も持っている者から
ほんの少し食糧やお金、貴金属を盗んではこの国に持って帰ってきて、
皆に分け与えるのだ!
”彼は英雄だよ、誰がなんて言おうが、彼は英雄だ!”
今から10年前までは、餓死する者もたくさんいて貧しさのあまり食べる物
もなく、仕事もない!
生きる希望もないこの国に彼が夢を与えたんだ!
今では野菜を作り家畜を育て、それを他の国に売って生計を立てている。
”全ては英雄である彼が居てくれたから今がある!”
でも彼の日常は? ボク達よりも凄く貧しい!
自分の為には一切贅沢しない英雄、それがムサクだ!
だから今度は! ボクが彼に本当のお金持ちになってもらえるように、
頑張ってこの国を裕福にするよ。
だから彼にはこの国の王様になって、いつまでもこの国を見守っててほしい!
”ボクらの英雄、ムサクにこの国の王様に、、、!”
大嘘つきの王様、ムサク様! 本当にありがとう。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。